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こんにちは、翼祈(たすき)です。
私は2022年に嚥下食を開発している【スナック都ろ美】の記事を書きました。それが下記になります。↓
その時に嚥下食というものと、とろみ粉というものを知りました。また、まだなかなか記事が書けなかった当時、初めて嚥下障害というものを知って、初めて公式ホームページの内容を挿入といった構成など苦労して書いたことを思い出しました。
そんな【スナック都ろ美】が提案したインクルーシブフードは、2023年2月から愛知県犬山市にある日本料理店「関西」が、嚥下障害の子どもさん向けの食事を開発し、販売していることを知りました。
食べ物を上手に飲み込めない摂食・嚥下障害の子どもを持つお母さんたちが、みんなが食べられる「インクルーシブフード」の開発を続けています。食べやすい形状に加工された介護食は高齢者を該当にし、想定して作られた食べ物が多いことを踏まえて、「子どもでも喜ぶメニューを作り続けたい」と意気込んでいます。
口の中ですぐに溶けるスパゲティー、一度切り刻んだ唐揚げを加工して二度揚げをして、元の形状に戻した「やわらか唐揚げ」ー。
「子ども達用の嚥下食を開発してくれませんか?」。
摂食・嚥下障害に関連する啓発活動などをしている、千葉県松戸市にある一般社団法人『mogmog engine』が、2022年6月に、愛知県犬山市にある日本料理店「関西」に提案して、東京都や専門家などと連携して開発、ネット販売されている子ども向け嚥下食のお弁当「もぐもぐBOX」(税込み3000円)は、「見た目が華やかで美味しい」と好評を集めています。
日本料理店の「関西」の社長の男性も子ども向けの嚥下食の提供に快諾し、『mogmog engine』のインクルーシブフードの開発の仲間に加わりました。
今回は、日本料理店「関西」が開発した、「もぐもぐBOX」などを取り上げます。
実際に「もぐもぐBOX」を食べた女の子の感想は?
販売されている介護食向けの嚥下食は一般的に高齢者向けで、サバのみそ煮などが多いと言われています。『mogmog engine』の法人共同代表の永峰玲子さんは「介護食はペースト状で、見た目が茶色のものが多いです。私たち親が食べたいものを、娘たちにも食べさせたいんです」と説明します。
永峰さんの長女は生後間もなく難治性てんかん「大田原症候群」を発症し、自力で食べ物を飲み込むのが困難になりました。永峰さんは、全ての食材をミキサーにかけるほか、水分が多い食べ物にはとろみを含ませ、1口ずつスプーンを長女の口に運んで食べさせています。「バナナ1本を食べさせるだけで1時間かかります。寝つける暇もなく、食事の介助や準備に時間がかかっています」と吐露します。
飲食店に行くと長女が食べられるメニューが無いことや、入店を断られたりすることも多く、次第に外出を躊躇う様になりました。
永峰さんの転機になった出来事は2019年、長女が進学した都内にある特別支援学校で行われたマルシェでした。露店の出し物の1つとして、永峰さんは他の親御さんと一緒に、とろける食感の寿司など飲み込みやすい食事が提供されたといいます。誰もが同じものを食べられる良さを感じ、「一度のマルシェで終わらせるのではなく、自分の困り事を自分の力で解決していきたいです」と思う様になりました。
永峰さんは、当時のマルシェで共に活動し、先天性の筋ジストロフィーを抱える娘がいる加藤さくらさんと一緒に、嚥下障害の子どもを持つ親御さんが集まるコミュニティー【スナック都ろ美】を立ち上げました。名称は、「スナックの様に気軽に悩みを相談できる居場所にしたい」という想いと、食事の「とろみ」に由来しています。
【スナック都ろ美】では、月に2回、「Zoom」で悩みを相談し合って、嚥下食のレシピなどの情報交換をする「スナック」を開催しています。【スナック都ろ美】に登録した「常連」の親御さんはおよそ400人に上ります。永峰さんと加藤さんは2022年4月、【スナック都ろ美】の運営元として『mogmog engine』を立ち上げ、インクルーシブフードの開発も本格的に着手しました。
子どもが楽しみながら味わって食べられるメニューを開発したいと、『mogmog engine』は、嚥下障害対応食を提供する愛知県犬山市にある日本料理店の「関西」に声をかけて、2023年2月、東京都や専門家、東京医科歯科大学などのチームの合作で「もぐもぐBOX」を完成させました。
