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ケアリーバーとは?
ケアリーバー=虐待や貧困、親との死別で児童相談所に保護され、児童養護施設や里親の家庭などで育った社会的養護の経験者。保護(ケア)を離れた人(リーバー)を意味する。 厚労省は昨年、初の全国実態調査の結果を公表するなど、対策を強化している。
引用:施設・里親家庭で暮らす子供らの支援、「18歳上限」撤廃へ…自立可能か個別判断 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン
18歳の壁
児童養護施設とは、児童福祉法に定める児童福祉施設の一つ。 児童福祉法41条は、「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義する。
入所対象者は、1歳以上18歳未満の幼児(満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者)及び少年(小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者)である。場合によっては20歳まで延長できる。乳児(1歳未満の者)はいったん乳児院への入所となる。引用:児童養護施設 – Wikipedia
児童養護施設には、年齢制限があります。
18歳(高校卒業)とともに自立することを求められますが、最長で22歳まで延長して施設、もしくは里親の元で暮らすことはできます。
しかし、これが18歳の壁と呼ばれ、ケアリーバーをうむきっかけとなるのです。
ケアリーバーの問題点
ケアリーバーの問題点はどこにあるのでしょうか?
施設などを離れたケアリーバーには頼れる親や親戚、大人がおらず、幼少期に虐待を経験したことによる心身の不調などから、進学後に退学や、就職したけれど離職に追い込まれたり、孤立や困窮状況に陥ったりするケースが少なくありません。
厚労省が21年に公表した実態調査では、5人に1人が施設を出た後、収入より支出の多い「赤字」の生活に陥っています。
このように、ケアリーバーの問題点は、「孤立」や「貧困」にあります。
海外での取り組み
スコットランドの取り組みでは、施設や里親家庭を離れて、地域で一人暮らしをする等して自立した若者の支援は、民間のソーシャルワーク機関が担っています。
こうした支援を行う機関は行政からの委託を受けて事業展開していることが多いです。
今回は、そうした機関の一つであるKibbleのソーシャルワーカーに話を聴いてきました。
Kibbleのyouth(社会的養護経験者)のためのソーシャルワーカーは、KeyWorkerと呼ばれています。
KeyWorkerは若者に、金銭管理、買い物の仕方、料理、掃除、公共領域の支払い等について、マンツーマンで教えています。
こうしたアウトリーチ型の社会的養護アフターケア業務については、週30時間までの人件費が自治体から機関に支払われることになっており、また、KeyWorkerは、当事者への直接支援だけでなく、当事者の離職や再就職活動などに備えて、社会的養護経験者に理解のある職場開拓やネットワーク形成等の役割を担っています。
スコットランドにおける社会的養護経験者の自立支援では、子どもの出身施設など、社会福祉関係者以外の教育や医療、住宅などあらゆる領域の大人たちが、支援者としての役割を担い支援を展開しているという点が特徴的でした。
参考資料:スコットランドにおける社会的養護経験者への自立支援
最後に
先日、このようなニュースが流れました。
厚生労働省は虐待や貧困などで保護され、里親の家庭や児童養護施設で暮らす子どもや若者が支援を受けられる年齢の制限を撤廃する方針を固めました。
現在は原則18歳、最長でも22歳で養護施設や里親の元からの、自立を求められますが、年齢ではなく自立可能かどうかで判断し、成人向けの支援に引き継ぐまで継続的にサポートを受けられるように、開会中の通常国会に児童福祉法改正案を提出する方針です。
この改正案が、いままで触れられなかった、ケアリーバーの支援へと繋がることを祈っています。
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参考サイト
施設・里親家庭で暮らす子供らの支援、「18歳上限」撤廃へ…自立可能か個別判断 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン
自立後の若者にケア拡充を 児童養護施設での養育や一時保護経験者を支援 有志が団体立ち上げ(千葉日報オンライン) – Yahoo!ニュース
【日本初】ケアリーバー(社会的養護経験者)全国調査が実施されました! | たすけあい
IFCA – インターナショナル・フォスターケア・アライアンス
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