教育現場の声を拾い、発達障がい児のための商品を販売!『tobiraco』代表取締役 平野佳代子さんへインタビュー【前編】

教育現場の声を拾い、発達障がい児のために商品を販売! 『tobiraco』代表取締役 平野佳代子様インタビュー【前編】

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この度、発達障害児を支援に役立つ商品の販売や開発を手がける、『tobiraco』代表取締役の平野佳代子さんにインタビューさせていただきました!

平野さんは教育雑誌の編集者時代に発達障害を特集した際に特別支援学校に赴き、先生方が手作りした教材で支援する姿を見たことを契機に2016年12月に『tobiraco』をオープン。

2017年9月27日、NHKの情報番組「あさイチ」の発達障害の特集で、「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」が取り上げられ、広く知られる様になりました。

今回のインタビューを通じて、『tobiraco』の活動や、発達障害児支援への想い、「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」などの開発秘話などを伺いました。

今回お話を伺ったのは、翼祈、中村鮮魚店、島川です。

ぜひ前後編併せて最後までご覧になってください!

これまでの活動の原点・想いについて

tobiraconロゴ

翼祈:『tobiraco』立ち上げるきっかけとなった出来事についてお聞かせください。

きっかけは編集者時代に取材した特別支援学校の先生たちと、そこで使われている教材に出会ったことです。

私はもともと、教育や家庭学習中心の雑誌の編集者を15年近くやっておりました。

当時、教育関係の単行本も手掛けていて、様々な学校を取材する中で特別支援学校を訪れた際、先生方の考えの素晴らしさや手作りの教材にとても感銘を受けました。

その中で「この教材を教室の中だけじゃなくて、もっと全国に普及できないだろうか。そして私自身も知っていきたい」と思い立ったのが始まりです。

「特別支援教育や特別支援学級でされている教育は、こんなに素晴らしいんだよ」と多くの人に知ってもらいたい気持ちがありました。

雑誌が終わったタイミングだったことや、雑誌の教育教材の付録制作に慣れていたこともあり、懇意の先生方と一緒に教材を作りました。

その手作りの教材は現場では非常に評判が良かったのですが、手作りだとなかなか広まらないため製品化していったという次第です。

翼祈:『tobiraco』をオープンしてから、これまでで印象に残った出来事があれば教えてください。

いくつもありますが、外せないのは今うちの看板になっている「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」がテレビで放映されたことです。

きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム

「トーキングゲーム」が発売して半年、2017年の9月にNHKの「あさイチ」という番組の発達障害特集で商品が紹介されました。

こちらはのんびり構えていましたが、当時Amazonにまだ商品を出品していなかったため、アクセスが集中した結果、サーバーがダウンしてしまいました。

夫婦2人では間に合わなくなり、知り合いを辿って5人のアルバイトの方に来ていただきましたが、それでも間に合わないぐらいの反響で、1ヵ月間電話が鳴りやみませんでした。

発達障害に対する関心やコミュニケーションなどのツールへの関心の高さに、もの凄く驚きました。2017年はまだ発達障害が知られ始めた頃で、タイミングも良かったと思います。

始めてすぐの出来事だったため、 非常に印象に残っています。

翼祈:当事者に寄り添って作られた商品だった分、余計に親御さんが「ぜひ私の子供にも買いたい」と思ったのでしょうね。

平野さん:そうですね。 やはりコミュニケーションの課題を抱えていらっしゃるお子さんは多く、それに応えるツールは一般の人が入手しにくかったと思います。 

そのため、コミュニケーションに課題を抱えている方が多いのがよく分かりました。

翼祈:『tobiraco』が2016年12月にオープンし、2025年で9年となります。
オープンした当時と現在で、お客様の反応やニーズはどのように変わりましたか?

変わったと感じた点は、お客さんの年齢が上がり、「トーキングゲーム」も学校で使う‘‘学習支援‘‘に関心が移った点です。

実際に「『tobiraco』で学習支援のものはないですか?」という声をいくつか聞きました。

すぐにオリジナルは作れないため、先生へ相談していくつか仕入れて販売はしています。

翼祈:『tobiraco』の名前には、どのような想いが込められていますか?