日本料理店の「関西」で、「もぐもぐBOX」の開発の主軸になったのは料理長の男性です。上あごと舌で擦りつぶせるまで柔らかさが大前提で、食材全てをペースト状にした状態で成形しています。スパゲティはゆでた麺をペースト状にして、袋に入れて1本1本絞り出しました。唐揚げなら鶏肉を1回擦りつぶした上で、固くならない様に、カラッと再び揚げます。
「もぐもぐBOX」のメニューはそれ以外にも、サーロインステーキに、クリームドリア、カレイの照り焼き、厚焼き卵も。国旗を立て、クマの形のウインナーを添えるなど、童心をくすぐる、目を引く見た目にもこだわり抜きました。嚥下障害の当事者や専門家の意見も聞きながら「もぐもぐBOX」を完成させ、2023年2月に東京で開催した試食会では「初めて息子が唐揚げを食べた」と泣く家族も中にはいました。試食会に参加した親御さんたちも涙が出たことで、それ以来、「親泣かせの唐揚げ」と呼ばれています。
また、インクルーシブフードには、パティシエなどの開発によって、パフェやケーキなどスイーツも3種類開発されました。【スナック都ろ美】の参加者が、試食会で聞き取った意見や抱える食事の困り事を集めて、メニュー開発に反映させました。
『mogmog engine』は、スープ専門店「スープストックトーキョー」とも連携しました。『mogmog engine』は、「スープストックトーキョー」の幹部に直接働きかけ、2022年から、東京都立川市にあるルミネ立川店で柔らかさを意識した食パンの提供や客自身が具をつぶせるマッシャーなどの調理器具の貸し出しが実現しました。スイーツブランドへとのアドバイスを受けて「飲めるチーズケーキ」も開発するなど、『mogmog engine』の活動の幅は広がっています。
永峰さんは、「提供された食べ物を取り分けて娘と分けて食べる幸せを味わいたいです。全員で同じものを食べた、という経験が健常者と障害者の垣根を無くなっていくと思っています」と述べました。
加藤さんは、「誰しも年を取れば咀嚼の問題を抱える恐れがあります。若いうちから誰もが食べられるメニューを広げておくことで、嚥下障害が出て、普通の食べ物が食べられなくなった時が来ても、絶望しない社会を掲げていきたいです」と説明しています。
点と線が繋がった
この記事を書いている時、
食べ物をのみ込んだり、噛んだりすることが困難な人に向けて販売されている「嚥下食」は高齢者の方向けばかり-。
日本料理店の「関西」は6年前から、嚥下障害を持つ人に食事を楽しんで欲しいと、豪華な見た目と味を保ちながら、飲み込みやすい弁当作りの開発をしてきました。2022年から「口福膳(こうふくぜん)」として嚥下食のお弁当を販売しています。ですが、「口福膳」のメニューは照り焼きや里芋まんじゅう、煮物など、高齢者を意識したラインナップとなっています。
と書いてありました。その中で出て来た、「口福膳」は、私が先に記事が掲載された能登半島地震の被災地で、嚥下障害の障害者や高齢者に提供されている、と書きました。
この記事は2023年から知っていた情報でしたが、次の年になって、2024年に同じ嚥下食の記事だったとはいえ、「口福膳」が繋がって来るとは思ってもいませんでした。
この記事では「もぐもぐBOX」という子ども向けの嚥下食を書きましたが、身近なことで言うと、家族で父は歯がないことで、硬いものが食べられず、それは避けて、柔らかいものを好んで食べたり、ご飯も最後はお茶漬けの素を必ず入れて、口の中に流し込む様な形で食事をしています。
完全に嚥下障害の様な症状になっていると思います。
この記事の最後で取り上げた「口福膳」は、食べられない、でも食事を楽しみたい高齢者向け、多分父もさらに年を取った数年後に、お世話になると思っています。
嚥下障害は高齢者もなっていく障害ですし、これからも色んな企業がインクルーシブフードの開発を進めていって、どんな障害を持っていても、食事が楽しめる機会を作り続けて欲しいなと思います。
参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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