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はじめに
親が寝たきりになったとき、皆さんはどうしますか?
要介護1で元気にデイサービスに通っていた母が寝たきりになり、おむつ替えなど本格的に介護することになった私の体験記です。
介護保険で介護ベッドや車椅子をレンタルしたり、おむつ替えの仕方などできるだけ詳細にご紹介します。
家族の介護で悩まれている真っ最中の方、親の介護が必要になるかもしれないと今から心配の方などの参考になれば嬉しいです。
親戚のお葬式
伯父が亡くなり、母を連れてお葬式に行きました。伯父は私の父の兄にあたる人で母にとっては婚家の嫁として立場での参列になります。読経が終わり、お昼の時間になると別のお店で食事が出ることになり、マイクロバスで移動しました。お店に着くと、予約された2階にある部屋に行くための階段が登れないと母が言い出しました。確かにお年寄りには登りにくい急勾配な階段でしたが、登れないことはないだろうと私が母を抱え上げながらどうにか登らせて2階に上がることができました。帰りも私が母を抱えながら階段を降りました。
その日はヘトヘトになりながら家に帰りつきました。食事やお風呂を済ませてもうそろそろ寝ようとした時、母がトイレのドアの前で立ち止まっていました。何しているんだろうと様子を見たら、母の足元が濡れていました。私は「はあー」とため息をつきました。それが初めて見る母のおもらしでした。しかし、ため息はつきましたが、あまりショックではありませんでした。私は病院で清掃の仕事をしているとき、ベッドに連れてこられた年配の患者さんのパジャマがみるみる濡れていくの見たことがあります。このとき、私は病院で働いて良かったと思いました。
私は、母の着替えを取りに行き、明日、紙おむつと防水シーツを買いにいこうと思いました。
便座に座れない
かかりつけの脳神経外科の主治医から母の脊椎に腫瘍があると言われました。手術をして取り除いた方がいいと言われ、また手術かとうんざりした気持ちになりました。母は、乳がんと甲状腺がんで合計3回手術しています。どの手術も大学病院で受けました。再び、その大学病院で手術を受けようと思いますと主治医に言いました。
大学病院での検査の結果、幸い、腫瘍は良性のものとわかり、手術の日取りなどを決めました。
実家は古い家で当然バリアフリーになっているわけでなく、狭いトイレの中で下着を脱がせて用を足すのを手伝うのは大変です。とうとう自分で立つこともおぼつかなくなった母を抱えきれず、落としてしまいそうになり、思わず「ちゃんと立って!」と悲鳴のような声をあげてしまいました。
ケアマネジャーさんに相談し、介護保険で介護ベッドと車椅子とレンタルしてもらえるよう手配してもらいました。ポータブルトイレはケアマネジャーさんの施設のものをお借りしました。お風呂はデイサービスを利用しました。
大学病院の通院は介護タクシーを利用しました。
紙おむつの替え方
介護ベッドに寝ている母に「手は真ん中」と声をかけます。すると、母は寝ながら気をつけの姿勢のように手をピッタリと胴体につけ、足も閉じるようになりました。ベッドの横の手すりに手や足が挟まれる事故が多いと聞き、そうしていました。
介護ベッドを上げ、おむつ替えがしやすい位置で止めます。ビニール手袋をつけ、母の体を右にゴロン、左にゴロンと言いながら、体を横に向けて新聞紙を敷き、紙おむつを外して、お尻ふきで鼠蹊部の便を拭き取ります。外した紙おむつを段ボールとビニール袋で作ったゴミ箱に捨てます。そして、新しい紙おむつを敷き、鼠蹊部に合わせてテープを貼って、最後に新聞紙を抜き取ります。
兄にシモの世話になるのは嫌だと言っていた母ですが、そうも言っていられない状況になり、兄も母のおむつ替えをすることになりました。介護の仕事をしていた兄の方が私よりおむつ替えがうまく、兄の真似をしておむつ替えをすると手早くすることができました。
手術
脊椎にできた良性腫瘍は珍しいところにできたと言われました。背骨の神経が腫瘍に圧迫されて足が動かなくなっている、手術で開いてみないとわからないが神経に触っているところが綺麗に取れたら回復する見込みがあると言うことでした。手術自体は難しいものではないと聞いて少しホッとしました。
病衣は病院でレンタルし、定額で使用できる紙おむつサービスを利用しました。肌着や、タオルなどは入院患者自身が洗濯しなくてはならないので、その洗濯は私がしました。
リハビリ病院に転院
大学病院の医療ソーシャルワーカーさんの手続きを経て、自宅近くの病院に3ヶ月間リハビリ入院することになりました。理学療法士さんや作業療法士さんから、毎日リハビリ訓練を受けます。
マッサージや、車椅子から椅子に座る練習、椅子から立ち上がる練習、補助器具を使って歩く練習、階段の登り降りの練習などをしていました。
退院する日、エレベーターの前で、看護師さん、理学療法士さんたちなど病院のスタッフさん全員に「退院おめでとうございます」と言われました。病院のスタッフ皆さんの顔がとても誇らしく輝いて見えたので母はとても仕事のやりがいのある患者だったんだろうなと思いました。
今は元気に庭いじり
とうとう寝たきりになった母の終わりなき介護人生になると戦々恐々としていた私ですが、主治医から奇跡と言われるほど、母は回復し、今では元気に庭の雑草を抜いたり、鉢植えの花に水をあげたりなど、楽しんで生活しています。
最先端の医療、介護保険によるサービスや、性能の良い紙おむつをはじめとした介護製品など、大変なこともありましたが、色々な人、ものに支えられてどうにかやってこれました。本当にありがたいことです。
ひと昔前ならもっと大変だったと思います。今、介護で困っている人がいるのならば、1人で抱え込まずに市役所などの行政に相談に行って、色々な社会資源を利用すると良いと思います。そのためには積極的に自分で調べてみることも大切です。
これからも認知症は少しずつ進行していくでしょうが、母との時間を大切にしていきたいと思います。
参考サイト
LIFULL 介護 福祉用具をレンタルするときに知っておきたいこと
つくるパジャマ 入院用パジャマは購入とレンタルどっちがいいの?メリット・デメリット
社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 おむつ定額サービス(1日495円)のご利用について
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