私のASD(自閉症スペクトラム)について

自閉症スペクトラム

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こんにちは、nonoです。

私はASD(自閉症スペクトラム)とADHDを持っていて、障害者手帳を取得しています。

今回は、そんな私が持っている障害のひとつ「ASD」について書きたいと思います。

ASDとは?

ASD(自閉症スペクトラム)は、「Autism Spectrum Disorder」の略であり、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の3つの障害をまとめた呼称です。

元々、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群はそれぞれ症状に違いがあるため、独立した障害として診断されていました。しかし、2013年にアメリカの精神医学会が発表したDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)で、これらの障害は別の種類のものとして区別するのではなく、明確な境界線を持たないひとかたまりの障害として統合されることになりました。

症状の程度や傾向は人によって違いますが、主な特徴としては「人とのコミュニケーションが困難」「興味が限定的で独特のこだわりを持っている」というものがあり、この両方を満たしているかどうかがASDの診断基準になっています。

私のASDのパターンについて

最初に書いた通り、私はクリニックで「ASD寄りのADHD」という風に診断されています。

つまりは、ASDとADHD両方の特徴を持っているということですね。

そこで、私のASDにはどのような症状が見られるのかを、具体的に書いていきたいと思います。

言葉の遅れ

これは父から聞いた話なのですが、私は小さい頃、言葉を覚えるのが周りの子どもより遅かったそうです。

ASDの子どもには言葉の遅れ、言葉が出ない、興味を持ったものを指さすことが少ない、などの傾向が見られます。つまりはこれも、私のASDの症状のひとつなのでしょう。

ひよこに挟まれたペンギン

想像力が欠けている

この場合の想像力とは空想をする力ではなく、「相手の気持ちになって考える力」や「雰囲気を読む力」のことです。

私は昔この特徴が強く出ていたようで、友達付き合いがうまくできずに失敗をしてしまうことが多々ありました。

今はなんとか空気を読めるようになってきていますが、それでも「暗黙の了解」がわからず困惑する時があります。

また、人付き合い以外でも、映画や小説などの物語を見ていると「登場人物の心情がうまく読み取れない」ということが度々あって困っています。

不思議そうな顔をするペンギン

予定外の出来事にうまく対応できない

私が一番悩まされているASDの特徴は、おそらくこれかもしれません。

私の場合、予定外の出来事が起こるとパニックになったり、思考がフリーズしたりしてしまいます。

例えば、こんなエピソードがあります。私の家はリビングの電気をリモコンでつけたり消したりするようになっているのですが、ある日寝る前に電気を消そうとすると、リモコンがどこにも見当たりませんでした。リモコンがない、なんてささいなトラブルのはずなのですが、私の頭は途端にパニックになってしまいました。

リモコンがないなら諦めて電気をつけたままにするか、どうしても消したいなら寝ている家族を起こしてリモコンの場所を聞けばいいのに、「なんで?」「なんでないの?」と10分以上もリモコンを探し続け、「どうやったら電気を消せるだろう」「ブレーカーを落とすしかないか」と思い詰めたことまで考えた後に、ブレーカーを落としたらさすがにまずいと思い直して電気をつけたまま寝ました。

今になって考えれば本当にたいしたことのない話ですが、当時の私は本当に「どうしよう」とパニックになっていたんです。家にいる時ならまだいいのですが、仕事や面接の時にパニックやフリーズが出てしまうと最悪です。そのせいで、私は何度か面接に落ちたり、仕事から外されてしまうことがありました。

慌てるペンギン

他人とうまく接することができない

二番目に悩まされている特徴が、おそらくこれです。

仕事をする上で周りの人と友好的な関係を築かないといけない、ということはわかっているのですが、なかなか相手に話しかけられなかったり、向こうから話しかけられても話をするのが疲れると思ってしまったり、会話を長く続けられなかったりするんです。

当然、会話ができないと人間関係を築くのは難しいですし、孤立しがちになってしまいます。

言葉のやり取りが上手くいかない

ASDの特徴のひとつとして、「伝わりづらい言い回しをしてしまう」「言われたことに対して正しい解釈ができない」というものがあります。

私もこれにはいくらかあてはまっているようで、難しい言葉遣いをして「今のなんて意味?」と聞き返されたり、本などを読んで「ここの文章、どういう意味だろう?」と疑問に思ったりすることが度々あります。

こだわりが強い

決められた手順を守ることに固執したり、環境の小さな変化に苦痛を感じたりする、というのもASDの特徴です。

私の場合は、「自分なりのやり方」が決まっている作業に対して別のやり方を指示されると混乱してミスが増えてしまう傾向があります。

細かいことが気になってしまう

他の人からすればどうでもいいような小さなことが気になって、ミスをしたり作業の効率が落ちたりする、というのも私にとってはよくあることです。

例えば、プリントTシャツの検品作業を任されて、「柄がずれていたりするものは取り除いてくれ」と指示を受けたとします。すると、作業をしているうちに私の頭にはどんどん疑問がわいてきます。

