性暴力から子どもを守る取り組み「みんなで性教育」①

子どもたち

この記事は約 6 分で読むことができます。

はじめに

インターネットやSNSの広がりとともに、性暴力被害に遭う子どもは増えています。
警察庁によると、だまされるなどして自分の裸の写真を撮影、送らされるなどする児童ポルノ被害者数は19年に1559人で過去最多となった。そのうち中高生が約8割を占めるなど、深刻な状況です。
また新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた春以降、中高生向けの性教育サイト「セイシル」の悩み投稿欄には、不安の声を寄せる10代の相談が急増しています。

そうした実態を受けて、性教育の風景が変わろうとしています。
国は今年度からの3年間を性暴力対策の強化期間と定め、「子どもを被害者にも加害者にもしないための教育」を、来年度から導入予定です。
年齢に応じた性教育は、豊かに生きる力を育むということを念頭に、国に先駆けて先進的な取り組みを実施されている例をこの記事では紹介していきます。

自分や相手に「境界線」があることを教える授業

2020年10月中旬、福岡県宗像市立日の里中学校で2年生を対象に「性暴力について知る授業」が行われました。講師役の「性暴力被害者支援センター・ふくおか」支援員、江実可子さんは『他人と自分の間にある境界線』について強調し、他人との距離感や持ち物、時間の使い方など、すべてに自分自身で決められる境界線があることを、動画やスライドを使って説明しました。

「相手から嫌なことを言われてモヤモヤした経験、ありませんか。それ、あなたの境界線が働いたってことです。」
「あなたが望まない、同意のない性的な行為や発言はすべて性暴力。あなたの体はあなたのものだから、自分でどうするかを決めていいんです」

そう語りかけ、多感な年頃の生徒にお互いを尊重することについて考える機会を作っています。

従来の性教育とは一線を画すやり方ですが、性暴力は境界線が一方的に破られて起こります。
まずは、「自分や相手に境界線が存在すること」を認識してもらうのが狙いだそうです。

専門家は、「性暴力は関係性が対等でない場面で起こる」ことや、「被害に遭ったら信頼できる大人に相談する権利がある」ことも強調します。
福岡県は2019年、県独自の性暴力根絶条例が成立したのを機に、20年秋からこうした授業を一部の学校でスタートしました。先行実施を経て、22年度から全ての公立小中高校での実施を目指しています。

性に対する正しい情報を教えるオンライン性教育授業

性に関する知識不足も、望まない妊娠などの危険を招きます。特に新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた春以降、中高生向けの性教育サイト「セイシル」の悩み投稿欄には、10代の相談が急増しました。
知識がないまま行為に及び、誰にも相談できず、心細い思いをしたり、不安を訴える内容が目立ちます。
サイトを運営する「テンガヘルスケア」の助産師、古川直子さんは、正しい情報を伝えるため、オンライン性教育授業を10月に開催しました。
「避妊具の使い方や妊娠の危険性など、正しい知識を学ぶ機会が十分でなかった子が本当に多い。知識がなければ、自分を守ることもできない。大人が責任を持って正しい情報を示す必要がある」
共催したNPO法人「ピルコン」理事長の染矢明日香さんもそう力を込めて話されています。

「相手が嫌がることをしない」5歳から始まる予防教育

10月下旬、大阪市立生野南小学校で1年生向けの性教育の授業が行われました。
校内で暴力問題などが多発していたことから、体を大切にするための知識や他者への思いやりを養おうと、教員らがプログラムを作成しました。
1年生では恥ずかしいという感情と、相手との適切な距離感に気付かせることに重点が置かれています。
担任の先生は、自分のプライベートゾーンは「見せない、触らせない」他人のは「見ない、触らない」という約束をしました。幼い子どもは、悪気なくお尻を触ったり抱きついたりするため、無意識のうちに性被害や加害に関わっているケースがあるといいます。 

欧米では幼少期からの性教育が浸透し、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の性教育の手引「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」も5歳からの指導を推奨しています。
国も2021年度から幼児以上に性暴力の予防教育を始めました。

幼児への性教育を「早すぎるのでは」「寝た子を起こすことにならないか」など、不安を感じる声もありますが、全国で認可保育園などを運営する「どろんこ会グループ」(東京)は、現場の声を吸い上げ、系列の約100園で03年から5歳児クラスで性教育「いのちのお話」を開いてきました。
「性の話は生きて行く上で避けて通れない。4~5歳は、他人の体や赤ちゃんの誕生などに純粋な興味、疑問を持つ時期。学ぶのに最適な年齢なのです。」と東京都足立区の「北千住どろんこ保育園」園長、宮沢叙栄さんは説明しました。

また、保護者向けの講演会などを開く「とにかく明るい性教育パンツの教室協会」(東京)代表ののじままなさんは「恥ずかしさを感じているのは大人だけ、入浴時に大人と子どもの体の違いなどを話し合ってみるのも立派な性教育。気軽に取り組んで」と大人側の取り組む姿勢についても提言をしています。
 
警察官僚で慶応大教授の小笠原知美さんは、「子どもの年齢と環境に応じて、性に関する知識を繰り返し伝えることが大切」「読み聞かせは大人も一緒に学ぶ機会になる。幼少期からの性教育は、子どものSOSにいち早く気付ける大人を増やすことにもつながる」と助言し、性をテーマにした絵本などの活用を勧めています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
子どもには、小さい頃から性教育を教えた方がいいのでしょうか?
今回記事を読んで色々と考えさせられました。
まず、大人がきちんと正確な情報を入手し、それを正しく教えていくのが大切だと感じています。
都市伝説でデマの情報を信じ、間違えてとんでもないことが起きるかもしれない。
それらも全て大人の責任だと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回は③と④の内容について述べていきます。よければ次回も読んでもらえると嬉しいです。

参考:読売新聞朝刊10月27日~30日くらし家庭「みんなで性教育1~4」

HOME

子どもたち

2 件のコメント

  • 確かにそう思います。子供だからまだ早いという大人の考えを変えて正しいことを伝えることが必要だと感じました。次の記事が楽しみです。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です