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はじめに
2022年4月から、子宮頸がんワクチンの接種が再開されることになり、不妊治療の保険適用となりました。
現在、わたし達多くの日本人は妊娠や生殖に関して知識が不足している状況です。
HPV(ヒトパピローマウイルス)が子宮頸がんだけでなく、男性の中咽頭癌や陰茎がんの原因であることや、40歳以上の流産確率が50%以上、45歳以上は93%であること、自然妊娠の確率が45歳以上で5%未満しかないということを知っているという方は多くないと思います。
【プレコンセプションケア】サイトオープン
浜松医科大学名誉教授の全面協力の下、これまで公ではあまり語られてこなかった妊娠前のケアの重要性を、1問1答の質問形式で答えるサイトを無料公開することになりました。
プレコンセプションケアとは?
プレコンセプションケアとは、
プレ(pre)は「〜の前の」、コンセプション(conception)は「受精・懐妊」で、プレコンセプションケアは「妊娠前の健康管理」という意味になります。
WHO(世界保健機関)は2012年に「妊娠前の女性とカップルに行動学的・医学的・社会的な保健の介入を行うこと」と定義しています。
プレコンセプションケアの目的は主に3つあります。
①若い世代の健康を増進し、より質の高い生活を実現してもらうこと。
②若い世代の男女が将来、より健康になること。
③ ①の実現によって、より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちをより健康にすること。
の3つです。
つまり、プレコンセプションケアは、近いうちに妊娠したいと考えている女性だけでなく、思春期以降、妊娠可能な年齢の全ての女性に必要なものであり、そして、女性の健康を支えるパートナーの方やそのご家族、企業の健康支援のご担当者様にも知っていただきたいことなのです。
5つの具体例
具体的なプレコンセプションケアとして、やっておきたい検査や準備について5つの項目に分けて説明します。
①適正体重を守る
18〜49歳の女性の適正体重の範囲は、BMI値で18.5〜24.9です。
やせ型(18.5未満)の女性は、低出生体重児等の素因になり、反対に肥満型の女性は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群等につながります。
適正な体重の範囲に収まるように妊娠の前に体重をコントロールすることが大切になります。
②栄養バランスを整える
最近の若い女性は、カルシウム、たんぱく質、食物繊維等が不足して、「低栄養」の傾向があり、1日3食、きちんと食事を摂りましょう。なにより、できるだけ栄養バランスが整う食事を心がけましょう。
また、葉酸(ようさん)も積極的に摂取するといいでしょう。
葉酸は、妊娠中の胎児の細胞分化に不可欠なビタミンで、ほうれん草、ブロッコリー、納豆などに多く含まれています。日本産科婦人科学会では妊娠前からの葉酸サプリメントの服用も有効としています。
③適度に運動する
最近では、若い女性は運動から遠ざかりぎみで、体力が低下しがちです。
1週間あたりの理想的な運動量は150分ほどが目安です。
運動不足の人は、今よりも毎日10分程度長く歩くなど、身体活動量を少しでも増やす意識をしてみましょう。
④禁煙する・受動喫煙を避ける
喫煙は流産や早産、低出生体重児の出産などのリスクを高めます。
現在、喫煙している女性は妊娠する前に、完全に禁煙しましょう。
自分の意思での禁煙が難しければ、禁煙外来を利用してみましょう。
また、受動喫煙もお互いの健康に影響を及ぼすので、パートナーも禁煙することがいいでしょう。
⑤アルコールは控えめに
厚生労働省「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均の純アルコールで20g程度とされています。
しかし、女性は男性に比べてアルコールの害を受けやすい傾向があります。ですので、妊娠前から純アルコール10g/日以下に、お酒は控えましょう。
純アルコール10g分とは、ワインなら100ml程度、アルコール度数5%のビールなら250ml程度です。
⑥ストレスを溜め込まない
過度なストレスは、心の不安や抑うつの原因になります。
ストレスを溜め込まないように、自分なりのストレス発散方法や、リラックスできる方法を見つけておくことが大切です。
福岡市での取り組み
私が住む、福岡市では、5年前に不妊治療の専門相談センターを開設したり、プレコンセプションケア推進事業を展開するなど不妊の悩みの一助になるべく動いています。
6,000円から10,000円かかるAMH(卵巣機能検査)の自己負担を500円にする施策を展開(30歳女性を対象)し、自治体によって様々ではあるが、行政にも不妊治療をフォローする動きが広まっています。
【福岡県公式ホームページ】
福岡市 福岡市プレコンセプションケア推進事業 (fukuoka.lg.jp)
最後に
プレコンセプションケアセンター責任者の荒田 尚子医師は、
「女性には、妊娠前から自身の健康状態やリスク因子を把握して、早めにケアを始めてもらうことが大切だということです。また、持病などによって妊娠が難しい人も、プレコンセプションケアによって妊娠の道を探ることができるのです。」
と語っておられます。
その言葉のとおり、若いからまだ大丈夫ではなく、若いからこそ気をつけておきたいと思うことが大切なことなのです。
参考サイト
【暮らしSwitch】5.5組に1人が「不妊治療」を受けている – RKBテレビ / タダイマ!
プレコンセプションケアセンター | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
「プレコンセプションケア」をみんなの健康の新常識に | 健康イベント&コンテンツ
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