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知ってますか?~白杖SOS~
先日、ネットでこのような記事を読みました。
白杖を利用している視覚障碍者が、街中で白杖を掲げている姿を見て、SOSのサインだと気づき、声かけしたところ、「進行方向がわからなくなっていた。」とのことでした。Twitterで8万回以上リツイートされ、初めて知ったという人がほとんどの中、もし同じような状況になった場合、どのように声かけすればいいのでしょうか?
白杖とは??
皆さんは、白杖をご存知ですか?
最近では、ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」で知ったという方もいるかもしれませんが、白杖とは視覚障碍者の方が、道路などの通行に著しい支障がある障害者が、歩く際に前方の路面を白杖の先で、触擦する等に使用する白い杖のことです。
大きさは直径2センチメートル程度、長さ1メートルから1.4メートル程度のものが一般的であると言われています。
そして、その白杖を掲げている人を見かけたらそれは、「SOS」のサインの一つだということをご存知でしたか?
白杖SOSとは?
内閣府のホームページにはこのようなマークが記載されています。
白杖を頭上50cm程度に掲げてSOSのシグナルを示している視覚に障害のある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようという「白杖SOSシグナル」運動の普及啓発シンボルマークです。
白杖によるSOSのシグナルを見かけたら、進んで声をかけ、困っていることなどを聞き、サポートをしてください。
※駅のホームや路上などで視覚に障害のある人が危険に遭遇しそうな場合は、白杖によりSOSのシグナルを示していなくても、声をかけてサポートをしてください。
ただし、このSOSシグナルについては当事者間ですらほとんど浸透していないことから、「見えている方の間で広まることで逆にサインを出していないと困っていないと思われたりサポートを得られないのではないか?」と危惧する意見も出ており、反発する方や、意見が割れていることも分かっています。それは後述します。
どのように声かけすればいいのか?
では、もし街中でSOSサインを出している方や、サインを出していなくても困っている様子の方がいた場合、どのように声かけすればいいのか、「白杖SOSとは?白杖使用者の声かけのポイントは何? 今更聞けない視覚障害者の使う白杖とは? 3|公益財団法人 日本ケアフィット共育機構」さんの声かけの仕方を参考にしたいと思います。
白杖使用者への声かけのポイント
もしかしたら困っているかも?という白杖使用者を見かけたら、どのように声かけすればいいか、簡単にお伝えします。
なるべく正面から声かけする
視覚に障害のある白杖使用者に、声かけをするときはなるべく正面から声かけしましょう。
後ろや離れた場所から声かけされると、自分に声をかけられているのか分かりにくいので、正面、もしくは飛沫感染を避けるために斜め前から声かけするといいでしょう。
具体的な情報で伝える
「あっちにレジがありますよ」、「もうちょっと進んでください」という説明では、“あっち”がどこのことなのか、“もうちょっと”がどれくらいなのか、イメージしづらく、分かりづらいこともあります。
正確な数字でなくてもいいので、「右手側に5メートル進むとレジがあります」「あと1歩進んでください」といった情報だとイメージしやすいです。
身体に触れるときは事前に声かけする
皆さんも急にからだを触られるとびっくりすると思います。
白杖を使用する視覚障碍者を案内する“手引き”のときに、皆さんの腕や肩を白杖使用者に掴んでもらって移動するのですが、いきなり手に触れて誘導したりせずに、「右手を失礼します」や「案内しますので右手を前に出してください」という声かけをしましょう。
また、白杖使用者は自分で動くことはできます。
命の危険が迫っているような状況を除いて、移動してもらいたいときはからだを押したり引っ張ったりしないようにしましょう。
お手伝いの方法が分からなければ本人に聞いてみる
声かけすればいいか分からない、どうやってお手伝いすればいいか分からない、と感じたら、本人に聞いてみましょう。自分で決めつけないで、その人がどうしてほしいのか、聞いてみるといいでしょう。
