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こんにちは、翼祈(たすき)です。
私が子どもの頃、公表する人のいなかった、LGBTQという人達が、今、自分の性を話せる時代に来ました。
昔は話したくても、話せず、ずっとその問題を抱えている人もいました。
世界のLGBTQの状況を見ていくと、
2024年9月24日、タイの国王ラーマ10世(ワチラロンコン国王)は、結婚平等法案に署名したことによってタイは、東南アジアで初めて同性婚を認める国となりました。
同日、新法は[王室官報]にて掲載されました。
2024年6月に同性婚を認める法案はタイ議会を通過しましたが、法制化には国王の承認が必要でした。
2025年1月22日に施行されました。
参考:タイで同性カップルが婚姻可能に、来年1月から 国王が結婚平等法に署名 BBC NEWS JAPAN(2024年)
反LGBTQが根強い韓国でも、2024年7月にある動きがありました。
2024年7月18日、韓国最高裁は、同性のパートナーを国民健康保険の被扶養者として認めた下級審の判決を支持するとしました。
最高裁長官は、国民健康保険法に具体的な規定はありませんが、性別を理由に国民健康保険の給付を拒否することは性的指向に基づいた差別だとし、
「これは人間の価値と尊厳、プライバシーの自由、幸福追求の権利、法の下の平等の権利を侵害する差別行為で、侵害の程度はとても深刻なものです」と説明しました。
参考:韓国、同性配偶者も健保の被扶養者と認定 最高裁が判断 ロイター(2024年)
日本でも、2024年4月20日に、90代でゲイであることを公表し、人生の終盤を過ごした長谷忠さんを題材に取り上げた、ドキュメンタリー映画[94歳のゲイ]が、公開されました。
この様に、日々変わりつつあるLGBTQの出来事ですが、2024年に、男性のプロのボクサーを目指す夢を掲げた、戸籍上の性別と性自認が異なる、女性から男性に変更した、トランスジェンダーの真道ゴー選手がいました。
スポーツの世界では、今、「自分らしくありたい」と、選手からは自認する性別で試合や大会に参加したいという切実な声が高まっています。
その反面、競技の公平性をどう担保するか?、選手の安全をどう守るか?などの議論も深まっています。
今回は、男性のプロのボクサーを目指していた真道選手の表明と、その後の状況を説明します。
2024年1月、
37歳の真道ゴー選手は、以前女子のプロボクシングで活躍し、11年前に世界チャンピオンのタイトルを獲得した後、性別適合手術を受けて、7年前に女子ボクシングを引退しました。
それから交際を続けていた女性と結婚して、運動を教えることなどで、障害を抱えている子ども達をサポートする施設を社長として携わってきました。
ですが、子ども達と向き合う中で、男性になってからプロのボクサーとしてプロのリングに再び上がりたいという夢を諦めていた自分を見つけました。
そして決意が固まったのが、3年前に自分の子どもから投げかけられた、あるひと言でした。次は男性としてプロのボクサーとなって、リングを目指すことを決意しました。
真道選手は、
「子どもから『お父さんがボクシングで戦っているところを観たことがない』と言われました。男の姿で戦った私を子ども達に残したいと、自分の存在意義や自己満足にかられました。どう風に生まれようと周囲の人からそんなことできないだろうと言われようとも、『それでも、挑戦する人生は面白いよ』と子ども達に届けたいです」
2022年、統括団体のJBC=日本ボクシングコミッションにプロテストの受験を申請し、練習を再開しながら、身体検査や体力測定なども受けた結果、トランスジェンダーの医師や専門家や医師などで構成されたJBCの諮問委員会は、「テストケースとして認めることはできます」と答申しました。
これを受けてJBCは2023年7月に理事会を開催しましたが、結論は「現状、プロテストの受験を認めることは困難」という結果に。
主な理由は、筋肉の差や骨格から生じる身体へのダメージなど、安全面の知見が十分でないにありました。
参考:WEB特集 トランスジェンダーとスポーツ 大会参加の現在地 NHK(2024年)
そうした反面、真道選手へ、将来的にプロとして認めるか判断するデータを集めたいと、3ラウンド制であるものの(※公式戦は1番短くても4ラウンド制)、“準”公式試合の開催を要求しました。
グローブは8オンス、ヘッドギアを着用せず、JBCの審判が試合を裁いて勝敗を決定するというポイントは公式戦と同ルールとし、男性のプロ選手とスパーリングするという内容に決定しました。
2024年12月17日、
トランスジェンダーの真道ゴー選手が、性別適合手術を受けた後、男性のプロのボクサーとしてリングに上がるという日本選手初となる挑戦を断念する結果になりました。
真道選手はWBC=世界ボクシング評議会、女子フライ級の元チャンピオンで、7年前に性別適合手術を受けて戸籍上の性別を変更し、その後、JBCへ、男性のプロテスト受験を希望してきました。
試合で受ける身体のダメージなど安全管理の面での知見が十分でないことなどを理由に受験は認められてきませんでしたが、2023年、公式戦に近いルールで男性のプロ選手とスパーリングをして敗北したものの3ラウンドを戦い抜きました。
そして、真道選手は所属する大阪市のジムで本石昌也会長と記者会見に同席し、本石会長は、2024年3月に再度JBCからプロテストの受験は認められないと回答があったことを発表しました。
理由をJBCは、
・性差によるものか、選手特有の問題かは判別が困難な上、激しい身体の接触を伴う競技の特徴を踏まえて、安全管理上に問題が発生する危険性がある
・男性プロボクサーとのスパーリングでパンチへの耐久力に不安を抱かせたこと
などの説明を受けました。
参考:性別変更のボクサー 真道ゴー選手 男性プロのリング挑戦断念 和歌山 NEWS WEB(2024年)
真道選手のコメント
「まだ若いなら『また頑張るぞ』と思ったかもしれませんが、プロの男性選手とのスパーリングを観て頂いて認められないのであれば、リングから降りようと思っていました」と述べました。
その上で「リングを通して生き様を残すことができたと思います。同じLGBTQの当事者や、世の中で困難がある人たちのパワーになれたのかな思います」と説明しました。
3年前の東京オリンピックでは、ウエイトリフティングの女子種目に、男性から女性へ変更する性別適合手術を受けたトランスジェンダーの選手が、IOC委員会が当時定義していたガイドラインの基準を満たし、オリンピック史上初めて出場した試合がありました。
その後、IOCは国際大会の参加に関して指針を明らかにし、国際大会に参加する時に、自認する性などで差別せず、競技の公平性も担保してルール作りの構築を実施する様に国際競技団体に要求しました。
トランスジェンダーの選手の大会参加に関して、パリオリンピックで行われた32競技、トータル33の国内競技団体にアンケートが行われました。
男女が一緒に参加する馬術といった競技もありますが、トランスジェンダーの選手の大会参加に関して、40%を超える団体が「議論を行っている」、または「検討を行う予定」であると回答しました。
その反面、「議論を行う予定はない」、「検討を行っていない」と回答したのは統計の全体に該当する55%でした。
この様に、性別変更をしても、まだまだジェンダーという面では、難しさもあります。
オリンピックなど国際大会などは今後も続くものでしょうし、議論がこれからも必要な1つの議題だなと思いました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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