「人種間の不平等-臓器移植に与える影響」

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皆さんこんにちは。Pinkです。「臓器提供意思表示カード」を知っていますか?本人の臓器提供の意思を表すものです。

以前私は、亡くなった後でも自分の体にメスが入ることが嫌で、カードを持っていなかったのですが、医療ドラマを見ていた時に、臓器提供について考えさせられることがありました。

臓器移植手術などで、ドナー(臓器提供者)を待っている患者さんの事を思うと「役に立てるなら臓器提供したい」という気持ちになり、カードを作りました。

それは、献体についても同じ考えです。もし自分が症例の少ない病気で亡くなった場合、病院側から話が来たとしたら、原因解明と共に今後の医療に役立つなら献体したいと思っています。

臓器提供について調べてみると、様々な条件がある事を知りました。

臓器提供の条件

① 脳死で提供する場合は、事故や病気で運ばれた病院が、ガイドライン上で定められた臓器提供 施設であること・脳死とされうる状態であることなどの確認が必要となる

② がんや全身性の感染症で亡くなった人は提供出来ない

実際に提供出来るかどうかは医学的検査をして総合的に判断する

③ 脳死下での提供が出来ない場合でも、心臓が停止した死後の提供が可能な場合もある

④ 健康な人から提供される生体移植では、移植学会の倫理指針によって移植を受け 人の親族(6等親内の血族と3等親内の姻族)に限られている

参考サイト:JOT公益社団法人日本臓器移植ネットワーク-臓器提供は誰でも出来ますか

臓器提供の意思があっても、それだけでは難しいことがわかりました。

そこで、今回は臓器移植について書きたいと思います。

アメリカ人医師

アメリカ人医師は、突然の心不全に見舞われ死の淵に立たされましたが、幸いにもドナーが見つかり心臓移植を受けた結果、一命を取り留めました。

しかし、米国人の全てが彼のように幸運ではないというのが現実です。臓器調達・移植ネットワークOPTN)とメディケア・メディケイド・サービス・センターCMS)のデータでは、臓器移植を待つ米国人の人数10万4000人以上、2021年には1日当たり31人の米国人が移植を受けることが出来ずに亡くなったとされています。

臓器移植を待つ人、移植を受けることが出来ずに亡くなった人の人数を知りました。ドナーが見つかり移植手術を受けらるということは、どれだけ幸運なのことなのしょう。しかし、移植手術を受けたとしても、移植後の合併症などの問題もあるので大変だと思います。

臓器移植多くは、待機リスト(移植者と認定された人のリスト)に登録されてから、提供者との適合・一致が確認されるわけですが、臓器提供に同意したドナーは「提供の流れ全体を理解していることを確認する」為の面談を家族と一緒に受ける必要があるといったように、様々な段階を踏む必要があります。

また、有色人種の中でも特に黒人は、臓器移植を受けるにあたり、殆どの段階で不利な立場に置かれています。医療の現場においても、人種差別があるという事実に悲しい気持ちになりました。なぜなら、人の命に人種や国籍は関係ないと思うからです。

臓器移植について

臓器移植の過程で重要な段階の一つに、ドナーから「適合する臓器を受け取る」ということがあるのですが、米国で臓器移植待機者の60%有色人種に対して、提供される臓器のうち非白人のものは35%にとどまると、慈善団体から報告されています。

このことは問題であり、その理由はとしては、臓器移植でドナーと患者が遺伝的に類似している必要があるからです。双方の人種が近いと移植後に合併症が起こりにくいこともあり、有色人種の人からの臓器提供が少ないと、患者に臓器移植が必要な時に移植に適した臓器を受け取る可能性は低くなるそうです。

