『当事者キャスティング』の手引き。障害当事者の俳優への配慮が記載された説明書。

当事者キャスティング

この記事は約 6 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

私は障害者として自覚してから、20年近くが経とうとしています。

左耳の感音性難聴の時は健常者に近い生活を送っていて、発達障害と診断を受けてから、障害者として、この人生を歩んでいます。

特にTANOSHIKAに入社して、WEBライターになってから、エンタメの記事も、障害者を題材にした内容を読んだり、記事を書いたりする様になりました。

その中で入社した直後と今と違うと感じているのが、障害当事者が俳優として出演しているエンタメが、急激に増えたことです。

勿論当事者ではない俳優さんが見事な演技を披露しているものもありますが、障害者専用の芸能プロダクションも多くできてきて、そこから輩出された方もいるでしょうし、必ずしも俳優さんではなくて、モデルさんなどで活躍する人もいます。

障害者が題材の映画であれば、公開記念イベントなどに、ゲストとして呼ばれることもあり、自分が障害者として歩み出してから、想像もしなかった今が、ここにあります。

ですが、障害者には特性があって、例えば長く席に座れないや、暗記が苦手で台詞をなかなか覚えられないなど、俳優という括りであっても、一人ずつ配慮しながら撮影しないといけません。

そんな障害当事者の方を配慮した、『当事者キャスティング』の手引きがこのほど、完成致しました!

障害を抱えている役を当事者が演じる『当事者キャスティング』が増加傾向の中で、障害者専門の芸能プロダクションから、俳優さんへの指導依頼を受けたことをきっかけに、演出家・脚本家の藤井清美さんなどが、3年ほど前に、

安全に俳優さん側と制作側の双方に撮影に臨んで貰うために、『当事者キャスティング』の手引きの必要性を感じて、障害者福祉の専門家など5人にアドバイスを仰ぎながら、完成させました。

制作現場では、「あの辺で」「適当に」という抽象的な表現を避けて、簡潔で、正しく伝える重要性が記されています。移動の段取りや着替えも、1つずつ、俳優さんの様子を伺いながら、しっかりと伝えることが明言されています。

今回は、『当事者キャスティング』の手引きの中で、障害者の方へ、どの様な配慮が明確に記載されているのか?などを、説明します。

『当事者キャスティング』の手引きには、障害者にどの様な配慮が記載されていますか?

甲冑を着た、武士の女性

手引では、演者への必要な配慮について共有する「情報提供シート」の活用を紹介。苦手なことだけでなく、「10分前に口頭だけでなく文章でも教えてほしい」など、対処策を記入してもらうこともアドバイスする。

米ハリウッドの取り組みを参考に、同じ目線で関わる▽年齢相応に接する▽関わり方がわからなければ本人に聞く▽障害は目に見えるものだけではない――など、八つの視点を持つことも推奨する。

引用元:毎日新聞 ドラマや映画、増える障害者の当事者起用 「手引」で安心して撮影を(2025年3月22日公開)

ここ最近嬉しかった障害者の俳優さんのこと

それは、2023年にAKARIで記事を書きました、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』という映画のことです。

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』では、主人公の両親役に忍足亜希子さんと、今井彰人さんという、耳の聞こえない、ろう者の俳優さんが起用されました。

そのお母さん役の忍足さんですが、2024年第98回キネマ旬報ベスト・テンで助演女優賞を受賞されました。

2025年2月20日に、忍足さんは白いお着物を着て、表彰式に出席されました。アメリカのアカデミー賞より1年歴史が古い、98年の歴史のあるキネマ旬報ベスト・テンで聴覚障害者の方の受賞は初めてでした。

私は授賞式当日、YouTubeで生配信を観ていたのですが、忍足さんのために、お客様に、司会の方が、拍手を意味するひらひらと、おめでとうを意味する花火の手話を、授賞式が始まる前と、スピーチ前に、アナウンスしていました。

キネマ旬報ベスト・テンのトロフィーはかなり重たいと聞きました。

忍足さんはトロフィーをスタッフの方に預かって頂き、感謝の言葉を手話で伝えて、スピーチしていました。

表彰式当日、プレゼンテーターに、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の監督の呉美保さんが花束を渡したり、夫婦役で共演した今井さんも、客席から手話を送っていて、温かい空気が会場で流れていました。

2024年9月公開された『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、ネット配信がはじまっていて、Netflixでも配信が始まったので、今度観たいと思っています。

2022年3月の第94回アカデミー賞の授賞式で、[コーダ あいのうた]のトロイ・コッツァーさんが、聴覚障害を抱えている男優として初めての助演男優賞を受賞したこともとても印象的な出来事でした。

その3年後に忍足さんが、キネマ旬報ベスト・テンを受賞されたことも、日本の映画史が変わった瞬間だと思います。

忍足さんも、障害者として、演技指導の時に、何かしら配慮を受けたと思います。

障害を抱えていると、本当に演技をするのも大変だと思いますし、自分が伝えたいことが伝わらないもどかしさもあります。

それでも、こうやって、今障害当事者によるエンタメに、良い風が吹いて、方向性も変化しています。

本題の藤井さんが作成した、『当事者キャスティング』の手引きは、あるのとないのでは、撮影の仕方なども随分変わって来たり、スムーズに撮影が進むと思っています。

この『当事者キャスティング』の手引きが手本となって、今後も障害当事者を起用した作品が増えていること、障害があっても演技に打ち込める、そんな世界がもうすぐそこまで来ていますね。

刀を構える、武士の女性

noteでも書いています。よければ読んでください。

→HOME

当事者キャスティング

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、高眼圧症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。