『チェルノブイリ1986』。〜人類史上最悪の原発事故の実話映画公開〜  

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

1986年4月に起こった、チェルノブイリ原発事故。その映画はロシア制作で公開が予定されており、最初はロシアの軍事進攻で公開が危ぶまれていましたが、「収益をウクライナの人の人道支援の寄付にするため」と発表され、日本での公開も決定しました。

この未曾有のチェルノブイリ原発事故という大惨事は、のちにソビエト連邦が崩壊した一因になったともいわれており、これまでに沢山のドキュメンタリーや劇映画、海外ドラマなどが製作されました。

今回はその映画と、この事故当時暮らしていた人の話など、様々な角度から、このチェルノブイリ原発事故について考えていきます。

『チェルノブイリ1986』予定通り5月全国公開へ

ロシア映画『チェルノブイリ1986』を予定通り2022年5月6日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開することを、日本配給の株式会社・ツインから発表されました。

本作は、1986年4月、当時ソ連だったウクライナのプリピャチで発生したチェルノブイリ原子力発電所による爆発事故で、原発爆発の事態に命を懸けて臨んだ消防士の姿を描いた人間ドラマとなっております。日本の配給元のツインは「原発事故による未曾有の悲劇が繰り返さないことに祈りをつめて完成させた作品として、原発事故の記憶を忘れさせないためにも、予定通り日本でも公開する運びにとなりました」と改めて表明し、「本作の興行収入で得た利益の一部をユニセフなどウクライナの避難する方々への人道支援活動を実施する団体に寄付へとさせて頂きます」と明言しました。

あらすじ

き消防士アレクセイは、元恋人オリガと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元のチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、それまでの穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることを知らされる。もしも溶け出した核燃料が真下の貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまきちらされてしまう。愛する人のためタンクの排水弁を手動でこじ開ける決死隊に志願したアレクセイだったが行く手には、想像を絶する苦難が待ち受けていた……。

画像・動画・引用:映画『チェルノブイリ1986』5月6日に公開 収益の一部をユニセフなどウクライナの人道支援活動団体に寄付 ぴあ(2022年)

日本公開が躊躇されましたが、

日本の配給元のツインでは、「ロシアによるウクライナ侵攻状況を考えますと、ロシア映画である本作の公開は日本での控えるべきというご意見も出るのではないかと思います。しかし製作・監督・主演のダニーラ・コズロフスキーは、自身のInstagramで鮮明にロシアによるウクライナへの軍事侵攻反対を明言しています。またプロデューサーであるアレクサンドル・ロドニャンスキーはウクライナ人でありウクライナを代表するプロデューサーで、先日ロシア当局からウクナイナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と共に“ペルソナ・ノン・グラータ”(好ましからざる人物)に明記され、過去の全プロデュース作品を全てロシアでの公開禁止処分となりました」と、本作の監督やプロデューサー陣はロシア政府とは真逆の立場にいることを宣言しました。

チェルノブイリ原子力発電所事故とは?

チェルノブイリ原子力発電所では1986年4月26日、試験運転をしていた原発の4号機で爆発を起こして、大量の放射線が外に発出されました。

この原発事故で、消火作業に取り組んでいた消防署員など約30人が大量の放射性物質を浴びて亡くなったほか、近隣に住んでいた多くの小さな子どもたちが甲状腺がんを発病するなど、ウクライナだけでなく同じ旧ソ連だったベラルーシやロシアにも健康被害が拡がりました。

原発事故が起きてから2021年4月26日で35年に入り、ウクライナの現地ではこの原発事故で犠牲になった方を追悼する催しなどが開催されることになっています。

爆発を起こした4号機は「石棺」と呼ばれるコンクリートなどの建造物で完全に覆われて、2019年にはさらにその「石棺」を外側から覆う巨大なシェルターも完備されるなど、放射性物質の飛散を放出させないための対策が今なお続けられています。

参考:チェルノブイリ原発事故から35年 廃炉への具体的なめど立たず NHK  NEWS WEB(2021年)

事故が起きた当時、妊娠の女性は、事故の影響が胎児にも及ぶおそれがあるとして、医師から人工妊娠中絶を強く迫られたといいます。

関連記事

隠されたチェルノブイリ原発事故後の火災 命かけ鎮火した消防司令の遺族が鳴らす警鐘 東京新聞(2021年)

