障害者が住みやすい国へ-「障害者差別解消法」改正で義務化された事-

この記事は約 5 分で読むことができます。

こんにちは、金次郎です。

 障害を持っている人が、生活する際に直面する様々な壁を取り除くための「合理的配慮」を行う事を民間事業者に対しても義務づける「改正:障害者差別解消法」が、2024年4月1日から施行されます。

・「合理的配慮」とは何?
・障害者に対してどんな声かけをすればいいの?

様々な当事者と対話を通じて学ぶプログラムが、長崎県のJR長与駅で開かれました。
 座学では障害がある当事者が進行役を務めました。

 この日の座学での講師は、福岡県筑紫野市に住む山本順子(よりこ)さん(56歳)。
 2014年に重症筋無力症と診断されまして、当時していた仕事は退職しましたが、2019年からは遠隔操作ができる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」のパイロットになります。
 2022年よりフルリモートで人事労務サービス事業などを展開する企業で働いています。
 この日の講義も、「オリヒメ」を介して座学を進行しました。

参考:(朝日新聞)障害ってなに? 駅舎使って当事者と考えるプログラム

「障害者差別解消法」の改正

 国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた日本国内の法整備の一環として

「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられる事無く、相互に人格と個性を尊重し合いな
 がら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進する」

 上記を目的として

2013年(平成25年)の6月に
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律障害者差別解消法
が制定され、2016年(平成28年4月1日)から施行されました。

 この法律が、今年2024年(令和6年4月1日)より改定され、行政機関と民間事業者に障害を理由とした「差別的取り扱い」をしない事を「推進」から「禁止」にします。
 更に、障害者が社会生活を送る際に生じる障壁を取り除くための「合理的配慮」を義務付けた法律に変わります 

「合理的配慮」とは?

 「合理的配慮」とは、障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されると共に、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できる様に、それぞれの障害者が持っている障害の特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことです。

 上記、「障害者差別解消法」により、この合理的配慮を可能な限り提供する事が、行政・学校・企業などの事業者に求められるようになりました

 法律の施行当時は「努力義務」で「提供することを、努力しなければならない」でしたが、今回の法改正で「法的義務」になって「提供しなければならない」へと変わります

参考:(LITALICO)合理的配慮とは?

対象者と対象事業者は?

 対象者

 身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含みます)、その他の心身の機能の障害が有る人で、障害および社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある人です(同法2条1号)。

対象事業者

 商業やその他の事業を行うものであり(同法2条7号)、目的が営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う事業所全てです。
 なので、地方公共団体の経営する企業および公営企業型地方独立行政法人も含まれます。
 しかし、国や独立行政法人、地方公共団体および公営企業型以外の地方独立行政法人は除かれます

どんな事が差別に該当し、違反者にはどんな罰則があるか

 正当な理由無しに

・障害を理由として、財やサービス・各種機会の提供を拒否する
・提供するに当って、場所や時間帯などを制限したり、障害者でない者に対しては付けない条件
 を付けたりする

 など、障害者の権利利益を侵害することが禁止されます。

 民間事業者が、これらの取り扱いに違反した場合、直ちに罰則等の対象となるわけではありません。
 しかし、違反が繰り返される等、自主的な改善が期待できない場合には、先ず主務大臣が、民間事業者に対して報告を求め、助言・指導・勧告をする事ができます。
 そして、民間事業者が主務大臣の求める報告を行わず、または虚偽の報告をした場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象となります(同法26条)

終わりに 

 私個人的には、8年前に「障害者手帳」が交付されて以来、特に「障害が有るから差別された」と言う経験は今のところ有りません。
 むしろ、通勤や通院などで使用している鉄道会社の「ICカード乗車券」を、障害者手帳を見せたら「障害者用(運賃半額)」に作り変えてもらった程です。

 「差別された?」と思う様な出来事は、一般企業(個人商店)の面接で「耳に障害を持っておられるのですね」と言われ、店長さんが困った顔をされ「実は、あなた以外に応募者がこんなにいるのです」と名簿を見せられて不採用だった事くらいでしょうか?
 あれは、多分私の難聴のせいではなく、他の応募者で私よりも採用したい優秀な方がいたのでしょう。

 でも、今回の法改正で障害者に対する配慮が「努力義務」から「義務」になったと言う事は、障害者と言うだけで差別している企業や団体がまだまだたくさん有るからこそだと思います。
 それは、前回書いたチョコレート会社の記事でも、障害者雇用が法的人数に達していない 会社の方が多いと言うのでも明らかです。
 私を含め、皆さん好きで障害者になってしまったのでは無いと言う事を忘れないで欲しいです。

参考:(BUSINESS LAWYERS)2024年4月施行!障害者差別解消法で合理的配慮が義務化

参考:(内閣府)障害を理由とする差別の解消の推進

HOME

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。