「柄がずれている、と言っても、具体的にどのくらいずれていたら駄目なんだろう?」「これは柄はずれていないけど、少し色が違う気がするような…」「柄のこの部分、少しにじんでいるように見えるぞ?」という風に細かい所ばかりが気になるので、その度に人を呼んで、これは大丈夫かと尋ねてしまうわけです。そこで「これはいいけど、こういうのは取り除いて」と明確な基準を示してもらえればいいのですが、「そんなの適当でいいよ」「見ればわかるだろ」などと言われたらもう大変です。「これはいい?あれは駄目?」とまた細かい所を気にして手が止まるので、ペースが極端に落ちて怒られる結果になってしまいます。

特定の物事に強い興味を示し、没頭する

家族からよく言われることなのですが、私は特定の事柄に熱中すると周りが見えなくなってしまいがちです。

子供の頃、「7時までには部屋から出てきなさい」と言われたのに、絵を描くことに夢中になって気が付いたら7時過ぎになっていたり、遊んでいる時に部屋に家族が入ってきても気が付かなかったり…大人になっても、PCでの作業に集中するあまり時間を忘れ、ふと時計を見れば夜中の3時だった、ということがありました。

おしゃべりするすずめと家の中のペンギン

注意散漫で、すぐぼーっとする

これはASDというより、ADHDの特徴です。

私はADHDの「多動性・衝動性」よりも「注意欠如」の特徴の方が強く出ているタイプらしく、ぼーっとすることや物忘れがかなり多いです。

最近だと、掃除で出たゴミを「ゴミ箱がいっぱいだからゴミ袋を替えてから捨てよう」とひとまず置いておいて、次の日に家族に言われて捨て忘れに気付く、なんてこともありました。

ASDの特徴は人それぞれ

今回はASDの一例として私の症状について書きましたが、ASDを持っている人がみんな私と同じ悩みを抱えているとは限りません。私のように人と話すのが苦手だけど勉強は得意なタイプもいれば、おしゃべりだけど勉強は苦手、というASDの人もいるでしょう。

知能の発達に遅れが見られるかどうか、感覚過敏などの症状はあるか、ADHDやLD(学習障害)のような他の障害を併発していないか…そういった大小さまざまな個人差によって、「できること」と「できないこと」はひとりひとり違ってきます。

2匹のペンギン

ASDの人にはどう接したらいいのか

ASDを持っていない人にとって、ASDの人は付き合いにくく、扱いが難しいタイプだと感じられるでしょう。

ASDに限らず、発達障害の人はそうでない人と比べて「できないこと」「わからないこと」の幅が広くなっています。なので、ASDの人と上手に付き合うためには、相手の「できないこと」「わからないこと」の範囲を知って、そこを上手くカバーするのが重要です。

そのためにも、まずは「何が苦手か」を本人に聞いてみましょう。ASDの人は曖昧な質問に答えたり、感情・イメージなどを言葉にしたりするのが苦手な傾向があるので、質問のしかたとしては「この作業で、上手くできなかったり困ったりした部分はあった?」と、具体的に聞くのがよいでしょう。

また、コミュニケーションを取る時には、暗黙の了解や遠まわしな言い方は避けて、はっきりとわかりやすく伝えましょう。「そこを適当に掃除しておいて」という指示ではどこを掃どう掃除したらいいのか伝わりづらいですが、「机の上を台拭きで拭いて、床は掃いておいて。自分の机の周りだけでいいから」と作業の内容と範囲などを明確に示すときちんと理解してくれます。

ASDについて知っておいてほしいこと

先程も書いたように、ASDの人は「できないこと」「わからないこと」が多いものです。

発達障害を持たない人が簡単にできることも、ASDの人にとっては困難ということはよくあります。

しかしその一方で、ASDの人に向いていることもあります。ASDの人は集団行動や臨機応変な対応が苦手な一方で、はっきりマニュアルがあって一人でコツコツと勧める作業は得意だと言われています。

発達障害を持たない人から見れば、ASDの人は「自分が当たり前にできることをまったくできない人」という風に映るのかもしれません。その印象が強くなると、「何にもできないダメな人」というレッテルを相手に貼ってしまうこともあるでしょう。

しかし、ASDの人はあくまでできることとできないことの差が極端なのであって、何もできないというわけではありません。他の人ができることをうまくできない代わりに、他の分野なら上手にできるのがASDです。苦手なことを無理にやらせず得意なことを任せたり、苦手な部分について配慮やサポートをしたりすれば、ASDの人は「ダメな人」にはなりません。

動物に例えるなら、発達障害を持たない人は空を飛ぶ鳥で、ASDの人はペンギンです。ペンギンは飛べませんが、代わりに泳ぐのが得意ですよね。

世の中には自分がペンギンだと知らずに飛ぼうとしたり、やる気がないから飛べないのだと思ってペンギンに空を飛ぶ練習をさせる人も多いはずです。飛ぶことを強要される社会は、ペンギンにとっては居心地の悪いものでしょう。ですが、ペンギンのことを正しく理解して、ペンギンが歩く道を作ったり得意な水泳をさせたりすれば、ペンギンだって活躍できるはずです。

飛ぶ鳥とペンギン 泳ぐペンギン

飛べないなら飛ばなくてもいいし、どうしても飛ばなければいけない場面があれば周りでサポートをするという流れが広まって、いつかペンギンものびのびと暮らせる社会ができればいいな、とペンギンのひとりとして私は思っています。

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