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こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事には、「ヤングケアラー」「貧困」「生活保護」が出て来ますが、その中でヤングケアラーについて紹介したいと思います。
実態調査によると、公立中学2年生の5.7%(およそ17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4.1%(およそ24人に1人)が「世話や介護をしている家族がいる」と答えました。1学級につき1~2人のヤングケアラーが存在している可能性があることが分かった結果です。
世話や介護をしている家族が「いる」と答えた中高生の中で、およそ1~2割が、平日1日7時間以上を家族の世話や介護に費やしています。
世話や介護をしている家族が「いる」と答えた中高生が家族の世話や介護を始めた年齢は、中学2年生は平均9.9歳、全日制高校2年生は12.2歳でした。
ヤングケアラーは、ヤングケアラーの当事者の間でも認知度は低く、自分がヤングケアラーに該当すると思うか?と質問すると、中学2年生では1.8%、全日制高校2年生では2.3%が「該当する」と回答するなど、「聞いたことはない」と8割以上が答えました。
この様に、言葉が浸透しつつあっても、当事者にはまだまだ浸透していない、ヤングケラーという実態。その実態に投げかける、1本のドラマが、2024年5月に放送されます。
貧困ジャーナリズム大賞特別賞、日本児童文学者協会賞を受賞した作家の安田夏菜氏の小説『むこう岸』が俳優の西山蓮都さん、石田莉子さん、サニーマックレンドンさんでドラマ化されます。2024年5月6日(月)にNHK総合で21:30~22:43に放送されます。
有名私立中学をドロップアウトした少年が、生活保護を受けて暮らす少女と出会って、再度未来への希望を見出してゆく姿を描きます。
今回はこのドラマについてと、このドラマのメインテーマの1つとして描かれる、ヤングケアラーの現在の支援状況について、説明します。
あらすじ
とある公立中学校に転校してきた山之内和真は、「有名私立中学で落ちこぼれた」という秘密を、クラスメイトの佐野樹希に知られてしまう。「取り引きしない?」と樹希に命じられたのは、彼女を慕う口のきけない少年・アベルに勉強を教えることだった。エリート主義の父親からのプレッシャーに悩んでいた和真は、近所のカフェのマスターが子どもたちに開放している小さな部屋で、アベルや樹希と過ごすうちに、自分の居場所を見つけてゆく。だが、病気の母と幼い妹を抱え、生活保護を受けて暮らす樹希は、将来に希望が持てず、なりたかった看護師の夢もあきらめていた。そんな樹希を見かねて、「理不尽だよ」と和真が手にしたのは「生活保護手帳」。大人でも難解な内容を読み解き、なんとか解決策を見つけようと奮闘する。そして、ケースワーカーや塾講師など、周囲の大人たちを巻き込みながら、ついに起死回生の一手を見つけ出すが……。
ここからは現在取り組まれている、ヤングケアラーの支援の在り方の議論について、取り上げます。
ヤングケアラーの支援、法整備中
家族の世話や介護などをしている子ども達、「ヤングケアラー」への支援は法律では明確な規定がないことで、地域による支援体制にもばらつきがあることが課題であり、こども家庭庁は自治体や国によるヤングケアラーの支援の対象として法律に明らかに記して、対応の強化を図りたい方針を決定しました。
法律の改正案では、ヤングケアラーを「家族の世話や介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると該当する子ども・若者」と明記し、自治体や国にはヤングケアーの支援を行う努力義務を課すとします。
参考:“ヤングケアラー” 支援対象として法律に明記 対応強化へ 首都圏 NEWS WEB(2023年)
ヤングケアラーの支援、【家庭ヘルパー】
埼玉県志木市は、病気やきょうだいの家族を介護や世話している「ヤングケアラー」の小中学生を洗い出して、【家庭ヘルパー】を派遣して負担を軽減する支援事業をスタートします。費用180万円を2024年度予算案に計上しました。志木市は「聞き取りやアンケート、組織横断のネットワークでヤングケアラーを把握して、個別でのケースに適した支援を行います。全国的にも珍しいのではないでしょうか」と説明しています。
志木市は2023年8月から2024年2月にかけて、全小中学校12校で小学4年生以上を対象に外部講師を紹介して「ヤングケアラー講座」を開講しました。ヤングケアラーへの理解を深め、その場でタブレット端末を使用しアンケートを実施しました。
すると、「(自分は)ヤングケアラーだと思う」と回答した児童・生徒は対象者3889人の2%に当たる79人いました。これ以外にもヤングケアラーの可能性のある児童・生徒を対象に聞き取り調査を実施し、負担が大きく、行政の支援が必要なヤングケアラーを43人(小学生24人、中学生19人)に絞り込みました。
【家庭ヘルパー】は、必要に応じ買い物や食事作りなどの支援を行います。また、介護保険を使用し福祉サービスなどへの橋渡しも担います。支援回数は週2回、1回2時間で、原則3ヵ月以内となりますが、最長6ヵ月まで延長可能です。
香川武文市長は「志木市は子育て支援、教育部門、母子保健、の組織を横断した『児童相談システム』を持っていて、1人も取り残さない様に励んでいます。43人という人数は、かなりヤングケアラーの実態に近い数字だと考えています」と述べました。
ヤングケアラーが困っていること
「世話や介護をしているために、やりたいけれどできていないこと」について、ヤングケアラーかどうかに対して「該当する」と答えた中高生は、「該当しない」と答えた中高生に比較して、特に「自分の時間が取れない」「勉強する時間や宿題をする時間が取れない」、「友人と遊べない」、「睡眠が十分に取れない」、と答えた割合が高くなっています。
大人や学校に助けて欲しいこと、必要な支援については、「受験勉強や学校の勉強など学習のサポート」が最も高く、次いで「自由に使える時間が欲しい」となりました。
ヤングケアラーの子ども達が世話や介護を一緒にしている人に関して、中学2年生では9.1%、全日制高校2年生では11.4%が「自分のみ」と答えました。
また、世話や介護をしている家族が「いる」と答えた中高生に、世話や介護に関して相談した経験の有無を尋ねると、相談した経験が「ある」が2~3割、「ない」が5~6割でした。
世話や介護に関して相談した経験が「ない」と答えた人に、その理由を聞くと、「誰かに相談する程の悩みではないから」が最も高く、「相談しても状況が変化するとは思わないから」も高くなっていました。
私はちょうど1年前の今頃に、[私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記]を取り上げました。この作者の人の新しい記事が最近掲載されていて、作者の方は統合失調症の母をもち、幼稚園のころから家族の世話をしてきたそうです。
私が間に挿入する画像を探すために、検索していると、お姉ちゃんが小さい弟の世話をしているのもあって、「そうか、お母さんとかご両親が病気だったら、このイラストの様なことは多いだろうな」と感じました。
ヤングケアラーであっても、相談したことがないという回答には驚きました。本当に当事者に対し、支援が足りないのだなと思います。国には、安易な方向で支援をするのではなく、抜本的に解決する様な支援を打ち出して欲しいです。
参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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