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こんにちは、金次郎です。
今年も「最低賃金」の改定行われ、10月1日に改定されるはずでした。
しかし、2025年はちょっと様子がおかしいです。
改定日の10月1日に最低賃金が改定されたのは、栃木県だけです。
ちなみに私が住んでいる福岡県の「最低賃金改定日」は、来月11月16日です。
一番遅いのは秋田県でして、最低賃金改定日はなんと!2026年3月31日と、令和7年度が終わる来年の3月末まで最低賃金の改定は行われません。
なぜ、最低賃金の改定が県によって半年も開きがある状態になってしまったのでしょうか?
また、改定日が県によって違う事で、どんな事に気をつけないといけないでしょう?
今回は、「ちょっと変だぞ?今年の最低賃金改定と、それ故に気をつける事」と言う事で書いてみます。
最低賃金とは?
最低賃金とは、最低賃金法という法律で定められた労働に対する報酬の制度でして
・雇用主が労働者に対して、労働の対価として支払わなければならない賃金の最低額
です。
この「最低賃金」と言う制度は、正社員だけではなく(派遣社員・契約社員、パートタイム・アルバイト、日雇いなど)雇用形態を問わず、すべての労働者に適用されます。
なぜ、この様な法律が出来たかと言うと、
・労働者の生活の安定と労働力の向上のため
と言う事で、昭和34年に制定されました。
参考元:(厚生労働省) ・最低賃金法(◆昭和34年04月15日法律第137号)
働いても、生活が維持できない給料ならその会社で働く意味が無いですし、その様な低い給与額で求人募集しても応募者は来ないですよね。
最低賃金法は、労働者も使用者もどちらにもメリットがある様にする為に定められました。
最低賃金は、
・地域別最低賃金(都道府県別の最低賃金)
・特定最低賃金
の2種類があります。
下の特定最低賃金は、都道府県労働局長が、
・地域別最低賃金より高い最低賃金を設定すべきだ
と判断された産業にのみ設定される最低賃金です。
参照元: (株式会社アシロ べんなび労働問題)最低賃金法とは|概要/計算方法などをわかりやすく解説(旧:労働問題弁護士ナビ) 2024年9月25日
最低賃金の決め方は、厚生労働大臣が審議会に改定の必要性を問い、審議した後に労使双方の意見を聞き決められます。
どの様なステップかは、以下の参照元サイトをご覧ください。
参照元:(あかつき社会保険労務士法人) 最低賃金の決め方とは?企業に求められる実務対応と併せて解説 2025年9月8日
今年は、なぜこんなに改定日にズレがある?
総論で書いた様に、10月1日の最低賃金改定日に引上げたのは栃木県だけですし、秋田県は来年3月31日と半年も先の話しです。
どうして、こんな事になったのかと言うと、ここ数年の最低賃金の引上げ額が大きい事が上げられます。
近年は、毎月何千種類もの食料品価格が値上げされる事が続いています。
また、政府が2020年代が終わる頃までに最低賃金を1500円にまで上げると言っている事を踏まえ、最低賃金の上げ幅がどの県も大きく改定される様になっています。
10月1日に予定通り最低賃金を適用した栃木県の場合は、去年に比べて64円の引き上げですが、一番遅く適用する秋田県は80円も最低賃金が引き上げられます。
参考元:(厚生労働省)地域別最低賃金の全国一覧
※ 新しい最低賃金の横に現在の最低賃金が書いてあります。
また、引上げ金額や引上げ率、発行日も書いています。
この様に大幅に最低賃金が引き上げられる県に対して、今年は地場企業に配慮して「最低賃金引上げに対する準備期間」を設ける「猶予措置」が特例的に認められたからです。
なので、最低賃金の改定日が遅れる県に居住するかたは、それを踏まえて少し節約行動に出た方が良いでしょう。
手間を惜しまず、色々なお店に出向いて価格の比較をして安い値段を付けているお店をチェックしておきましょう。
参照元:(株式会社ベストマッチ ベストレ) 2025年の最低賃金改定は全国バラバラ!企業が注意すべきポイントとは 2025年9月10日
年収の壁と税金(保険料)対策
最低賃金が上がるのは嬉しいですが、そうすると対策を打たないといけない事が発生します。
それが「年収の壁」と言われるものです。
従業員数51人以上の会社で、週20時間勤務している人は以下の年収に気をつけて下さい。
・年収103万円を超えると「所得税」を払わなくていけません
・年収106万円を超えると「健康保険・厚生年金保険」の社会保険加入義務が発生します
更に、夫や妻に扶養されている方で、
・年収150万円を超えると「配偶者特別控除」が減少します
と言う事で、どのパターンも手取りが減ってしまいます。
私が勤務するA型事業所でも、この事を考えてか「出勤日数」を調整する方が出てきています。
A型事業所は、営利を追求する一般企業とは違いますが、ただでさえ人手不足が言われている現代で、従業員に出勤調整をされてしまうと、会社は営業活動に支障がでてしまいます。
政府の言う様に時給が1500円まで上がったら、更に出勤調整する人は増えるでしょう。
だからこそ、国会で野党がこの「年収の壁」の金額を引上げようと言っているのです。
終わりに
先に書いた様に、ここ福岡県も1ヶ月半遅れの11月16日に最低賃金の改定が行われます。
私が現在働いているA型事業所のお給料は、最低賃金×1ヶ月の勤務時間で算出します。
ですので、A型で働き出してからは最低賃金の額をかなり意識しだしましたね。
ちなみに今働いているA型での最低賃金の変遷は以下のとおりです。
年度 | 最低賃金 | 引上げ額 |
2019年(令和元年) | 841円 | 27円 |
2020年(令和2年) | 842円 | 1円 |
2021年(令和3年) | 870円 | 28円 |
2022年(令和4年) | 900円 | 30円 |
2023年(令和5年) | 941円 | 41円 |
2024年(令和6年) | 992円 | 51円 |
2025年(令和7年) | 1057円 | 65円 |
ここ3年の引上げ額は大きいですね。
A型に限らず、一般企業でパートやアルバイトで働いている方も最低賃金の動向は気にしているでしょう。
と言うか正社員の方も、自分がもらっているお給料が最低賃金を満たしているかのチェックはした方が良いですよ。
参考元:(厚生労働省)最低賃金額以上かどうかを確認する方法
働く側としては、最低賃金の額が上がってお給料が増えるのはうれしい事です。
しかし、会社側は最低賃金が上がった分、売り上げを増やさないと利益が出ませんから大変でしょう。
でも、先にも書いた様に食料品等の値上げが毎月の様に行われていますので、最低賃金が上がっても生活に余裕が出来たと言う感じは無いですよね。
内閣府の調査でも、とんでもなかった好景気の「バブル景気」が崩壊した後の平成不況から今日まで景気が良くなる事は無く「失われた30年」と言われる、この30年余。
最低賃金が上がっても、日本は、他の先進国に比べて物価に対する実質賃金の推移が横ばいな状態が続いています。
「失われた30年」は、現時点でも何の経済対策も行われないまま「失われた40年」へと年数を伸ばし続けています。
参考元:(内閣府)第2-1-5図 一人当たり名目賃金・実質賃金の推移
最低賃金は上がるけど、それ以上に物の値段が上がる。
この「いたちごっこ」はいつまで続くのでしょうね?
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記事を読ませていただきました。最低賃金があがっても生活で出ていくお金もあがっています。様々なところで物価はあがり、最低賃金をあげてもこれまでの暮らしと何一つ変わらないでしょう。下げられるところや消費税などの見直しされたら少しは違う見方もできると思います。これからも記事を楽しみにしています。