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こんにちは、翼祈(たすき)です。
障害があっても無くても、皆が楽しめる博物館や美術館を指す、『ユニバーサル・ミュージアム』。2000年代前半から広がり始めた考え方で、場所によっては車椅子ユーザーの為に展示品を低い位置に飾ったり、解説映像に手話通訳を入れたりしています。コロナ禍となり、『ユニバーサル・ミュージアム』が2021年7月頃から随時再開されています。
今回はそんな『ユニバーサル・ミュージアム』の世界へと誘います。
2021年7月、『ユニバーサル・ミュージアム』再開。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国の博物館や美術館が延期してきた「触る展示」の再開が動き出しました。背景には、視覚障害などのあるか無いかに関係なく展示を気軽に触れられて楽しめる『ユニバーサル・ミュージアム』への想いがあります。
福岡県太宰府市にある九州国立博物館では2021年7月下旬、目が見えない福岡市中央区の団体役員の男性が古墳時代の「 埴輪馬」のレプリカを触りながらこう呟きました。「頭が大きいね。この形は馬の埴輪の馬具かな」
「ならべてわかる本物のひみつ」と名付けた企画展で、ほかに銅鐸や仏像の頭部などのレプリカが実物と一緒に壮大に展示されています。同九州国立博物館は展示物に触る前の手指消毒を義務付け、使い捨てのビニール手袋も完備。スタッフも定期的に消毒し、新型コロナウイルス感染対策を徹底します。団体役員の男性は「触って楽しめる展示会がもっと増えれば、博物館は視覚に障害を抱えていてももっと身近な存在になる」と賛同しました。
同九州国立博物館は2020年秋にも同様の企画展を実施しましたが、当初予定していた展示物への接触は禁止していました。主任研究員は「接触感染のリスクは対策次第で減らせることがわかってきた。誰でも楽しめる博物館にするには、『触れる展示』の実施は必須」と強調します。
参考:消毒徹底 文化に触って…ユニバーサル・ミュージアム 視覚障害者も満喫 読売新聞(2021年)
日本博物館協会(東京)専務理事は「触れる展示を再開させる施設は全国的に増えている。徹底した感染対策を講じた上での実施は、ユニバーサル・ミュージアムの観点からも歓迎できる。それぞれの施設の取り組みを共有できるよう、協会としても支援したい」と話しています。
『ユニバーサル・ミュージアム』in国立民族学博物館
触れて絵画を体験する特別展「ユニバーサル・ミュージアム-さわる!“触”の大博覧会」が、大阪府吹田市の国立民族学博物館で開催されています。新型コロナウイルス感染拡大の今、あえて「触って体感する」の可能性にかける企画で、約50の団体・個人が色々な触感の約280点を出品。視覚障害を抱える人のいる社会の存在を見つめ直します。
『ユニバーサル・ミュージアム』とは「誰もが触れて楽しめる博物館」という意味です。視覚に障害を抱えていても観賞可能な展示物だけでなく、視覚以外の五感も呼び起こす様な工夫を凝らしています。
「試触コーナー」には、国宝・興福寺仏頭のレプリカが展示されています。視覚に障害を抱える人がどう触るのか迷っていると、近くに設置のモニターから流れて来た動画から同国立民族学博物館准教授の男性の優しい声が聞こえて来て「無視覚流鑑賞」の心得を教授して頂けます。
「朝起きて顔を洗う、あるいはメイクをしているような感覚で…」。手のひらで仏頭の全体像を確かめます。彫刻の細工は指先で、様々な方角から触れます。火事の損傷跡も撫でると「愛くるしさみたいな愛着が湧き出してくるのではないか」と同国立民族学博物館准教授の男性は話します。
彫刻や風景、歴史など題材の展示に足を運ぶと、会場は一転し暗い仕様となります。触覚に頭を集中して頂くためです。画家達は感情や時間、エネルギー、癒やしといった「目には見えないもの」をカタチにしようと挑戦しました。音だけで表現された作品も多数展示しています。
参考:触覚の奥深い世界へ 大阪・国立民族学博物館「ユニバーサル・ミュージアム」展 視覚偏重の社会問う 神戸新聞NEXT(2021年)
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名画や耳なし芳一にもさわれる「触」の博覧会 産経新聞(2021年)
『ユニバーサル・ミュージアム』in古代オリエント博物館
西アジアやエジプト、シリア地域の貴重な史料を紹介している、東京都豊島区東池袋三にある古代オリエント博物館で、視覚障害を抱えている人に展示を楽しんで頂きたいと活動が進行しています。「ユニバーサルな博物館」として、研究員は、「障害を抱えている人や、子どもから大人、みんなが楽しめる展示にしたい」と試行錯誤を重ねています。
「触ってみて下さい」。古代オリエント博物館であった視覚障害を抱えている人向け解説のリハーサルで、協力した視覚障害を抱えている人たちが凹凸のある地図を手で触れてメソポタミアや古代エジプトのあった場所を確認しました。シリアで出土したメソポタミアの円筒印章や四十万年前の石器「ハンドアックス」などの複製や実物を手に取り「結構重いね」などと感想を述べました。
この日は障害を抱えている人たちが研究員などの解説を受けて館内を巡り、ギリシャ神話の英雄「ヘラクレス胸像」など貴重な展示物に触って鑑賞しました。古代オリエント博物館のスタッフなどは障害を抱えている人たちを誘導する動きを確認しました。
豊島区盲人福祉協会の会長は、「触れると想像が付きやすく理解が深まります。視覚障害を抱えている人たちにも楽しめる場所があることを広く認知させたいです」と評価しました。
特別支援学校の男性は、「各地で同様の取り組みは増加傾向ですが、さらに機運を高められれば良いと思います」と期待していました。
私と博物館。
私の県には九州国立博物館があり、何回か観に行ったことがあります。初めて行ったのは、漢委奴国王印が来ていた時。その時の友達だった人と皆で観に行き、人が群がって他の人が観れなかった中、私は「すみません、すみません」と言いながら、前に進んで目の前まで来て、まじまじと金印を観ましたね。
その後は訓練で行っていた施設のプチ旅行で観に行ったり、プライベートでも観に行きました。最初に出来た頃と違って、昔は確か登っていかないと行けなかったので、直接九国に繋がる長いエスカレーターが出来た後は、快適に行けました。
『ユニバーサル・ミュージアム』も素敵な取り組みですね。私が知らなかっただけで、2000年代にはあったそうですが、これからも障害を抱えていても芸術を愛する心、触れる事の出来る機会を無くさないで広げて頂きたいなと思います。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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