早発閉経(卵巣不全)。20〜30代で起きる閉経のこと。更年期障害も早く出現。

早発閉経

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

皆さんは、早発閉経(卵巣不全)という言葉をご存知でしょうか?余り聞き慣れない言葉かもしれませんね。

早発閉経(卵巣不全)とは、卵子が少なくなるスピードが一般的より速く、40歳未満で閉経してしまうことを指す言葉です。

女性は卵巣の中に卵子(原始卵胞)をおよそ200万個持って生まれてくると言われています。年齢と並行して卵子は少しずつ消失して、ほとんどの人は50歳前後で「閉経」を迎えます。

早発閉経(卵巣不全)はほとんどの場合、原因不明ですが、自己免疫疾患や染色体異常などの先天的な状態などが誘発すると想定されています。

「40歳未満で早発閉経(卵巣不全)を経験する女性は全人口の1%」が従来の定説でしたが、2017年に発表された国際的な論文によると、その早発閉経(卵巣不全)する割合は全人口の2%に上ると表記されました。

早発閉経(卵巣不全)が専門で、今までに3000人以上の患者さんを診察した産婦人科医の石塚文平医師は、若い世代はストレスや疲れなどで無月経や生理不順になる場合も多く、早発閉経(卵巣不全)に気が付かないこともあるとします。

生理不順だとしても『これが普通だ』と思っていて、1~2年経過してから婦人科を受診する人がとても多い傾向です。子どもが欲しいと妊活をスタートさせたタイミングで『なかなか妊娠できない』と不妊治療クリニックを受診し、そこで早発閉経(卵巣不全)だと分かる人も多くいます。更年期障害の様な症状が出現しない人もいますので、その場合は早発閉経(卵巣不全)だと自覚しづらいのです」と、石塚医師は説明します。

今回は早発閉経(卵巣不全)で悩んでいる当事者の声に耳を傾けながら、早発閉経(卵巣不全)を見分けるポイント、治療法などもお伝えします。

▽早発閉経(卵巣不全)ではないかと見分ける方法

3つのポイント

①無月経や生理不順などの異変に気付いたとき

②血液検査で抗ミュラー管ホルモン(AMH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値を解析したとき

③倦怠感やホットフラッシュなどの更年期障害の症状が出現していることが明らかなとき

▽早発閉経(卵巣不全)の治療法

早発閉経(卵巣不全)の人は、一般的な閉経年齢である50歳程度までは「ホルモン補充療法(HRT)」が必要だと言われています。骨や皮膚、血管など女性の身体の全身に作用する女性ホルモンが少なくなると、骨粗しょう症や認知症、動脈硬化などのリスクが上がるからです。

一方、妊娠を希望している時は、いかに「早期診断・早期治療」が重要です。卵子が残っていれば、卵巣凍結や卵子凍結などを受けることが可能だといいます。

参考:20代・30代でも更年期の症状が…生理不順を放置しないで NHK みんなのプラス(2023年)

石塚医師は、

「低用量ピルを服用して生理周期を調整する人もいると思いますが、定期的に血液検査を受けて、女性ホルモン値に異常がないか、検査をして下さい。低用量ピルには女性ホルモンを補完する効果があることで、飲んでいる中は更年期障害の症状を抑制する効果があることで、早発閉経(卵巣不全)だと異変に気が付かないケースもあります」

とし、

私たちの臨床研究では、36歳未満の早発閉経(卵巣不全)の人で、無月経の期間が4年未満のケースでは、特別な排卵誘発を行うことで分娩に至る割合がおよそ38%に達しました。これは一般的な不妊治療と同水準程度以上の成果です。必ずしも早発閉経(卵巣不全)の診断が絶対的な不妊の原因ではなく、時期や条件によっては早発閉経(卵巣不全)の治療ができます。それを時期や条件を見極めることが大事なことなので、速やかに専門医の診察を受けて頂きたいです

と説明しました。

早発閉経(卵巣不全)当事者の悲痛な声

気象予報士として仕事をする千種ゆり子さんは、20代の時に更年期障害を出現しました。

最初に千種さんが体調の異変を感じたのは、24歳の時だったといいます。生理が3ヵ月来なくて、近所の産婦人科に行きました。

医師に結婚や出産の予定があるかを質問され、「すぐには予定はありません」と答えると、「ピルで生理を起こして様子を見ていきましょう」と言われました。

20代の当時は都内の企業に入社してまだ2年目だったことで、「慣れない仕事でストレスを感じていたのかな?」と思っていました。

それからも生理が止まるたびに婦人科でピルを処方して頂き、飲み続けましたが、多忙な日々で毎回受診するクリニックはバラバラで、かかりつけの婦人科はありませんでした。

生理不順な状態が改善することなく、26歳でNHK青森放送局で気象予報士として働き出した千種さんでしたが、今度は急な気分の落ち込みやほてりに悩まされる様になりました。

千種さんは、「打ち合わせ中も私1人だけが額に汗をかいていたり、気象予報士として出演の準備をしていても急に身体が熱くなりました。保冷剤を肌に当てたり、扇風機の風に当たったり、とにかく暑くなったらすぐに身体を冷やすという対処を行っていました。体質的に体温調整が下手なのかな?、仕事でストレスが溜まっているのかな?と思っていました。理由が分からないことで、早くこの体調の異常の原因を突き止めたいと思い続けてました」

