この記事は約 6 分で読むことができます。
私もあと2年9ヶ月で定年を迎えます。
しかし、現代は年老いた親の介護をする為に、定年を待たずに早期離職(介護離職)する方が多くいます。
「少子高齢化社会」と言われて久しいですが、実際この国はどんな状態なのでしょうか?
今回は、「親の介護は、仕事を続けながら可能か?」について書いてみます。
日本の現状
2024年6月21日に内閣府より、「令和6年版 高齢社会白書」が公表されました。
白書の「第1節 高齢化の状況(1)」によりますと以下の様に書かれています。
我が国の総人口は、令和5年10月1日現在、1億2,435万人となっている。
65歳以上人口は、3,623万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も29.1%となった。
引用元:(内閣府)令和6年版高齢社会白書(2024年6月21日)
と言う事で、現在の日本は約3人に1人が高齢者と言う感じの人口構成になっています。
その高齢者の中で、介護を必要とする要介護(要支援)の方の人数ですが
厚生労働省の「介護保険事業状況報告の概要」を見ますと以下の通りです。
要介護(要支援)認定者数は、718.5万人で、うち男性が230.1人、女性が488.3万人となって
いる。
第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合は、約19.6%となっている。
引用元:(厚生労働省)介護保険事業状況報告の概要(pdf形式1ページ)(2024年8月暫定版)
と、高齢者の2割は介護が必要な状態です。
介護離職者が増えている
その年老いて介護が必要になった親の世話をしているのは、子供たちです。
以下は、総務省が発表した介護者のうち働きながら介護をしている人の人数です。
・ 介護をしている者は629万人で、うち有業者は365万人
・5年前に比べ、介護をしている者に占める有業者の割合は2.8ポイントの上昇。
引用元:(総務省) 令和4年就業構造基本調査(pdf形式26ページ目)(2023年7月23日)
しかし親が「介護施設等には入りたくない」などの理由で在宅介護になってしまう場合、子供たちは仕事を辞めて親の介護に専念しなければなりません。
故に親の介護を理由に会社を辞める「介護離職」する方もたくさんおり、その人数は、去年の場合10万人を超えています。
・家族の介護や看護を理由とする離職者数の推移をみると、離職者数は減少傾向にあるもの
の、60歳以上の年齢層での離職者の増加等の影響により、直近の数値は約10万6千人で増
加。
男性の割合は上昇傾向にあることが分かる。
引用元:(厚生労働省)仕事と育児・介護の両立支援対策の充実に関する参考資料集(pdf形式15ページ目)(2023年12月4日)
「育児・介護休業法」の改正
介護の為に会社を辞めざるを得ない状況を防ぐため、来年2025年4月に「育児・介護休業法」の改正が行われます。
「介護離職」を防止するために、企業には個別の周知、意向確認、雇用環境整備などの措置が義務になります。
引用元:(厚生労働省)育児・介護休業法改正ポイントのご案内(pdf形式2~3ページ)(2024年11月作成)
しかし、現状企業において親の介護に対する対応は、以下の様な感じと言うアンケート調査結果が出ています。
・職場からサポートは受けていない 32.1%
・仕事と介護の両立支援制度(介護休業制度、介護休暇制度など)や会社の支援策について
説明をを受けた 30.0%
・介護休業給付金に関する説明を受けた 17.7%
・上司との面談の機会があった 14.7%
引用元:(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)介護離職者の離職理由の詳細等の調査及び勤労世代の介護離職防止に資する介護保険制度の広報資料等の作成 報告書(pdf形式144ページ目)(2024年6月)
と言う感じで、企業ではまだまだ介護に関する体制の整備が出来ていない会社が多い事がうかがえます。
終わりに
私が住んでいる団地にも親が介護施設に入所したのを気に、お子さんが仕事を辞めて介護施設に行って世話をしている家がいくつかあります。
空き家状態になってしまったその様な家には、家屋の整備や防犯の為に管理会社の方が見回りに来ています。
以下は、記事を書いている12月4日に配信されたニュースです。
参考:(朝日新聞)「隗より始めよ」小池百合子知事、都職員の週休3日や部分休暇導入へ(2024年12月4日)
東京都が始める以前に、今年6月には千葉県庁が「フレックスタイム制による週休3日制」を導入しています。
参考:(朝日新聞)千葉県庁で週休3日のフレックス導入 利用者が初出勤、反応は?(2024年6月4日)
どちらも、育児や介護に柔軟な対応ができる様にして、人材確保をするのが狙いです。
2年前、新型肺炎が流行っていた頃に、週休3日制を取り入れる会社が増えている事を書きました。
続々と増える、週休3日制を取り入れる企業
私企業が週休3日制を始めたきっかけは新型肺炎と言う病気の流行により通勤勤務から在宅勤務という働き方になり、多様な働き方に対応する為と言うのが主な理由でしたが
・休日が増えれば「育児や介護もしやすくなる」
と、国も週休3日制を後押しました。
今回、東京都庁が千葉県庁に続いて週休3日制を取り入れたのは
・育児や介護の為に離職してしまう人を少しでも減らそう
という考えが都道府県庁という公務員にも広がりつつあると言う事でしょう。
去年からデイケアに行きだした父ですが、今や「ペンを持って字を書こうとするけど力が入らない」と言いだすほどにまでなっており、今年は年賀状を出すのを諦めてしまいました。
また私は、父を支える母の手助けとなればと思い、毎日の食後の後片付けや休日は買い出しの荷物持ちをしています。
この様な家の状況で私は仕事をしていますので「定年まで働けるか否か?」を考えながら勤務している状態です。
参考元:(Yahooニュース)【みんなで考えよう】介護と仕事の両立は可能? 親の介護はどうしている? あるいは、もし親が倒れたら? #老いる社会(2024年11月28日)
→HOME
記事を読ませていただきました。育児や親の介護などで離職しなければならない実情にもどかしさを感じてしまいます。子どもが複数いてもいざとなると考えなくてはならない問題でもあるのでしょう。今の日本社会の弱点と課題の記事に着目されていました。これからも記事を楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
国も、育児や介護の為に離職せざるを得ない人を少しでも減らすために、企業に育児休業や介護休業などの制度を義務付ける環境整備をする様に法改正するのだと思います。
少子高齢化で、高齢者だらけの日本では避けて通れない問題ですよね