「何かお手伝いできることありますか?」
「もしよければ案内しましょうか?」
と相手に選択できるような声かけがいいです。
SOS以外にもこんな時は困っています。
立ち止まって、周りを見渡している。
道に迷っているときにこのようなことをすることがあります。また、立ち止まっているだけの時は、耳をそばだてて周りの音を聞き取り、自分がどの場所にいるのか(歩道にいるのか、周りにどのようなものがあるのか)、 声をかけられる人がいないか探している場合があります。
同じ道を行ったり来たりしている
この場合も、道に迷っていることが多いです。ほかの道を探したいけれど、探すこともできず困っています。この場合は、普段使い慣れているはずの道を間違えてしまったときなどによく起こります。
(電車や駅で)席が空いているのに、立ったままでいる
視覚障碍者は電車に乗って空いている席を探したいけれど見つけることができないため、立ったままでいることが度々あります。このような場面に遭遇した時には、ぜひ声をかけていただきたいと思います。
ただ人によって、電車の奥の席に連れていかれると降りる時に大変なので、戸口の手すりにつかまっている場合もありますので、座りたいかどうかを聞いてみてください。
しかし、SOSシグナルに反対意見も多数
白杖SOSが、Twitterなどで拡散されている中、そのSOSシグナルについて「反対」意見も当事者から多数でているようです。拡散されることで「サインを出してないから困ってない」と思われる可能性があるのではない?と危惧する意見があり、SOSシグナルについては当事者にとってかなりデリケートな問題になっています。
例えば駅のホームでは色んな音がしているので、歩きながらだとより周囲の状況を把握しづらかったり、相対式のホームで自分のいる反対側のホームに停まった電車が自分が待っている電車だと思って乗ろうとして落下するなどのケースがあるそうです。こういったケースでは危険かどうか本人が察知できていないので、先ほどのSOSシグナルは知っていたとしても出さないのです。
電車のホームからの転落事故は毎年起きており、参考記事によれば、2010年から2020年にかけて10年間に694件の転落事故が発生し、24人の尊い命が失われています。あまり報道はされませんが、1週間に1回より多くの転落事故が、どこかで起きているそうです。ホームドアがあれば安全ですが、未設置の駅の方が依然多い状況です。
なので、駅のホームでもし白杖を持っている方を見かけたら、周囲の方がそれとなく見守り、危ない状況になる前に声をかけるなど、そういった意識や声掛けの方法の方を広めていくことの方が大切になりそうです。
参考:視覚障害者「駅ホーム転落事故」対策は万全か | 経営 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
また、白杖を地面から離すのは目をつぶるのと同じなので、それ自体が不安や恐怖を伴うことであるというのが当事者の感覚のようです。
このように、白杖SOSが浸透することによる弊害や抵抗感が当事者の側にあるのも現実です。
では、私たちはどうすればいいのでしょうか?
やはり、当事者の声を聞くことが大切になってきます。
参考:「白杖を上げていたらSOSのサイン」という話を拡散するのは当事者にとって迷惑? – Togetter
このように、「何か困ってますか?」の一言をかけるだけ当事者には、大きな助けになるのは事実です。
最後に
現在放送中のドラマ「恋です!~ヤンキーくんと白杖ガール~」で知られるようになった、視覚障碍者の「白杖」。
しかし、その利用法や今回のSOSシグナルについての当事者の想いなど、まだまだ知らないことがたくさんありました。
AKARIでも今後も、白杖など、障碍者の方の目となり、耳となる装具などをご紹介したいと思います。
【ドラマの記事】
【点字ブロックについての記事】
【盲導犬など補助犬についての記事】
参考サイト
「初めて知った」と大拡散されたSOSのサイン。Twitterで8万回以上リツイート
白杖SOSとは?白杖使用者の声かけのポイントは何?今更聞けない視覚障害者の使う白杖とは? 3|公益財団法人 日本ケアフィット共育機構
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