白人ドナーの家族よりも、臓器提供の過程に関する情報提供を受けたり、話し合いの場を持たれる機会が黒人ドナーの家族は少ないことが指摘されています。

また、臓器提供を黒人の家族が断った理由として、臓器調達機関(OPO)と移植に関して話し合う時間が少ないことなども研究により明らかになっています。

OPO臓器移植の流れについての話し合いにおいて、黒人白人の家族間に格差があるとするならば、黒人の家族が臓器提供に積極的に慣れないのは、当然だと言えるのではないでしょうか。

もし自分がドナーの立場だと考えてみると、重要な情報提供がされなかったり、話し合いの場が持たれる機会・時間が少ないことは、不安にもつながるので、とても問題だと思います。

また、格差問題には根深いものがあるように思えます。だからこそ根本的に問題が解決しなければ、他の問題にも影響が出ると思います。

それでは、格差をなくす為にはどのようにしたらいいのでしょうか。

皆さんはどう思いますか?

確かに臓器移植はとてもデリケートな問題なので、話し合いは難しいと思います。しかし、とても重要なことだと思うので、話し合いが円滑に進むことで、状況が変わるのではないでしょうか。

臓器移植の改善策とは

臓器移植に関していくつか改善が見られますが、人種間の不平等に対応する為にはさらに多くの取り組みが必要とのことです。

最近取られた改善策として、米政府の医療保険制度メディケアメディケイドの運用を監督するCMSが、OPOに対し実績についての透明性と、最小限良質であることを確保することを義務付ける規則最終決定しています。さらに、OPOが行うべき改革として次のことが挙げられています。

OPOの改革

臓器提供の話し合いと、承認を求めた家族の属性に関するデータ収集

② 病院からの臓器提供通知全ての、経過観察を職員に義務付ける

③ 職員が、関係者と適切な表現でコミュニケーションを取れるようにすることを目指した研修の実施など 

集されるデータは、政府当局が健康分野での格差を是正する上で役立つとのことです。OPOと同じく、臓器を受け取る移植センターも責任を果たすべきであり、移植センターは出来る限り多くの命を救う為にも、臓器が無駄に終わらないように、明確で透明性のある受け入れ基準を持つ必要があると思います。

参考サイト:人種間の不平等は臓器移植にも その原因とは – Forbes JAPAN

米国での臓器移植をめぐる状況が改善され、無数の人の命が助かることを願わずにはいられません。勿論それは日本も同じです。日本での臓器移植が出来ず、海外へ行って手術をするニュースを見る度にそう思います。

同時に海外で移植手術をする為には、多くのお金が必要となります。日本国内で移植手術が出来ることが最善だと思いますが、様々な事情や病気の進行具合によっては時間の問題もあり、負担が大きくても海外へ行く選択をするのではないでしょうか。

関連記事

「人種間の不平等」について調べたところ、次のようなことがありました。

アルゴリズムによる腎臓病の重症度診断において、黒人の重症度が白人に比べて低く見積もられていることが新たな調査でわかったそうです。

本来ならば、腎臓移植を推奨される程の重症度であるにもかかかわらず、移植が勧めらないケースもあり、人種間の健康格差を拡大させているとのことです。しかし、これはあくまで氷山の一角と言われていました。

参考サイト:https://wired.jpアルゴリズムの計算式が、医療における「人種の不平等」を生んでいる

「氷山の一角と言われている」ということは、他にどれだけの問題が隠れているのかと思うと、どうしたらいいのだろうと思わずにいられません。

すぐに何か変わることは無理だと思いますが、「臓器移植の改善策は」でも触れていることが改善されて行けば、少しずつ変わって行けると信じています。

noteでも記事を書いているので、よかったら読んでみて下さい!

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2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。臓器提供にも人種差別のようなものがあるとは知りませんでした。臓器提供を受けてうまくいく場合とそうでない時もあることもわかりました。
    これからも記事を楽しみにしています。

    • パンダさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。難しい問題の記事を書くことに悩みましたが、コメントを頂いて嬉しく思いました。これからも頑張ります。宜しくお願いします。

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