とあの当時を回顧します。

「これはどこか身体がおかしい」と思い、セカンドオピニオンを求めに行った婦人科で血液検査をすると、「早発閉経(卵巣不全)」と診断を受けました。

最初に生理不順を感じて婦人科を受診してから5ヵ所目、2年8ヵ月が経過していました。

「早発閉経って言葉、今まで1回も聞いたことないと、自分としてそのことを到底受け止め切れませんでした。ですが、やっと生理不順や体調の異常の原因が明らかになったという気持ちも持ちました」

千種さんの日記には当時の心境が綴られていました。

早発閉経は自分の子どもを産むのが難しいことみたい。まだハッキリとは分からないけれど

何度も病院を変えて行き着いた早発閉経という結論。早く早発閉経だと知っていれば治療できて子どもが産めるって思っていたけれど

千種さんは早発閉経(卵巣不全)の診断を受けた直後から顕著に減少していた女性ホルモンを補完する治療をスタートし、更年期障害の症状は改善されていきました。

ですが卵子の数が顕著に少なかったことで、青森県内では不妊治療を受けられる婦人科がないと言われました。不妊治療専門のクリニックを受診する必要があったので、1年後、東京に移り住むことにしました。

東京都内の不妊治療専門のクリニックで治療を試みましたが、採卵には至らず、29歳を迎えた5年前、将来子どもを持つことを断念することにしました。

なかなか早発閉経(卵巣不全)という現実は受け入れ難いことでしたが、周りの人たちのサポートもあって少しずつ前向きになれる様になりました。

2022年「早発閉経(卵巣不全)」であることを公表し、自身の体験談をメディアやブログで語り始めました。社会全体に早発閉経(卵巣不全)への理解を拡大させることが、一人で早発閉経(卵巣不全)を抱え込む当事者の力になると考えていたからです。

千種さんは、「現在は子どものいない人生を前向きな気持ちになっていきましたが、生理不順が始まった24歳の時に正しい早発閉経(卵巣不全)への知識を持っていて、主体的にクリニックを選択して行っていれば、不妊治療の結果も違ったかもしれないと思うと、今でも後悔している気持ちもあります。私のように早発閉経(卵巣不全)になって、後悔している若い人をこれ以上増やさないためには、私の体験を発信していきたいです」と述べました。

参考:WEB特集 若い世代で直面する“更年期障害” 早発閉経 乳がん治療でも… NHK(2023年)

私と早発閉経

私は早発閉経ではないのですが、生理が不順で、大体35日周期で生理が来ます。生理は精神的に参っていると、生理がどんどん遅れていきます。そのメンタルがやられている問題が解決したりすると、その日に生理が来たりします。

私が生理が1番来なかったのは、20代内科に緊急入院の3回目の時、3ヵ月生理が来なくて、婦人科を受診したら次の日に生理が来ました。

その次が去年と今年の40日で、40日も前の月の生理から空くと、前の月の下旬に来た場合、生理がない月もあって、毎回「閉経したのでは?」と不安になります。

私の近くで早く閉経している人は母です。母は20代の頃から重い生理痛に悩まされ、ドロッとした血の固まりが出て、不正出血は7日連続で続き、初めの頃は経血による痛みが強かったそうです。

私を出産した後の30代の頃、婦人科に行くと、小さな子宮筋腫が沢山あると言われて、子宮筋腫を取る手術も受けました。

一旦子宮筋腫は落ち着いていましたが、42歳の頃、寝ている時に、下腹部に石の様な握りこぶし大の固まりが手に触れて、婦人科を再度受診しました。

その頃、生理がダラダラ続き、2週間位生理が続いたことで、生理痛も長く続いていました。

婦人科では、「子宮全体に筋腫ができていて、完治するには子宮を取るしかない」と言われて、同年卵巣を残し、子宮を全摘出。一般的な閉経ではなく、早く閉経をしました。

50代に入ると更年期障害が出て来て、特に肌が落ちている枯れ葉の様に、カサカサ、シャカシャカと、潤いのない乾燥肌に悩まされたといいます。

その頃からエストロゲンを投与するホルモン治療を受けて、徐々に肌に潤いが戻って来ました。

私はいつも生理が重い、PMDDが酷いという話をしますが、母から言わせると、「子宮を取るくらい、悪かった私の前で言わないで」と、いつも怒られます。

40代とはいえ、意図しない形で早く閉経を迎えた母。この記事を書いて、生理が不定期周期な私も、他人事ではない問題なんだと、噛み締めてこの記事を書きました。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。いろいろな要因が閉経が早くなっていることも気になります。成長が早くなると影響が体に現れるのかもしれません。記事を楽しみにしています。

    • ハリネズミ様。
      お久しぶりです。コメントありがとうございます。

      私も来るとはいえ生理不順ですし、無月経が続いている人も、「いつものことだし」と思って、この病気が見落とされがちにあるのではないか?、と書いていて感じました。

      私自身もこの記事を書くまで知らなかったことでした。この記事がもしそういう異変のある方が、病院に行って、身体の異変に気付ける機会になればいいなと思っています。

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    左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。