宇宙飛行士が宇宙に行くと、身体に異変?腰の痛みや、骨密度が低下し元に戻らないなど。 

宇宙飛行士 骨密度

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

「人が地球に住めなくなった時、どこか違う惑星へとー」と、人々が探し求めてから早何十年。地球以外に水があることが確認されたり、リュウグウが宇宙から運んで来たものに未知なる可能性を秘めていたり、2024年1月20日には、世界で5ヵ国目となる月面着陸に成功した小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」と、「SLIM」を撮影した「LEV-2」。同2024年2月17日には、JAXAが「H3ロケット」2号機を打ち上げに成功…。無限のロマンのある宇宙

最近は民間で宇宙旅行に行くという夢を、叶えられる時代となりました。

そんなロマン溢れる宇宙ですが、実は宇宙飛行士が長期で宇宙に滞在した時に、慢性的な腰の痛みや、骨密度が低下し元には戻らないことが多く聞かれる様になりました。それは宇宙の持つ特殊な空間にありました。

今回は宇宙から帰還した後の宇宙飛行士の抱える、健康事情についてお伝えします。

宇宙飛行士を襲う、慢性的な腰の痛み

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した宇宙飛行士の聞き取りから、宇宙で引き起こされる腰痛の原因が判明しました。アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の整形外科医らで構成されたチームが、NASAの出資で行った宇宙飛行士の聞き取りの分析を公表しました。

ISSに数ヵ月間滞在した場合、宇宙飛行士は身長が最大5cm伸びる反面、筋力が低下したり背中の痛みを生じます。

背中の痛みに関しては、宇宙での滞在が長期化した1980年代から報告を受けていました。

今までの聞き取りの分析によれば、アメリカ人宇宙飛行士の半数以上を占める人が背中や、特に腰の痛みを訴え、中程度の痛みから重度の痛みを生じる事例が28%報告されています。宇宙への滞在期間中でも痛みが持続することもあります。

地球に宇宙飛行士が帰還した後も影響が身体に歪みます。宇宙飛行士が地球に帰還後1年以内に椎間板ヘルニアを罹患する確率は、通常の人の4.3倍超となります。従来腰痛の起因として注目されていたことは、背骨を構成している「椎体」の間で衝撃を吸収する緩和剤の役割を担う椎間板という組織でした。

ですが、ISSに4~7ヵ月間滞在した宇宙飛行士6人についてアメリカのUCSDの整形外科医らで構成されたチームが調べたところ、椎間板にはほぼ変化が見られないことが明らかとなりました。その反面、背骨の下半分に当たる腰椎を支えている筋肉組織が大幅に機能が低下し、萎縮しました。地球ではこの筋肉組織が重力に逆らって姿勢を維持したり、歩いたり腕を動かすことに使われ、椎間板や靭帯を護る活動もしています。

宇宙空間では背骨に重力が逆らわずのしかからないので、通常の背骨のカーブでは無く真っ直ぐに伸びます。かがんでみせたり腰を使いながら動くこともないため、筋肉を使用しないまま宇宙空間を滞在中に過ごします。「腰にギプスをつけたままで数ヵ月間生活するのと同様の状態が起こり、結論で痛みやこわばりが発生するのではないか」と、研究チームを率いたUCSDの整形外科准教授、ダグラス・チャン博士はこう述べました。

ISSへの滞在前後のMRI画像を比べた場合、宇宙飛行士の腰の筋肉は19%も減りました。地球へ帰還後に6週間の訓練とリハビリを受けて貰い、さらに分析すると、減少した筋肉は68%しか回復していませんでした。

参考:宇宙飛行士の腰痛、原因は筋肉の萎縮か 米研究チーム CNN.co.jp(2016年)

宇宙飛行士の骨密度、宇宙から地球へ帰還後に低下

国際宇宙ステーション(ISS)に長期間滞在をした宇宙飛行士17人に対して、骨量に関連する研究が実施され、宇宙空間への滞在で起こる骨密度減少の大きな影響やその対応策など記した論文が、学術誌[サイエンティフィック・リポーツ]で掲載されました。

宇宙飛行士は宇宙から地球に帰還して1年経過した後で、脛骨の骨密度が平均で2.1%も減り、骨強度も1.3%も減りました。その後の研究でも、宇宙飛行士の9人は地球への帰還後に骨密度が回復に至りませんでした。

研究では、宇宙滞在が長期化した場合、骨の損失が増え出し、それから回復する可能性も著しく低下することが明らかとなりました。筋肉や骨の減少を予防する対策でISSでの運動が最も重要なミッションであることも判明し、脚部などへの鍛トレをISSに滞在中に多く取り入れていた宇宙飛行士は、骨量を回復させる可能性も極めて高いという結果も出ました。

参考:宇宙飛行士の骨密度、帰還後回復しない例も 日米欧などで調査 ロイター(2022年)

カナダ・カルガリー大学で運動科学が専門のリー・ガベル教授が分析した研究に協力したのは、男性14名、女性3名からなる17人の宇宙飛行士で、平均年齢は47歳となりました。宇宙での滞在期間は4〜7ヵ月に及び、平均滞在期間は約5ヵ月半です。

今回骨量を分析するための研究対象となった宇宙飛行士の国籍は発表されていませんが、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、日本の宇宙飛行士になっており、過去7年間ISSに滞在していました。

宇宙飛行士の骨密度の詳細論文

Scientific Reportsに掲載された新たな論文は、「宇宙飛行が骨組織にもたらす悪影響は深刻なものになり得る」という文章から始まっています。Gabel氏はプレスリリースの中で、「ミッションから1年経過したほとんどの宇宙飛行士において、体重を支える骨は部分的にしか回復しなかったと判明しました」とコメントしています。「これは宇宙飛行に起因する永久的な骨量の減少が、地上で10年分加齢した時に失われる骨量と等しいことを示唆します」と続けています。

同じチームによる以前のリサーチには、「フライト前と比較してフライト中の下半身の筋トレ量を増やした宇宙飛行士たちは骨密度と強度を保持する傾向にあった」と書かれていました。

引用:宇宙滞在が長期化するほど、骨へのダメージも長引く。軽減には筋トレが有効か GIZMODO(2022年)

ロマンは感じるけど、まさに命がけ。

この記事は最初どこかで、「宇宙に行った宇宙飛行士の健康が危ぶまれている」という話を聞いたことから、検索することにしました。私の中で宇宙は子どもの頃にセーラームーンの放送があって、天体の名前と英語名を覚えたりなど、子どもながら身近な存在でした。あの当時は「宇宙って本当にロマン溢れる空間なんだ」と純粋な気持ちで思っていました。

今この記事を書くのにあたって、そんなロマンの場所に1番身近にいる、宇宙飛行士の健康が脅かされているとの事実、特に骨密度が元に戻らない、ということがショックでした。骨密度は普通に生きていても年齢と共に下がります。しかし宇宙に行くだけで、10年分の負荷がかかり、一気に低下してしまうということは、本当に衝撃的でした。

宇宙飛行士は人類の未来への夢を背負って最前線で活動されていますが、その中で健康面でご苦労があることを忘れてはいけないな、と感じさせる記事となりました。

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宇宙ステーションの若田光一さん 重力と生命の関係探る 線虫で実験 筋力低下の仕組み 東京新聞(2022年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。