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前編では、株式会社マイナビパートナーズ代表取締役 社長執行役員の藤本さんより、障がい者雇用の実態や障がい者雇用を目指す上で知っておくと役に立つような内容のお話をしていただきました。
普段の生活ではなかなか聞けない貴重なお話でしたが、皆さんはお楽しみいただけましたでしょうか?
後編では実際に、マイナビパートナーズ様で働いてらっしゃるAさんに、今の仕事についてや障がい者雇用を目指す上で気を付けること、働くときに注意することなど、就活するうえで大切なことをお聞きしましたので、ぜひお楽しみ下さい。
今されているお仕事について
地平線:就労されてからの勤続年数は、どのくらいになるのでしょうか?
2024年4月に入社したので、10月1日で1年半になります。
ゆた:Aさんの抱える障がいについて、話せる範囲で教えてください。
自分は「注意欠陥型の発達障がい(ADHD)」の診断を受けています。
具体的な特性としては、物事の優先順位をつけるのが苦手で、マルチタスク(複数の処理を同時に行う)になると著しくパフォーマンスが落ちることがあります。
あとは、集中力の持続が難しかったり、あるいは過集中状態になってしまって疲れてしまう等、集中力のコントロールが難しいといった特性があります。
もう一つは、日頃の睡眠時間に関係なく、常に眠気がきてしまう等の特徴もあります。
ゆた:今のお仕事について、どのような業務を任されているか、教えてください。
私は『ライティング業務』を主に任されています。
今は取材を受けていますが、取材をすることもあります。
メインで任されている仕事は『求人原稿』を書くことです。
マイナビで展開されているサービスでは色々な求人募集を掲載していますが、そういった募集のページの原稿を書いたりしています。
ゆた:今の仕事は楽しいですか?どんな点にやりがいを感じますか?
楽しいです。ライティング業務は、自分の適性にあってるかなと感じます。
ライティング業務は質が求められますが、数字として実績を残しにくいというイメージがありました。特に求人原稿に関しては、納品スピードと本数が求められるので、いかに正確性を維持しつつ原稿をあげるか、というところに自分は重きをおいています。そうなると、本数が実績としてあがってくるので、そこにやりがいや楽しさを感じています。
ゆた:仕事中にはどのような配慮をしてもらっていますか?
私の特性は、業務中の眠気です。
これに関しては、上司と一緒に眠気の対策について考える機会をいただいています。
今は離席の許可をいただいてリフレッシュをしたり、あとは集中ボックスというパーテーションがある個別の座席で集中させていただく対策を取っています。
上司の勧めで担当医に相談したところ、この眠気はADHDの特性だったようで、「薬を増やしましょう」という結果にいきつき、脳内のドーパミンを調節するお薬を増やした結果、眠気に襲われることなく集中できるようになりました。
上司が対策を講じてくれたおかげで、眠気が発達障がいの特性であることに気付き、投薬をする結果に結びついたので、自分としては一緒に考えて下さってありがたいなと思っています。
hibiki:お仕事に慣れるのに、どのくらいかかりましたか?
働くことに慣れるまでは、大体、半年かかりました。
入社して間もない頃は、勤怠も不安定な部分があったのですが、上司の「期待をしている」という言葉がきっかけで、「頑張ろう!」という気持ちや仕事に対する責任感、成長していきたい心が芽生えました。その後は勤怠も安定して、仕事のやりがいや楽しさを見出していきました。
ゆた:働く中で工夫していること、気を付けていることはありますでしょうか?
日々の業務中の困りごとや、違和感などはなるべく上司に伝えるようにしています。
自分自身の障がいについて、自分で理解したつもりになっていても、働く中で気づくこともあります。
もちろん自分で対策をしていくことも必要ですが、そういったことも上司に相談し、一緒に考えていく中で、自分自身が障がいと向き合って成長していくことを意識しています。
地平線:新たな仕事を任されたとき、障がいがあると特に「この仕事を出来るだろうか?」と不安になることがあったかと思います。そのような不安とどのように向き合われましたか?