まず絵が先で、可愛い画像が欲しかったと言うのが1つです。

その頃LINEで扉を開けて子供が覗いている絵が流行っていて、そうした可愛い絵を使いたかったのです。

もう1つは「次のステージや新しい世界へつながる扉を自分で開ける」。

そして、「自分で扉を開ける環境を作ってほしい」という気持ちがあります。

『tobiraco』で販売している道具や情報が扉を開ける役に立てればいいなと思っています。

翼祈:「つくって終わりじゃない。その後が大事でそこからこそ、おもしろい」と話していたのをお聞きしました。そう、考える理由はなんでしょうか?

私が雑誌編集者だったことは大きいと思います。

本や雑誌は作って終わりではなく、作ったあとどれぐらい反響があるかということが、凄く重要で、“作ってからが勝負”だと思っています。

読者の方がどういう風に読んでくれたか、どういう影響があったか非常に気になりますし、フィードバックがあれば次に活かしていくことができます。

‘‘どういう風に役立ったか”までが仕事だと思うので、使ってくださる方の声や反応には、敏感でいたいです。

翼祈: 教育雑誌の編集者だった時に、発達障害を取り上げられましたが、当時はどの様な反響がございましたか?

編集者時代、保護者の方との繋がりは密だったという自負があります。

その中で発達障害と思われるお子さんのお母さんに会ってみると、非常に情報を欲しがっていることと、お母さん自身が非常に情報を持っていることを感じました。

「これは雑誌で取り上げなくては」と思い取り上げましたが、反響は大きかったです。

普通の子育て雑誌の連載や特集で、障害に関する商品紹介や子育て、親の会などについて取り上げていきました。

多くの反響の中で嬉しかったのは「雑誌で取り上げてもらい、自分の夫やおじいちゃんおばあちゃんの理解を得やすくなりました」 というおハガキをいただいたことです。

それまでは「育て方のせいだ」と言われていたことが、雑誌を直接見せることで発達障害への理解が進みました。

もう一つは発達障害じゃないお子さんを育てているお母さんから、「教室で立ち歩いてるあの子は、もしかしたら発達障害なのかもしれない」と理解してもらえたことです。

発達障害がない人、多様な人々に理解してもらうことは非常に重要だと思います。

翼祈:私自身もADHD、ASD、LDの当事者です。当初はまだ認知度が低かった発達障害の当事者が、現在ここまで多くなったことを、平野さんはどう感じておられますか?

私自身も専門家ではありませんが、発達障害の当事者が多くなったというよりは、「昔からいたのを知られるようになり理解が進んだ」と感じています。

発達障害のお子さんを育てているお母さんに取材したら、「自分の父親もそうだった」という話を何人も聞きました。

昔はそれがただ単にワガママだと性格のように見られてしまっていたのが、実は脳機能の問題だと知られるようになったのは、非常に良いことだと感じています。

『tobiraco(トビラコ)』の商品開発や反響について

中村鮮魚店:特別支援学校の先生などから、現場の声を拾い上げて制作されていることで、より当事者の悩みに寄り添いやすくなっているとお感じでしょうか。

『tobiraco』オリジナル商品の出発点は、先生が教育現場で使って効果のあったものを商品化するというのがコンセプトであるため、悩みに寄り添いやすいものだと思っています。

や「えらんで きめて つたえるゲーム すきなのどっち?」の紹介

例えば「トーキングゲーム」や「えらんで きめて つたえるゲーム すきなのどっち?」を実際に使っていただいて、お子さんの考えを知ることができるようになったという声を聞くと非常に嬉しいです。

色んな答えが書いたカラフルなカード

中村鮮魚店:「きいて・はなして・はなして・きいて トーキングゲーム」を購入されたお子さんのご両親や、特別支援学校の先生からは、どんな反響が多いですか?

「トーキングゲーム」についてよく聞かれるのが、「子供の話をいかに聞いていなかったか気付いた」ということです。

親御さんが、子供が喋っている途中で質問したり何か言ってしまいまいがちなんです。

またこれはいいなと思った使い方が「『トーキングゲーム』をしながら寝る」というものです。

今は共働きが多く、なかなか子供の話を聞けないため、「トーキングゲーム」をすることで子供も話を十分に聞いてもらったという満足感がある様に感じています。

あと、特別支援学校だけでなく通級の教室などでも定番になっているようです。

子供達が休み時間に「これやろうよ」と持ってきたり、新学期が始まる時に「トーキングゲーム」をやって子供たちの気持ちがほぐれて話しやすくなるという声はよくいただきます。

休み時間に持ってくるということは子供が ”話を聞いてほしい‘‘と思っていると感じます。

特別支援に限らず、通常学級の子供たちも自分の話を聞いてほしいので、そのような環境作りに非常に役立ちます。

中村鮮魚店:実際に商品を使われたお子さんからは、どんな声が聞かれましたか?

