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ちょっと前までよくTVで流れていたサプリメントのCM、最近はあまり見かけなくなったと思いませんか? TVを見る時間が世の中的に減ったということもあるでしょうが、一時期呪文のように商品名を繰り返され耳に残っていた類も見ないですよね。
それもそのはず、調べてみると新たなガイドラインができてグルコサミン系の商品は19品目も消えているのです。科学的根拠を元に事業社側が資料を提出する義務ができて、提示するのが難しく、そのものを否定する論文などが増えてきたのです。
しかし米国では現在サプリメントの市場が拡大している事実もあって、立ち位置があやふやだなと感じます。今回は私たちにとってサプリメントはどんな存在か、果たして効果をもたらしてくれるのか? という事を追っていきたいと思います。
1.サプリメントの定義とは
サプリメントとは健康食品に分類されており、健康食品もサプリメントも法律上の定義はなく、ビタミンやミネラルなど健康の維持増進に役立つ特定の成分を濃縮し、錠剤やカプセル状にしたものという程度です。
食事によって十分に摂りきれない栄養素を補うための補助食品の総称で、Supplementとは「補足や補充」という意味なので、そのまま名称としても使われています。アメリカでは従来の医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセルなど)のものと定義しています。
購入や摂取する注意点
最近はインターネットの普及に加え、TVや雑誌などで情報過多になりがちで自分には何が必要なのかを整理しましょう。サプリメントの利用する前に、毎日の食事から野菜、魚、果物、乳製品など食品から取り入れるのが最適です。なぜこんな注意喚起をするのかというと、サプリメントは医薬品ではありませんが副作用のようなものが、全くないワケではないのです。
2.サプリメントの落とし穴
病院で薬を貰うときに今飲んでる薬があるなら飲み合わせや、1日何回飲むのかという説明、注意点などを受けますよね。それと一緒でサプリメントも同様に、飲み合わせや過剰摂取、同じ成分の重複により体調不良や症状の悪化、病気の治癒が遅れたりとさまざまなマイナス効果を引き起こします。
サプリメントを購入の際には成分名、含有量を薬と一緒で確認してから摂取しましょう。健康面の安全性や有効性を判断するためには、含有量は特に気をつけなければいけません。またビタミンやミネラルなど一度に多種類のサプリメントを摂取すると、健康被害の可能性が高くなり、原因究明も難しくなるのも注意点です。
アレルギーにも注意
商品に天然や自然と表示・記載されているものがありますが、必ずしも安心できるものではなく、アレルギーを引き起こす場合もあります。
・ローヤルゼリー(喘息持ちの方は注意)
・ウコン(肝機能障害を引き起こす可能性あり)
・スピルリナ(光過敏症、腹痛・下痢・便秘、発疹、吐き気) etc…
よく見たり聞いたりする成分にもアレルギーを引き起こす可能性があり、特にウコンはテレビCMでも「お酒を飲む前に摂取しておけば、肝臓を守ってくれる」や「二日酔いにならない」といったのをよく見かけました。
クルクミノイド類が肝臓に良いといわれますが、試験管レベルや動物実験の結果でしかなく、人の臨床試験での科学的根拠はないのです。しかし効果を実感する人もいるのも確かで、現在も飲み続けている方も多いでしょう。
特にスーパーフードやサプリメントといった類のものにはプラシーボ効果が上乗せされていると言われています。
3.プラシーボ効果による思い込みの力
プラシーボ効果とは以下の引用から一読ください。
薬理作用に基づかない薬物の治癒効果、つまり投薬の形式に伴う心理効果(暗示作用)のことで、薬理学的にまったく不活性な薬物(プラシーボ)を薬と思わせて患者に与え、有効な作用が現れた場合をプラシーボ効果があったという。プラシーボplaceboとはプラセボともいい、「気に入るようにしましょう」という意味のラテン語で、偽薬(にせ薬)のこと。内服薬では乳糖、デンプンなどで形、色、味などを本物そっくりにつくり、注射薬では食塩溶液などを用い、本物の薬と偽薬を客観的に評価するための小道具として使われる。慢性疾患や精神状態に影響を受けやすい疾患では、プラシーボを投与しても、かなりの効果が現れる。睡眠薬や鎮痛剤などでもよくみられる。この心理効果は30~40%にみられるという。
なんとなく騙す意味合いが強いというマイナスイメージが、個人的にあったプラシーボ効果でしたが、そうでは無いようです。過去に思い込みの力の記事を書いたことがありますが、思い込みの力は強大です。その効果もあってか新薬を作る際に大きな効果をもたらしているそうです。
医療現場で活かされるプラシーボ効果
新薬の許可がおりる条件とは、偽薬より効果が上回るかということです。治験では偽薬を飲んだグループと新薬を飲んだグループで有効性や安全性を比較します。 偽薬に比べて副作用が少なく、はっきりと上回る効果が確認されて初めて新薬として認められるのです。再評価の段階で偽薬より優位性を表せず、販売中止になった新薬もあるそうです。
つまりプラシーボ効果は心理状態に大きく作用して、○○に効くと書いてあったり耳にすることで、飲んだり使用することで効果が無くても効果を実感できる人もいるのです。効果を増幅できる良い面と、効果がないのに効果があると思い込ませて自分を騙す悪い面、結局は判断をどう下すかというのにかかっているのです。
まとめ・科学的根拠を取るのか実感を信じるか
初めに米国市場でサプリメントが拡大していると伝えましたが、定期的に摂取している成人が半数以上で、450億ドル(約4兆8,600億円)の規模と大産業になっています。しかしその影にはサプリを原因とする緊急搬送は、毎年23,000件にのぼっておりそのほとんどが、心臓系の異常によるものです。
では日本でのサプリメント市場がどうなっているのかというと、2018年度の市場規模は1兆5,624億円、利用者数は5,560万人、1人当たり平均購入金額は27,613円となっています。前年度から1,7%微減ですが、市場としては人口の約半数が使っているという数字は大きいでしょう。
先ほど説明したプラシーボ効果で、効果を実感して毎日健やかに過ごしている人もいますが、ウコンによる死亡事故も事実として浮き彫りになっています。
情報が溢れ返っている今だからこそ何が必要なのか、正しく見極める力が必要だとこの記事を通して感じました。サプリメントは手軽こそ売りだと思いますが、だからこそすぐに飛びつくのではのなく、周りや主治医の先生と相談をしましょう。冷静な判断がきっと自己防衛に繋がると思います。
参考・WIRED 週刊現代 健康長寿ネット マネージン 日経ビジネス 青いスーパーフードの注意点 全日本民医連
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