「odd」。〜織物製造の残糸を、手袋や足袋に変えるアップサイクルアイテム〜 

odd 宮田織物 SGDs

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

織物を折る時に残る糸は、約1キロと相当な量です。福岡県筑後市にある「宮田織物」でも、はんてんなどの織物を作る時に出る、大量の残り糸は大きな課題でした。

そんな中、宮田織物の企画課テキスタイルデザイナーの女性が残り糸で、新しいアイテムを作るアップサイクルで、手袋や足袋などを製造する『odd』を企画し、商品化しました。

商品化以来SDGs的にも良い、オシャレなアイテムだと、多くの支持を受けています。

今回はその『odd』が出来るまでの過程と、現在の立ち位置についてお知らせします。

『odd』とは?

  • odd シリーズとは、宮田織物の布地作りに使用している上質の綿の残糸(ざんし)を使用したアップサイクル商品。
  • 宮田織物の布地作りに使用している上質の綿の糸は、織物の品質を維持する為に、年間に多くの「使えるはずなのに、使えない糸(残糸)」が生まれてしまいます。
  • 1枚1枚の柄が異なる不揃いが故の彩りをお楽しみ下さい。

画像・引用:odd シリーズ「軍手工房 イナバ」|宮田織物 公式通販サイト

【odd glove】が誕生するまでの過程

福岡県筑後市羽犬塚にある創業から100年以上の歴史を持つはんてん製造の老舗「宮田織物」は、[久留米織]などの織物を製造しています。

はんてんの売り上げは1970年代に全盛期を終えましたが、現在は婦人服や、はんてんの綿を予め抜いた[haori]といった、アイテムの幅を拡大させています。

織物は、織機で幅1・5m程度ある大きな布を織ることで、糸巻きの最後の部分で残る短い糸は使われずに大量に残っていました。数が膨大なだけに、残ってしまう糸も大量です。織り機で使用する糸の重さは1本当たり約1キロとなります。織る布の長さは限定されてしまうので、製造の過程で終わりには必ず糸が余り、その量は1ヵ月で60キロにものぼります。生地を織り上げる為に使用する糸は染色された糸です。

同「宮田織物」は1913(大正2)年より創業されています。メインアイテムの綿の入ったはんてんや甚平、作務衣などの着るものを製造して販売も行い、使用する生地は同「宮田織物」の工場で製造されます。千鳥格子、七宝、縦じまなど毎年で100種類のデザインを織り上げます。使用する糸だけでも、毎年で約500色に至ります。

さらに、はんてんのデザインやカラーバリエーションを展開する程残る糸の数も増加していきました。同じカラーでも染めた季節や気候、湿度が違うと色合いも異なるデザインになるので、残った糸をアイテムに使用することは困難でした。以前は残った糸は廃棄処分にするのが当たり前の光景でした。

繊維業界での共有の悩みは、生地や衣類を製造する過程で残ってしまう大量の糸や布にありました。同「宮田織物」では、毎月大量に残っていた糸くずにスポットを当て、色鮮やかなアイテムに変換させました。転機は、異業種から転職して来た若手デザイナーの「気付き」からでした。

余った糸で何かに活かせないか?」。企画課テキスタイルデザイナーの女性は、同「宮田織物」に入社してから、ずっと工場の倉庫に余って処分に困る糸が気がかりでした。2016年に福岡県福岡市の映像制作会社から転職して入社しました。

解決のきっかけになったのが、全国のテキスタイルデザイナーが集う展示会でした。兵庫県の播州織の生産者の人が、残った糸で編み込んだ綿織物のサンプルを来場した人にプレゼントしていました。残った素材を、新たな価値のあるアイテムに変換させる「アップサイクル」という技術の一例でした。

手袋は編む作業が必要な工程となり、織機しかない同「宮田織物」では手袋は製造することが不可能だったので、福岡県久留米市の軍手メーカー「イナバ」に製造をお願いしました。

「新しいアイテム開発で新しい糸を求めていました」という同「イナバ」側も快く引き受けました。糸を余分に譲る代わりに、手袋を無料で編んで頂くことになりました。

手袋は4色の糸を1本に併せて編み、カラフルな色が混ざり合ったような独特のデザインを生み出しました。不均一な色の混ざり具合が視覚的に観ても楽しく、全く同じ柄の手袋は1つとして出来ないので、仮に片手が破れても、また両手で使用出来る様に、手袋は5枚1組にしました。アイテム名の『odd(オッド)』とは「奇数」「奇妙な」という意味の英語です。

参考:はんてんの老舗と軍手メーカーがタッグ おしゃれ手袋を開発 西日本新聞(2020年)

同「宮田織物」の企画課テキスタイルデザイナーの女性は、「カラーバリエーションは、多くの種類のはんてんを製造する『宮田織物』の強みでもあります。組み合わせを自由に楽しんで頂けたら」と言います。【odd glove】の販売価格で税込990円となります。

2022年となり、『odd』の現在(いま)は、

2020年10月に初めて製造させたアップサイクルアイテム【odd glove 】を100セット分を販売したところ、想像以上に反響を寄せられ、生産数を増やしてこれまで860セット以上が売れました。現在では『odd』アイテムはシリーズ化して、足袋や腕や首、脚に着用可能なカバーもアイテムに仲間入りしました。『odd』の足袋は990円(税込)、カバーは2420円(税込)で販売しております。

参考:染めた残り糸で手袋 老舗織元、きっかけは「染まってない」若手社員 朝日新聞デジタル(2022年)

同「宮田織物」の社長の女性は余った糸くずの廃棄処分に関しては「お恥ずかしい話となりますが、感覚が傾き問題視して来なかった」とこう振り返りました。繊維業界の「常識」に染まっていない、企画課テキスタイルデザイナーの女性の“気付き”は「良い“気付き”で課題を表面に洗い出してくれた」と言います。

企画課テキスタイルデザイナーの女性は「残った素材の中からでも、何か活用出来るのでは?と常に熟慮する。それが『新しい生産性』だと思います」。今後も『odd』シリーズのラインアップするアイテムを拡大させていく予定だと言います。

手袋が可愛い。

私は手袋はあまりしない人でした。携帯機器を持つ時に、入力や検索などが手袋をしていると、出来ないからでした。数年前に指が出る手袋を買いまして、それからは冬はその手袋をしています。

oddの残り糸で、手袋や足袋などを作るという考えは、私の頭にはなかったですね。確かに色んな残り糸を使うので、色んな味が出て、オンリーワンで配色も素敵だなと思いました。

また今回も素敵なSDGsアイテムに出会いました。宮田織物さんが筑後市、oddを製造している会社が、TANOSHIKAのある同じ久留米市で、それも嬉しかったです。これからもoddの発展を、同じ久留米市で働く者として応援していきたいと思います。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。