この記事は約 13 分で読むことができます。
いつもAKARIの記事を読んでいただいて、ありがとうございます。編集長の島川です。
この度、株式会社SANCYOの手がける事業として、単独型ショートステイ『TANOSHIKA LODGE(タノシカ ロッジ)』開設する運びとなりました!
そこで開設記念取材として、嘉村社長と、所長の岡部さんにそれぞれインタビューを行った内容を2回にわたってお届けしたいと思います。
第一回は嘉村社長に立ち上げの背景や経緯、今後の展望などについて伺いました。
ぜひ最後までご覧ください!
立ち上げの背景や経緯について
中村鮮魚店:【TANOSHIKA LODGE】立ち上げの背景や経緯に、ついて教えてください。
嘉村:「TANOSHIKA LODGE(タノシカロッジ)」は、障がいを持つお子さんがいるご家族のレスパイトケア(休息)をしたくて立ち上げました。
立ち上げに至った経緯はいくつかあります。
まず、以前から就労支援をしていて、メンバーとお子さん、もしくは親御さんとの関係や距離が近くなりすぎていたり、依存関係に近い状態にある事例を多く見てきたことです。
これは誰が悪いという訳ではなく、第三者が何かをお伝えしたとしても、家族の問題である以上、どうしても関わることや、介入が難しかったです。
そんな中で、博多で相談支援をされている事業所さんが、ショートステイの中でレスパイトケアをされているとお聞きしました。
当時、ショートステイは「グループホームの中にある、体験で使う一部屋」というイメージがあったのですが、調べていくうちに『単独型』という、短期入所だけの福祉サービスがあるのを知りました。
レスパイトケアをされていること自体、全国的には事例がほとんどなく、その時に背中に電撃が走って、「これはSANCYOがやるべきことだ」と感じました。
「生きづらさ働きづらさのない世の中を創る」というSANCYOのビジョンに則って、『初めての社会資源』を提供するということは価値がありますし、やりたいことです。
TANOSHIKAが農業やIT事業、相談支援事業所をやる以前は、社会資源としてそれらが足りていませんでした。
現在弊社は久留米で1番利用者さんが多い相談支援事業所になりましたが、弊社がなければ500人程の方の利用ができていません。
このTANOSHIKA LODGEも久留米の社会資源の1つとしてしっかり提供していきたいですし、必要であれば他にも広げていきたいと考えています。
中村鮮魚店:【TANOSHIKA LODGE】の事業に込める想いを教えてください。
現在、見学の方や紹介を検討されている方が来られています。
LODGEでレスパイトケアをするようになって、様々な障害を持つお母さん、お父さん、お子さん達と関わる中で感じるのは「抱えている悩みの深さ」や「関わり方の深さ」です。
お預かりする中で、そこにある困りごとが就労支援と全く違うことを日々感じています。
また、根本的な「レスパイトケアをしたい」という想いは変わりませんが「子供たちのサードプレイスを提供したい」という想いもあります。
自分や取締役の田代もそうだったのですが、小さい時に「家」と「学校」という2つの居場所しかなくて、それが結構きつかった思い出があります。
「あの頃に習い事をやっていたらな」とか「おばあちゃんちが近くにあったらな」とか、大人になって思うことが何度もありました。
子供は自分で居場所を作ろうと思っても、なかなか作れません。
家と学校のどちらにも自分の居場所がなかったり、きつい場所であったなら、辛いはずです。
子供たちにとって、ショートステイという場所が「おばあちゃんち」の様なサードプレイスとして
「ここに行けば、叱られたり怒られたりばかりじゃなくて、友達と遊んだり好きなことや楽しいことができる場所」であって欲しいという想いがあります。
最初はレスパイトケアを提供したいという想いが強く、サードプレイスを作りたいという考えは大きくは占めていなかったですが、事業を進めるうちに「子供たちの居場所が必要だ」と強く感じるようになりました。
障がいを抱えるお子さんたちの取り巻く環境について
hibiki:障がいを抱えたお子さんを育てているご家庭を取り巻く環境について、どうお考えですか?
このショートステイを作るにあたって、学童保育を普及させた方と一度お話をしたことがあります。
その方が言うには、学童保育を作った際に1番難しかったことはお金や人ではなく『お母さんたちが子供を預けることへの罪悪感』などといった心理的なハードルだったそうです。
今は年々子どもを預けて働くのが普通な世の中になり、学童保育や放課後等デイサービスを利用することは、結構ポピュラーになってきました。
ですが、心のどこかで預けることへの罪悪感があり、宿泊となると、まだハードルが高いと思っている方は多いです。
弊社としては、そこのハードルを下げていきたいという想いがあります。
島川:どんなお子さんを対象と考えていますか?
