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ichihimeです!本格的に寒さが厳しくなってきた今日、より一層お風呂が身に沁みます。特にわたしは、冬はやっぱり温泉!と思っています。同じような方、いらっしゃいませんか?温泉によって様々な効能がありますよね。中にはうつ病などの精神病に効く温泉もあるのだとか…。ひとはなぜ温泉を求めるのでしょうか。
日本にはたくさんの温泉が
日本には、いたるところに温泉がある。環境省のデータによれば、全国にある温泉地は3159ヵ所、源泉の数は2万7405にのぼります。また、平成25年度の全国の温泉宿泊者数は、日本の総人口とほぼ同じ約1億2600万人に達するといいます。つまり、日本人全員が一年のあいだに平均1回程度、温泉宿に泊まった計算になります。それだけ、日本人は温泉が好きだということでしょう。
それにしても、日本人はなぜここまで温泉を好むのでしょうか。
療養に使われる温泉
ストレスがたまると「温泉でも入ってゆっくりしたいなー」と考えることがよくありますね。プロ野球選手もシーズンが終わると温泉で休養して心身の疲れをとる場面が報道されたりします。そこで、温泉の効用について考えてみましょう。
歴史的には、ヒポクラテスの時代から水浴が治療に用いられていましたし、ローマ時代の水治療法も有名です。日本でも、神話の時代から温泉が療養に用いられたという記述が残っています。空海が発見した「弘法大師の湯」とか、「信玄の隠し湯」とか数多くあり、戦傷兵に温泉療養を積極的に行ったと考えられています。
近年になってさまざまな疾患の治療にも温泉が利用されるようになり、難病の治療やリハビリなど幅広い方面で活用されています。
温泉の主な効果
温泉療法には、①温熱効果、②水圧効果、③浮力効果、④転地効果(心理効果)などが含まれています。温泉自体の効果については、その泉質が大きく作用し、その含有量によって食塩泉、炭酸泉、硫化水素泉、硫黄泉、鉄泉、ラドン泉などに分類され、それぞれ効用が違います。
温泉場には効能書きが必ず掲示されていますので、その成分や効能、注意事項についてよく読んでから入るとよいでしょう。
主な効果① 温熱効果
あたたかい温泉で血行がよくなることにより多くの効能が得られます。体が温まることにより血管(特に抹消血管)が広がり新陳代謝が高まり、体内の不要物の排泄を促すのです。例を挙げると、疲労回復は、疲労物質「乳酸」が排出されるための効果です。
また、泉温別特長として、熱い温泉(42℃以上)は、緊張、興奮の自律神経「交感神経」が優位に立ち、しっかりと目が覚めた状態となります。
一方、ぬるめの泉温(37~40℃)の温泉は、気持ちを鎮める働きをするリラックスの自律神経「副交感神経」が優位に立ち、落ち着いた気分になります。
なお、日本人がもっとも気持ちの良いと感じる泉温は「42℃」です。気温よりはるかに高いお湯が体に負担をかけるものの、気持ち良さからくるリフレッシュ効果が望めます。
主な効果② 水圧効果
体表面にかかる静水圧により全身に圧力がかかり、内臓が刺激され、内臓運動となります。つまり、天然マッサージの状態です。脚には全血液量の約三分の一が集まり、この血液が心臓に送り返されるため「脚は第二の心臓」と言われることがあります。この脚の血液は、陸上では、重力が邪魔をして血液が心臓まで上がりにくくなります。
ところが、入浴すると、水圧で血管が細くなり、血液が心臓に向かって押し上げられます(ポンプアップ効果)。その結果、下肢の静脈の流れが良くなり、血液やリンパ液の循環も活発になっていくのです。
なお、全身浴ではこの水圧により心臓への負担が大きいのですが、半身浴や足浴では静水圧が減少するので、心臓への負担が少なくなります。お湯に肩までつかった時、体の表面積全体では、なんと500キログラムから1トンもの水圧がかかる計算になるのです。
主な効果③ 浮力効果
温泉に首まで浸かると、体重は約十分の一になり、体を自由に動かせるようになります。体が軽くなった感覚により筋肉が緩み、脳波が「α波」のリラックスした状態になりやすいようです。また、体の各部分を早く動かすと、水の抵抗力が加わり筋力の強化になります。
これを利用して筋力の弱った人や運動機能の低下した人のリハビリテーションにも利用されます。
主な効果④ 転地効果・心理効果
日常生活を離れ、環境に恵まれた温泉地に行くことにより五感に刺激を受けると、脳内のホルモンを調節する内分泌系や呼吸、消化といった生命維持活動をつかさどる自律神経の中枢のスイッチが入ります。そこで、ストレスを解消し、精神疲労やうつ病・不眠症などの病気に効果を発揮するのです。「澄んだおいしい空気」「森林浴によるリラックス」「避暑によるさわやかさ」など、自然環境に恵まれた温泉地ならではの効果が期待できます。
転地効果は、5~6日で活発になり、1ヶ月を過ぎると薄れます。もちろん1泊2日でも転地効果、免疫力向上効果は得られますが、できれば「滞在」をお勧めいたします。
「海の温泉地」「高原・山の温泉地」といったように環境を変えて温泉めぐりをするのも効果的です。山・高原の温泉では、涼しさと適度な標高による「転地効果」が得られます。涼しさが気持ち良さ(リラックス)を与えるのはもちろんのこと、スポーツにおける高地トレーニングの原理で、知らず知らずのうちに心肺機能が鍛えられます。
「転地効果」を考えると、標高300~800mの森林の多い高原地帯がよいといわれています。
海の温泉も転地効果が高いです。生命は、海から生れてきたので、海を見ているだけでも癒されるのでしょう。
精神病に効く泉質と温泉地
温泉は含まれている化学成分や、温度、液性(pH)、色、匂い、味、肌触りなど様々な特徴があり10種類に分類されていますが、ここでは適応症がうつ病に関するものをご紹介させていただきます。
・単純温泉・・・『下呂温泉(岐阜県)』『鹿教湯温泉(長野県)』など
・塩化物泉・・・『熱海温泉(静岡県)』『片山津温泉(石川県)』など
・硫酸塩泉・・・『法師温泉(群馬県)』『天城湯ケ島温泉(静岡県)』など
・二酸化炭素泉・・・『長湯温泉(大分県)』『肘折温泉郷の黄金温泉(山形県)』など
非日常を求める=温泉へ行きたい
最近は都心でも次々と温泉が開発されて手軽に利用できるのは良いことですが、やはり自然の中で温泉につかるというのが心理的な効果があります。喧騒の中で忘れてしまいがちな五感を目覚めさすという点では、自然環境は欠かせないものです。雄大な山々、緑あふれる木々、小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、とれたての野菜を食することなど、日常生活からの脱皮には大変役に立ちます。また、温泉地の地元の人とのふれあいや何気ない会話の中に新たな発見をすることも多いかもしれません。
温泉を目的で旅をして、道中の景色やその土地の食事、旅先での出会いなど、様々な経験をすることで、わたしたちはまた温泉へ行きたい!と思い、やすらぎを求めるのかもしれませんね。
日常に疲れたあなた、温泉で身も心もリフレッシュしませんか?
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