もし日本で原発が攻撃されたら、、、

日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)が武力攻撃を受け、保管されている高レベル放射性廃液の一部が外部に放出された場合、首都圏を中心に最悪で40万人の死者が出ると試算したリポートを、環境経済研究所(東京都千代田区)所長の法政大非常勤講師が公表した。本県を含む広い範囲が立ち入り禁止や強制移住の対象になる恐れも指摘し、原子力施設が潜在的に抱える安全保障上のリスクに警鐘を鳴らしている。

リポートは、ロシア軍のウクライナ侵攻により、一九八六年に未曽有の原子力災害を起こしたチェルノブイリ原発や、六基の大型原子炉を持つザポロジエ原発が制圧された事態を受けて作成。再処理施設の高レベル廃液貯槽は、原発の原子炉はもちろん、使用済み核燃料プールと比べても構造的に弱いとして、武力攻撃で廃液が外部に漏れるシナリオを分析した。

東海再処理施設には、使用済み核燃料を再処理して核燃料物質(プルトニウムとウラン)を分離した残りかすの核分裂生成物(セシウムなど)を高濃度で含む廃液が大量にある。放射能は人間が近づけば即死するほど高い。

引用:もし東海再処理施設が攻撃されたら…廃液20%放出で死者40万人と試算 ウクライナで原発リスクが現実に 東京新聞(2022年)

チェルノブイリ事故と東日本大震災体験した女性の話

広島県広島市内にチェルノブイリ原発事故で放射線被害を目撃にし、東京に住んでいた時に東日本大震災も経験したベラルーシ出身の通訳の仕事をしている女性が住んでいます。

母国ベラルーシ隣国のウクライナはロシアの軍事侵攻に見舞われ、チェルノブイリ原発がロシア軍の砲撃にさらされました。2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故発生から11年が経ちました。

女性は「放射線被害に苦しむ人をこれ以上見たくありません」と語ります。

1986年4月、この女性が当時5歳の時に起きたチェルノブイリ原発事故による異様な光景を目撃していたからです。チェルノブイリ原発から北に300キロ余り離れたベラルーシの首都ミンスクにその当時家族と住んでいました。チェルノブイリ原発が爆発後、激しい雨がこの街に降りました。

水たまりには黄色い泡が溜まっていました。「触らない方がいい」。あの時の大人の低い声が今でも記憶の中に残ります。放射線を浴びたせいで友人の母はがんで亡くなり、女性の親族は放射線の影響か、甲状腺を切除しました。女性自身も一時期、甲状腺の異常で薬の処方を受けていました。

「放射線の影響をこの目で観てこれまで育って来ました。あれから35年以上の月日が経過してもチェルノブイリ原発の健康被害はまだ続いている」と話す女性。2022年2月下旬ロシア軍のウクライナへの軍事侵攻に心を痛めていた中で、衝撃的なニュースが飛び込んで来ました。

ロシアに協力的な母国ベラルーシは2022年2月末、憲法改正によって核兵器の配備が出来る様になりました。「夫の亡くなった母は広島の被爆者でもありました。まさか21世紀になっても核兵器が使用される可能性があることを私がこうやって原爆ドームの前で皆さんに話すとは思いもしなかった」

参考:「放射線被害、もう見たくない」 チェルノブイリ事故と東日本大震災体験 広島のベラルーシ出身女性 中國新聞デジタル(2022年)

この女性は広島、チェルノブイリ、福島、そしてウクライナ。これまでの歩みで核被害を意識しないことはありませんでした。「黙っていては何も変わらない」。母国、そして隣国の平和を切に願います。

私がチェルノブイリ原発事故に触れた時。

この原発事故が起こった時、私はまだ生まれていません。その事故について初めて触れたのが、昔好きだった赤石路代先生の漫画に、チェルノブイリ原発事故で放射線を浴びた女の子が出て来たんです。そこで漠然とチェルノブイリ原発事故について、初めて触れた瞬間でした。

あれは少女漫画だったので悍ましいシーンはなかったのですが、この記事を書くにあたり、チェルノブイリ原発事故について調べて、いかに悲惨だったかを知りました。主演・監督の方の冒頭の「今起こっていることは、大惨事だ。全ての意味においての大惨事、すなわち人間的、人道的、政治的、経済的といった、あらゆる意味において、である。」が胸に刺さりました。

この戦争は誰も幸せにはしません。早く平和が訪れて欲しいです。。。

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映画『チェルノブイリ1986』、興行で得た収益の一部ウクライナへの人道支援活動に寄付 クランクイン(2022年)

チェルノブイリ事故で被ばくのウクライナ出身歌手らが演奏会 NHK  NEWS WEB(2022年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。