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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ヒトメタニューモウイルスとは、乳幼児の呼吸器感染症として知られているRSウイルスと同じニューモウイルス科に属する、2001年にオランダで発見された比較的新しいウイルスとなります。そこまで馴染みのない名前のウイルスですが、新たに人間に感染を発症させたものではなく、昔から流行していた風邪の原因のウイルスの1つであり、それまでに発見されていなかったウイルスでした。
RSウイルスとは性状および症状がかなり類似しています。流行のピークは毎年3月~6月です。2歳までにおよそ30%、5歳までにおよそ75%、10歳までにはほぼ全員と、100%が一度は感染するといわれています。
大人でも感染することがあり、子どもの風邪症状の5〜10%、大人の風邪症状の2〜4%を占めていると想定されています。1回感染しただけでは十分な終生免疫は付かないので、何度でも感染します。
今回はヒトニューモウイルスの症状、治療法、予防策など様々な角度からお伝えします。
▽症状
潜伏期間は3-6日で、 鼻水や息苦しさ、咳と併せ38-39℃以上の高熱が出ることもあります。嘔吐や下痢といった消化器系症状も7〜8%近くの人に出て、最初は急性胃腸炎と診断を受けることもあります。
また、高熱と頭痛が交互に出ることもあり、発熱が平均して4-5日持続することもあるので、 インフルエンザと間違われて診断されるケースもあります。悪化すると肺炎、喘鳴(ゼーゼー/ヒューヒューという呼吸音)・呼吸困難といった喘息様気管支炎や、細気管支炎といった重い症状も60%近くの方にみられ、水分が摂れずに「脱水症状」になる恐れもあります。5日前後持続することもあります。 気管支喘息を罹患する人は、喘息発作が出る原因にもなります。
発熱してから、気道から7-14日間に渡ってウイルスが排出されます。
合併症として
喘息性気管支炎が、36.8%
中耳炎が、15.8%
肺炎が、14%
熱性けいれんが、3.5%に発症したという報告があります。
重症化しやすい人
・先天性心疾患、肺疾患(うまれつき心臓や肺に病気があるお子さん)
・神経・筋疾患、免疫不全の基礎疾患または骨髄移植を受けた方
・気管支喘息
・高齢者
▽感染経路
原因は、ヒトメタニューモウイルスに感染している人から移ることです。このヒトメタミューモウイルスを保有している人から、飛沫感染・接触感染で感染します。
飛沫感染…感染者の口から出た咳やつば、くしゃみなどで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。
接触感染…感染者の咳や鼻水、くしゃみの飛沫が付いたタオルや椅子、おもちゃ、ドアノブ、食器、机などに触った事で目や口を介して感染します。
▽診断
綿棒で鼻の奥の粘液を採取して行う迅速検査があります。 インフルエンザと同じ様に保険診療で認められた検査方法です。
10分程度で結果が分かりますが、6歳未満までが保険適応となっています。医師が検査結果と症状を総合的に判断した結果、ヒトメタニューモウイルス感染症と診断を下します。
▽治療法
ヒトメタニューモウイルスへの特別な治療法はなく、治療薬もありません。そのことで、症状を緩和させる咳止めや解熱剤の処方などの対症療法が行われます。
高熱が持続すると体力を消耗し、脱水症状が現れることがありますので、安静・休養し、水分を補給することが大事となります。
▽予防策
咳エチケット(マスク)、手洗い、周りの消毒、嘔吐物、排泄物を触った時の防護、換気、重症化リスクがある人との接触を避ける などが挙げられます。
飛沫感染対策においては、年長児や大人では、症状が軽く感染していることも気付かずに移してしまうことも多いので、 咳やくしゃみの症状がある場合は、マスクを着けて下さい。
接触感染対策においては、 子ども達が日常的に触るおもちゃ、スイッチ、手すりなどはこまめにアルコール消毒をして下さい。 手洗いをすることや、アルコールでの手指の衛生も心掛けて下さい。
▽登園・登校の目安
インフルエンザや風疹は、厚生労働省から出席・登園目安が定義されています。ですが、ヒトメタニューモウイルスには明確な目安は定義されていません。
日本小児科学会が明らかにした学校・保育施設における感染予防のガイドラインによりますと、「咳などの症状が安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。」との定義を、登園の目安として記載されています。
ヒトメタニューモウイルスに関連する定義はそれぞれ利用する施設も確認を取る必要がありますが、風邪と同じ様に「熱が下がれば出席・登園できます」と定義している場所が多い傾向です。
参考:ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症とは もりのぶ小児科
子ども達が気を付けておきたい感染症の1つ
毎年、秋から冬にかけて、正月頃になるとRSウイルスが流行し、その後で1月頃からはインフルエンザの流行時期に突入し、インフルエンザが落ち着き出した頃に、ヒトメタニューモウイルスの流行となります。
一度感染し、再感染した時は症状が比較的軽症なことから、特に年長児や大人から乳幼児や高齢者への家族内感染や、保育所・幼稚園や介護施設などで流行しやすく、特に乳幼児や高齢者では重症化する恐れもあり、注意が必要となります。
私はこのウイルスのことを今まで聞いたことがなかったのですが、21世紀に入ってから発見されたウイルスなので、だから知らなかったんだなと思いました。
本当に色んなウイルスがあるなと思いました。今は通常の流行期です。2022年は夏から12月末までと、季節外れの流行がありました。手洗いなど、これまで通りできる対策はしておきたいと思います。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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