弊社の状況としては、現時点では全てのお子さんが対象ではありません。
例えば医療的なケアが必要なお子さんは、僕たちには支援できる体制がなく、お子さんの抱えた障がいの種類によっては、受け入れが難しい場合もあります。
このように、TANOSHIKA LODGEを作ったとしても解決できないこともありますが、作ったからこそ見えてくる課題もあります。
今後TANOSHIKA LODGEが広がるにつれて受け入れができていく様になるのか、男女別や、強度行動障がいを抱える方専用のショートステイという形で、専門性を高めていくのか、展開の仕方や地域における役割については、これから考えていかなければなりません。
世の中に放課後等デイサービスが既にたくさんある中で、 今しようとしていることは、真似できるところが少ない半面、ないものを作るに等しいので、難しいことが多いです。
先ほどの、学童保育がなかった頃に学童保育を広めた方の話がよく分かるようになりました。
hibiki:TANOSHIKA LODGEを利用してご家族がレスパイトを取れるようになると、そのご家族にどんな良い影響があると思いますか?
レスパイトがない状況では、子育ては本当に四六時中なので、余裕がなくなって、時には自分にそういう気がなくてもお子さんに当たってしまったり、ないがしろにしてしまったり。
そして、時間が経って思い返して、反省して自己嫌悪に陥ってしまったりする。
このように感じているご家族の方は多いのではないかと感じています。
そういった時に、ほどよい距離感や、ゆとりを作るためにあるのがレスパイトです。
子育ての活力や、自分の気持ちの余裕を取り戻すために、1日ショートステイでお預かりして、明日から気持ち良く子ども達を迎えられるようにすることが、弊社にできることです。
子供たちも「もうお母さんと一緒にいたくない」とは思わないと思うのですが、1日離れることで、友達と接したり、自分の好きなことに時間を使ったりできる。
毎日怒られるような環境にある子どもだったら、気を楽にして休むことができる。
そういう風に、子供たちに対しても休憩の時間や、1回リセットする時間を与えることができるのではないかと思っています。
TANOSHIKA LODGEでは、放課後等デイサービスのように、療育やプログラムの提供をするわけではありません。
基本的には「ここに来たら次の日から凄く成長している」というよりも「ここで休息を取ってもらう」というほうが、役割としては大きいかなと思っています。
そのため「これが駄目、あれが駄目」と厳しく接するよりも、「みんなでこうしていこうね」「その為にはこのルールは守っていこうね」という形で、自立を促すことを大切にしていきたいです。
中高生には、「お盆は自分で持っていこうか」とか「その時間は自分で寝てみようか」とか、そういう自立を促す声掛けはあると思います。
所長に立候補された岡部さんについて
中村鮮魚店:岡部さんが管理者に立候補されたことについてや、今後岡部さんにどのような事を期待されているか教えてください。
まず岡部さんが自ら立候補をしてくれて、凄く嬉しかったです。
相談支援専門員との兼務になってしまうため、TANOSHIKA LODGEの管理者をやっていただけるのは、僕としては想像もしていませんでした。
岡部さんの人柄、人格を高く評価しているので、岡部さんがTANOSHIKA LODGEの最初の責任者になってくれて安心ですし、ありがたいです。
凄く出だしがいいなと思っています。
特にLODGEは夜勤中、基本的には親御さんがおらず、お子さんだけになってしまうので、お子さんの情報をたくさん持っておく必要があります。
何がその子にとってモヤモヤに繋がってしまうのか、夜はよく寝れるのか、服薬があるのか、これはできるけど、これはできない、とか。
お友達と仲良く出来るか、お友達と喧嘩になったときはどんな様子なのか、など。
子供たちの情報は多ければ多いほどいいんですが、それを聞き取って、共有できる人が必要でした。そのため、管理者をやりたいだけでは務まらなくて、経験も求められます。
岡部さんはそれを備えていらっしゃる方なので、こちらとしても凄く安心感があるし、来られる相談支援専門員さんや、預けるご家族の方も、安心感があると思います。
得られた情報をまとめて、夜勤の方にしっかり繋げていくことも重要な役割の一つです。
夜勤の方も、その情報を元に支援をしていく必要がありますが、夜勤の方もしっかり安心ができる方に働いてもらいたいと思っています。
経験も大切ですが、人として、夜に誰もいない環境になったときに、子ども達が不安にならず「この方がいるから安心だよね」という方にお任せしたいと思っています。
今後の展望について
中村鮮魚店:【TANOSHIKA LODGE】を今後どのような場所にしていきたいですか?
