『アフター・ミー・トゥー』。「#Me Too」が始まった韓国の現在を見つめた映画。 

アフター・ミー・トゥー

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

2017年にハリウッドでアメリカの有名映画プロデューサーのセクハラや性暴力を受けて、始まった「#Me Too」を、皆さんは覚えていますか?

世界中に広がり、韓国でも大きく拡大した「#Me Too」運動から数年、残された課題と連携の様子を4つのテーマで絞り、迫った韓国のドキュメンタリー映画『アフター・ミー・トゥー』。この度、この映画に賛同した有志から上映会が評判を呼び、2023年9月16日(土)より、ユーロスペースほか全国の映画館で順次公開することが決定しました。

2017年秋、ハリウッド映画の大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン被告への告発を契機に世界中に拡大した「#Me Too」。性暴力の被害経験を「#私も」というハッシュタグを添えてSNSに投稿する運動は、フェミニズムの気運が向上していた韓国でも、2018年以降大きく拡大していきました。

今回はこの映画に関してと、今も消えない韓国の無意識の性暴力が起こる偏見について、考えていきたいと思います。

あらすじ

それから3年後の2021年、「#Me Too」はどのような状況にあるのか。本作は、「#Me Too」の“その後”を4つのテーマで映し出す。

映画は、これまでもフェミニズムをテーマにした作品を手掛けてきた世代の異なる女性監督4人による4編のオムニバスで構成。学校やアートの現場で「#Me Too」運動に参加した人たちのその後を描く作品や、「#Me Too」から取りこぼされた中年女性の姿を追う作品のほか、「加害」「被害」の区分けが難しいグレーゾーンをテーマにした作品も収め、「#Me Too」の先にある新たな課題を観る者に問いかける。

画像・引用:韓国#Me Too、その後を追う4つの物語『アフター・ミー・トゥー』公開決定 予告編解禁 cinemacafe.net(2023年)

予告編も公開中

ここからは「#Me Too」運動から5年経過しても、根強く残る韓国の偏見について、お話しします。

韓国で根強く残る性暴力を受けた人への偏見。

露出の激しい服装が性暴力の要因となったー。この様に考える人が韓国人の46%に上ることが、女性家族省の調査で判明しました。性暴力への歪んだ偏見が根強く残っている考え方が改めて浮き彫りになりました。それ以外にも5割が「被害者はすぐさま警察に申告するべき」という考えもあるにも関わらず、実際に性暴力の被害を受けた時、警察に申告したことがあると回答した人は2.6%に過ぎませんでした。

女性家族省は2022年3~12月、満19~64歳の男女1万20人を対象として「2022年性暴力安全実態調査」を行いました。回答した人の52.6%が「性暴力に遭ったら被害後速やかに警察に申告するだろう」と話しました。

その上で「性暴力は露出が激しい服装を着ていたことから受けるだろう」(46.1%)▽「加害者に対する怒りや金銭的要求のために、報復で性暴力を受けたと偽って申告する人も多いだろう」(39.7%)▽「被害者が酒に酔った状態で性暴力に遭った時、被害者にも責任があると思う」(32.1%)▽「キスや愛撫を認めたことは体だけの関係まで許しているという意味だと思う」(31.9%)―などの回答も寄せられました。

性暴力への恐怖を聞いた質問では「夜遅く一人で道路を歩いている時、性暴力に巻き込まれるのではないかと感じて、怖い」(36.2%)という質問で「その通りだ」という回答率が最多で寄せられました。次点で「家に一人だけで過ごしている時、見知らぬ人の訪問が凄く怖い」(30.8%)▽「普段、性暴行・窃盗・強盗などの被害に遭うのではないかと常に心配をしている」(30.1%)ーとなりました。

性的被害に遭った時、「一度でも警察に申告した経験がある」という回答は2.6%で、「一度でも被害者支援機関の助けを求めた経験がある」という回答は0.6%しかありませんでした。

男女共に年齢が上がれば上がるほど、また同世代でも女性より男性の方が、性暴力への固定観念が強い傾向だと分かりました。

参考:「露出の激しい服装が性暴力の原因」「酔っ払った被害者にも責任」…韓国に根深く残る「歪んだ感覚」 AFP BB News(2023年)

「#Me Too」運動が始まったきっかけとなった人の現在(いま)

アメリカでセクハラや性暴力をして訴えられた元映画プロデューサーは、2023年2月23日にロサンゼルスの裁判所で、禁錮16年の量刑を言い渡されました。

この元映画プロデューサーは、2020年、ニューヨーク州の裁判所から別の性的暴行事件でも、禁錮23年の量刑を言い渡されて服役していて、今年16年の量刑が加算されたことで、アメリカの地元メディアは「かつてのハリウッドを牛耳った大物は残りの人生を、最後まで刑務所で過ごして終えることになるだろう」などと伝えていました。

日本でも「#Me Too」運動が芸能界などでも告発が加速し、2022年には性暴力をした映画監督の映画が、公開前に公開が中止になったこともありました。

この記事を書いて、韓国では「派手な服を着るから、性暴力に遭う」など、懐古的な意見が根強いことに驚きました。

私は「#Me Too」運動はもちろん知っていました。その運動の先の話を知ったのが今回が初めてでしたので、被害者の運動のその先を見つめた、という意味でもとても貴重な映画になっているのではないか?と思いました。

参考サイト

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「グラビア会社代表から性的暴行受けた」告白続出…韓国でモデルたちの「MeToo」 AFP BB News(2023年)

「名もなき人の#MeTooにリスペクトを」 性暴力・セクハラ告発運動の「その後」描いた韓国映画、公開へ 東京新聞(2023年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。