壮絶な半生なのに笑って泣ける『みちくさ日記』~13才でちばてつや賞受賞、14才で精神病院に入院~

夕焼けの森の中歩く女性

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こんにちは、中村鮮魚店です。

 今回は、前の記事で触れた、作業所を知るきっかけになった本『みちくさ日記』についてです。
実は私、大のエッセイマンガ好きなんです!
棚が壊れてしまうほど、本棚にはズラ~とエッセイマンガが並んでいます。
そんなエッセイマンガオタクな私の、特にオススメな一冊です。

前回の記事はこちらです

13才でちばて受賞、14才で統合失調症で入院

 10代のほとんどを精神病院で過ごす

 学校でなかなか友達のできなかった道草さんは、マンガを描くことでお友達と交流し、その後ヤンマガに投稿した作品がいきなり「ちばてつや賞」を受賞します。
ですが、連載のプレッシャーなどから統合失調症を発症。
長い入院生活が始まり、その後立て続けに苦難が続いていくのです。

不幸の連続!なのに、どこか笑える

 『よりみち日記』では、本の初め方から道草さんの精神病院への入院や、苦労や不幸が連続で描かれていきます。
普通のエッセイなら、ドラマチックに描かれる内容ですが、そんな状況でも道草さんは自己憐憫にひたらず、なんならクスッと笑えてしまうくらい、自身に起きたことを淡々と描いているのです。

アルバイト先での店長からの叱責

 作中にこんなエピソードがあります。
病院を退院した道草さんがハンバーガー屋さんでアルバイト中、ハンバーガーセットにハンバーガーを入れ忘れてしまい、クレームを受けてしまいます。
 そして、店長にこんなことを言われます。
「ハンバーガーセットにハンバーガーを入れ忘れたら、何セットなんだ!」
ギャグとしか思えませんが、こんなエピソードもツッコミなど入れずに、ただ淡々とこの本は描かれていくのです。

オススメのエピソード
〇パソコンが全くできないのに、IT企業へ就職

〇脱腸で死にかける

〇不本意なボクシング部への入部

 完ぺきな人生なんてない

 そんな不器用な道草さんは職を転々とし、もがきながら必死に前へ進んでいきます。
その中で、不登校になってしまった学校の元校長先生と偶然再会し、悩みを打ち明けます。
 一通り話を聞いた先生は、自身もあまり学校へ行かない子供だったこと、山で草花を見て過ごしていたことを話してくれます。
校長先生という立派なお仕事をされていた方ですら、完ぺきな人生ではなかったのです。

私の‘‘よりみち‘‘ってなんだろう

 私は自己紹介でも書いたように転職回数が30回以上あります。
マイナスな理由での退職もありますが、自分のスキルアップにつながる仕事にはどんどんチャレンジしていきました。
 後悔はしていませんが、「勤続〇〇年!」という方を見ると一つのお仕事を深く経験されておりカッコよく見え、自分の経験がなんだかチープに感じてしまいます。

そんな中で改めて読んだこの本は、
どんなに無駄で不器用と思える人生でもいい
これは遠回りじゃない、‘‘人生のよりみち‘‘
そう優しく背中を押してくれたのです。

そして、本の中で道草さんはこう語っています。

‘‘みんな欠かんだらけでも完ぺきじゃないことは、すてきなことだと思った。‘‘

みんな足りない所を補い合いながら、時に立ち止まり、よりみちをしながら進んで行くんだと思いました。
みなさんの‘‘人生のよりみち‘‘ってなんですか?

海を歩く人

最後に

 いかがだったでしょうか?
『よりみち日記』には、まだまだ可笑しくてほんのり泣けるエピソードがたっぷりあります。
読んだ後には、大変な話なのに気持ちが軽くなり、「明日もがんばろう」と思える不思議な一冊です。
もしよかったら、ぜひ読んでみてください♪

参照元:道草晴子『みちくさ日記』リイド社2015年

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