まずは、サードプレイスとして、子供たちが楽しみながら将来の自立に向けた経験を積んだり、友達を作れたり、明日の活力を得られる場所になってほしいと思っています。
親御さんにはレスパイトをして、明日の育児への活力にしていただいたり、急な冠婚葬祭や、将来子供たちがグループホームを利用する事を想定した使い方などもしていただければと思います。
僕たちはそういった「利用する理由」について「これは良い、これが悪い」と判断するよりも、預けていただいて、普段と違う時間を過ごして欲しいと考えています。
週末にママ友と飲みに行ったり、もう何年も夫婦で行ってなかった映画を観に行ったり、逆に何もしない日にするのもいいです。
現状、ショートステイはお預かりしかしておりませんが、将来的には子供たちと日曜日にみんなで映画を観に行ったり、何かの体験をしたり、といった事もしていきたいです。
ONE GOにイチゴ狩りに行ったりするのもいいですし、お母さんたちの座談会を開いて、普段話せないことをクローズドの場で話す機会も作りたいです。
また、どうしても親の方が早く亡くなってしまうので、そのときに、子供たちのことをどうしていったら良いかなど「頭では分かるけど、実際の情報って誰に聞けばいいの?」ということもたくさんあると思います。
LODGEに登録しているお母さんたちに向けて、そういう話をする研修会を開いたりとか、LODGEならではの役割や機会というものも提供できたらなって思っています。
現在6人しか受け入れられないので、子供たちの相性や支援員さんの体制で、受け入れられる時もあれば、受け入れられない時もあります。
今後、多くの久留米の方がお預けできるような事業所数や事業所の規模にしていかないといけないですし、久留米以外でも必要とあれば、作れるような体制の構築を考えています。
中村鮮魚店:利用を検討されている利用者さんやご家族へメッセージをお願いいたします。
最初は子供たちが慣れるまでに時間もかかるかと思いますが「また来たいな」と思ってもらえる場所にできるように、今後改善していきますので、まずは一度、お子さんと一緒に遊びに来てもらいたいなと思っています。
また、初めて自分の家ではないところで泊まる子供たちがいたら「泊まれるようになった」というのも、ステップアップです。
このステップアップとか、出来ないことが出来るようになったりすることは、僕たちもこの仕事をやっていて、就労支援でも凄く楽しいことの一つです。
なので、親御さんたちに信用して預けてもらえるような場所にしていきたいですし、お預かりいただいた日には、何か普段できないことをやったり、もしくは何もやらないって決めてみる。
ずっとNetflixを観てもいいとは思うんですけど、そういう時間を使って、泊めてよかったなって思ってもらえるようにしていけたらな、と思っています。
僕たちも今から本格始動なので、まずはそこから取り組んでいきます。
お話しできることが増えていると思うので、また1年後に聞いていただければと思います。
アフタートーク
中村鮮魚店:私自身も障害がある子供を育てているので、こういった取り組みは、本当に一親として凄くありがたいです。
これは障害があるなしに関係ないかもしれませんが、障害のある子供を育てている家庭は、極端に放任か、極端に閉鎖的で親の視野が狭くなるかだと感じています。
いきなりなんの段階も踏まずに、学校卒業したら社会にポーンと放り出されるのではなく、私生活でも、少しずつステップアップできる場所があるのは、すごくありがたいなと思います。
そういった場所を今後TANOSHIKAでもやっていただけることで、一層よりよい社会に繋がっていくのではないかと感じました。
大袈裟ですが、『障がい』が薄くなっていくというか、そういう感じが希望としてあるので、本当にこういった取り組みは、一親として希望が持てるなと思います。
嘉村:多くの人に利用していただいて、そう思ってもらえたら、世の中良くなると思うので、そうなれるように頑張っていきたいと思います。
それと、今話をしていて思った事があって、凄くお節介かもしれないですけど、一人にならないような環境って大切だなって思って。
何かあったら相談できる人がいるのか、相談できる環境なのか。
実際仕事も、生活のためにやるってこともあるかもしれないですけど、社会との繋がりのためっていう側面もやっぱりあるじゃないですか?
それが繋がっていないと、どんどん一人になってしまって、本当は選択肢があるはずなのに無くなってしまって、良い結果じゃないことになってしまうことっていっぱいあるから、やっぱり関わる人は多い方がいいと思っているので。
ただ、子供と親の間に関わる人ってやっぱり少なかったって思うので、そこに関わっていけるようになるっていうのは楽しみです。
それと同時に大変さももちろんあるんですけど、しっかり関わっていきたいなと思っています。
中村鮮魚店:ありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
次回は所長になった岡部さんにお話を伺っていきますので、ぜひご覧ください!
→HOME







過去に実習中、高齢者ではありますが、入院理由で「レスパイト入院」という言葉を聞いて、施設は待機中で家で介護をしているけれどもその介護疲れによりレスパイト入院を勧めることもあるとのことで、でも現実的なことだと思っていました。
そして現在、お子さんの問題になった時、このような場所の必要性を知人からよく聞きます。核家族が多くなった現代に、この場所の必要性を改めて思い知ります。