実際に訪問した放デイで特性のあるお子さんが結構激しいことを言ったりするそうです。

色々な文字が書かれたカード

例えば「地球があと1か月で終わるとしたら、どうするか」。

「自分だけ生き残って、あとの人類全部滅べばいい」ということを言ったりしますが、誰も否定しません。 

親だと「そんなこと言うんじゃない」と、つい言いたくなります。

しかし、「そうなんだ」 と、何言っても許される、気持ちを吐き出すという、この環境は非常に大事で安心できるんじゃないんでしょうか。

ただし、この環境作りは難しくて、親御さんが言わせたりすると子供は言いません。

逆に環境次第で子供はなんでも言えます。

支援員さんなど大人の側も楽しく取り組めると、そうした環境は作れるかなと思います。

翼祈:「トーキングゲーム」があると、普段輪の中に入っていけない子も、放課後デイサービスで話しやすいと聞きました。

私も人の輪に入るのが苦手なので、こういうアイテムは助かると感じました。

答えたくない質問はパスできます。書かれた文章とPASSと書かれたカードの両面

「トーキングゲーム」には「人が話してる時に質問しない、笑わない、否定しないこと、最後まで聞く」などのルールがあります。

ルールがない単なる雑談は意外と難しいですが、テーマやルールがあることで話しやすくなるため、非常にいいことだと放デイの先生から聞きました。

また、第一声が出にくいお子さんでも、話し出すまでみんな待ってくれるため、会話に入りやすいと思います。人の輪に入るのが苦手なお子さんでもルールがあることで安心して喋ることができます。 

中村鮮魚店:デザインやパッケージにこだわり、買う時や使う時にわくわくし、かわいいおしゃれと感じられるような商品作りを目指しているとお聞きしました。
デザイナーさんが制作されることで、商品の売れ行きや反応は変わりました? 

「『tobiraco』で作っている商品は可愛い」と言ってくださる方が多いです。

デザインのプロではない先生が制作した教材は実用本位なため、思わず手に取りたくなるような商品づくりを目指していきたいです。 

特別支援や福祉関係は、どうしても地味なイメージがあるので、それを変えたい想いは非常にありました。

先生に聞いた話だと『tobiraco』で作った物の方が手に取ってくれるそうです。

それはデザイン的なことだけでなく、例えばカード自体に特殊な配合のニスを塗ることで、滑り過ぎずに使いやすくする工夫が施されています。

中村鮮魚店:『tobiraco』のホームページには、カテゴリーや商品の写真が多くあります。それも、特性のある方への配慮の1つなのでしょうか。

スーパーマーケットの棚のように、誰が見ても分かるような仕分けを目指しています。結果として特性のある方にも分かりやすくなっていたら嬉しいです。

また、カテゴリーの中に‘‘ことば‘‘と‘‘コミュニケーション‘‘が別々にあります。

‘‘ことば‘‘のニーズは非常に高いので、言語聴覚士さんが開発している商品で、発語がうまく出ないお子さんを意識したものも多くあります。

翼祈:『tobiraco』の商品は、発達障害以外の方にも効果があるのでしょうか。

あると思います。「トーキングゲーム」は発達障害を超えて、子供病院や社員研修、日本語教室でも使っていただいています。

初対面同士の自己紹介や知人同士でも意外と知らないところがあったと聞いています。

翼祈: 『tobiraco』の商品は大人である私が買っても良いのでしょうか。

はい、例えば「カードタイプルーペ」や、「カラーバールーペ」は大人の方も使っています。

沢山文字が書かれている紙

カードタイプルーペを使用している様子

カラーバールーペの説明
4つのカラフルな棒

カラーバールーペは四色から選べます!

 

 

まだまだ品数は少ないのですが、誰でも使っていただけると思います。

前編はここまでです。後編もお楽しみに!

 

『tobiraco』様の公式ホームページとSNS

公式ホームページ:

https://tobiraco.co.jp/

商品販売ページ:

https://tobiraco.co.jp/category/item/

公式X:

https://x.com/tobiraco_co_ltd?s=21

公式インスタ:

https://www.instagram.com/tobiraco?igsh=MXhicXF4NzVlMjE5bA==

 

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