パートナーシップ宣誓制度。〜ポーラが事実婚も福利厚生対象など、様々な世の中の動き〜 

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

毎月多くの自治体で導入が始まっている、『パートナーシップ宣誓制度』。歓迎する声も多い中、LGBTQ当事者にしか分からない悩みをまだまだ抱えている事も分かって来ました。当事者の方はどんな事に悩んでいるのか?

今回はそんな当事者の悩みやポーラの先進的な福利厚生についてなどをお伝えしていきます。

パートナーシップ制度とは?

「パートナーシップ制度」は、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、自治体が独自にLGBTQカップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。
受けられるメリットは、病院で家族と同様の扱いを受けられる、公営住宅への入居に家族として入居可能、生命保険の受け取りにパートナーを指定することができる、民間の家族割などがあります。

引用:パートナーシップ制度について | みんなのパートナーシップ制度 (minnano-partnership.com)

喜びの声の一方、法的保障なく利用をためらうことも

2021年度から『パートナーシップ宣誓制度』が導入された静岡県富士市では、これまで10組がこの『パートナーシップ宣誓制度』を利用し、利用者たちから喜びの声が数多く聞かれました。宣誓したカップルは市立病院では親族として手術や検査の同意の署名が書けるほか、市営住宅でもカップルで同居も出来ます。

2020年度に開始した静岡県浜松市は1年目に28組、2年目の本年度に11組が宣誓しました。
静岡市と湖西市は2022年4月から運用を開始し、静岡県も2022年度中の導入を予定しています。

ただ、法的に必ず保障された関係性ではないため、社会保険の扶養対象や配偶者の在留資格が対応できず、『パートナーシップ宣誓制度』の利用を躊躇したり、辞退するカップルも中にはいて外国人が多く住む浜松市でも同様の相談が多く寄せられています。

参考:カップル「同性婚認めて」 扶養、在留資格…“壁”高く 先駆け導入浜松、富士両市 パートナーシップ制度利用増 あなたの静岡新聞(2022年)

賃貸入居を断られ続けたカップル

広島市がLGBTQのカップルを独自に認定する『パートナーシップ宣誓制度』を県内で初めて導入して1年で30組以上のカップルが制度を利用しました。ただ、LGBTQなどの当事者カップルから、「2人で住む賃貸物件をなかなか見つかりにくい」と戸惑う声が上がっています。

ある男性の場合、心は男性ですが、戸籍上は2人とも女性というケース。法律上の結婚はできません。このカップルは広島市が設置した『パートナーシップ宣誓制度』を利用するため、2021年末に呉市から広島市に転居しましたが、新しい住まいが無事見つかるまでに1年余りも経過しました。

2人は不動産業者にあえて、新たな『パートナーシップ宣誓制度』を利用するカップルとして暮らすと先に伝えていました。約10社の不動産の担当者のうち半数は『パートナーシップ宣誓制度』を認知していましたが、返ってきたのは利用出来ませんの返答ばかり。「オーナーから理解を獲得出来ない」「2人がそういうLBGTQの関係性だと審査に通りません」…。「あなた達は夫婦ではありませんので」とさらりと返す人もいました。その言葉の刃が2人の心に深く突き刺しました。

参考:LGBTカップル、断られ続けた賃貸入居 パートナー制度に追いつけぬ社会 中國新聞デジタル(2022年)

2021年11月、ようやく2人の関係に理解を示す業者にたどり着きましたが、「制度ができても社会が受け入れてくれないのはつらい。パートナーシップ宣誓制度だけでなく、社会の意識も変わってほしい」とこの男性は悔しそうに話したそうです。

日本は先進7カ国(G7)の中で唯一、同性婚を容認しておらず国際的に遅れていて、誰もが幸せに暮らせるような社会をどうつくっていくのかを議論していく必要があります。

このように自治体や国の制度が追い付いていない中、理解ある企業の中には、福利厚生を事実婚のカップルにも適用することを決めました。

ポーラが事実婚でも福利厚生対象に

ポーラはこのほど、人事制度や福利厚生の適用対象範囲を拡大しました。これまで法律上の配偶者・家族・親族が対象だったが、事実婚の相手方、同性パートナーを含めた「実質上の家族・親族」まで広げました。

今回の制度変更は、社員それぞれのSOGI(性的指向・性自認)や家庭の事情に関わらず、公平に認められ、力が発揮できるようにすることを目的に実施しました。対象制度は、慶弔休暇、育児休業・フレックス・看護休暇、職場復帰サポート手当、介護休業・フレックス・休暇、単身赴任手当、借上住宅、海外転勤における家族の帯同、残留家族手当、慶弔帰国休暇、労災など。

同ポーラは21年6月から、社内の有志メンバーで「LGBT+ALLYコミュニティ」を発足。メンバーがLGBTを知り、理解するということを第一目的に、「セクシャリティとアウティングについて」「自分の無意識なバイアスについて」など、さまざまなテーマでメンバー同士の対話を重ねながら、互いの疑問や課題を共有し合い、思考を深めています。

引用:ポーラが事実婚の相手や同性パートナーも福利厚生の対象範囲に制度変更 WWD(2022年)

東京都、オンラインでパートナーシップ制度利用可能に

東京都は、同性カップルを公的に認める「同性パートナーシップ制度」の案を公表しました。全国で初めて、全ての手続きをオンラインでできるようになっています。

都の案では、対象となるのは成年に達していて、双方、又はいずれか一方が性的マイノリティで、互いを人生のパートナーとするカップルです。

「窓口に直接行くと、予期せず第三者に伝わってしまう」と心配する声が寄せられたことを受け全国で初めて、届け出から受理まで全ての手続きをオンラインで行うことができます。公的な証明によって、これまで認められなかった家族としての公営住宅への入居や、手術の同意が可能になるということで都は今年の秋に制度を開始したい考えです。

引用:東京都が「同性パートナーシップ制度」の案公表 全国初 全ての手続きがオンラインで可能 FNNプライムオンライン(2022年)

当事者にしか分からない悩みもある

日本では2015年、東京都渋谷区と世田谷区が初めてパートナーシップ条例を導入し、その後、自治体主導でパートナーシップ制度が全国に広がりました。私は皆が幸せでおられるなら、同性婚という考えもあってもいいのでは?と思うのですが、パートナーシップ宣誓制度を利用しても、まだまだ課題が山積みだという事が分かりました。

私が小さい頃はこういう概念はまだ日本では認知されていなかったので、当事者の方も、世の中が今のように変わるのに凄く色々苦労もあったかと思います。私自身は当事者ではなく、障害や病気で生きづらさを抱えて生きていますが、LGBTQの当事者の方でも生きやすい世の中に変えていかなければならないですね。

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参考サイト

世界の同性婚 EMA日本

パートナーシップ宣誓制度について|日本LGBTサポート協会

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。