色々な新しい事を任されるので、1年目は不安を感じることもありました。
ただ、マイナビパートナーズでは「まず挑戦してみよう」という風土があり、安心して挑戦することができました。
安心感の背景としては、週に1回、上司と業務中の困りごとや不安について共有する「定期面談」の存在が大きいかなと自分は感じています。
そこで新しく挑戦する業務についても、何かあれば上司に相談できるため、「やってみよう」「挑戦してみよう」という土台が出来ていたと思います。
ゆた:働く前と比べて、働き始めてご自身の中で変わったことは何ですか?
前向きな変化は色々ありますが、一番変わったと思うのは「働くことに対するマインド」です。
マイナビパートナーズに出会うまでは、「働く」ということはつらい時間でした。フルタイムのつらい8時間をとにかく耐え忍ぶことが、自分にとっての働くことでした。
ですが、今は自分の中で「これをやりたい」とか、「こういう自分になりたい」とか目標があって、『目標のために自分と向き合う時間』が自分にとっての働く時間に変わりました。
もちろん仕事なので緊張感やプレッシャーはありますが、自分の中でやりたいことがあるという面で、精神的な苦痛はなくなりました。
採用されるまでのお話
地平線:どのような流れで、マイナビパートナーズ様への就職へと繋がったのでしょうか?
自分の場合は、就労移行支援事業所(障がい者の就職や就労生活をサポートしてくれる施設)でマイナビパートナーズと出会いました。
就労移行支援事業所では、オープン就労(障がいを会社に開示して働くこと)を目指して就職活動をしていました。
オープン就労を目指す背景には、「障がいがあるため色々甘えさせてください」ということではなく、障がいと共に向き合って成長していきたいという想いが強くありました。
そういう中で『配慮はするが、遠慮はしない』というマイナビパートナーズのキャッチコピーは私の想いや考え方にマッチしていて、「ぜひ就職したい」と感じ応募したのが就職への流れです。
ゆた:就活をしていた時の流れと、どのようなことに気を付けていたのか教えてください。
自分は「障がいと向き合って成長していくこと」「自立した生活ができるような待遇があること」を軸に就職活動を進めていたのですが、障がい者雇用ではなかなか条件と合う仕事が見つかりませんでした。
就職活動で大切にしていたのは、なるべく会社訪問をすることでした。そして、障がい者雇用について、どのような取り組みや姿勢でいるのかを質問するようにしていました。
その上で、自分に合う企業かどうかを肌で感じ取るようにしていました。
具体的には、「障がい者雇用で在籍されている方たちの障がい種別の内訳を教えてください」と質問すると、個人的な印象では、あまり前向きに捉えてない企業はすぐには答えられない場合もありました。
そういった企業の選考には進まないようにするなど、ミスマッチングを防ぐように気を付けていました。
hibiki:就活をしていた時、不安をどのように解消していきましたか?
就活をしていた時は、「障がい者雇用で自立して働けるだろうか」といった不、安や迷いはありました。そういった不安や迷いに対して、就労移行支援事業所の支援員さんに相談をすることで、不安を解消していました。
就労に向けての具体的な質問や、漠然とした不安を吐き出す場所として本当に支えていただいたので、支援員さんにはとても感謝しています。
地平線:障がい者が働く上で、企業と共有しておいた方が良い内容はありますか?
合理的配慮を受ける面で、大前提として自分自身の障がい特性や困りごとと、その対策方法はしっかり共有した方がいいと考えています。
そのうえで、企業に求めることをそれぞれ言語化する必要があると思います。
それに加えて、あくまでも個人的な意見ではありますが、働く中で自分の特性に気付くこともあると思います。
「働く中で出てきた特性を、改めて伝えられる環境かどうか」ということを確認したほうがいいと考えています。
一度、合理的配慮を締結したから終わりなのではなく、「自分自身にこういう特性があって、対策をしても難しいのでこういう配慮が欲しいです」ということを改めて言いやすい環境かも確かめた方がいいと思います。
地平線:一般就労で長続きするコツはありますでしょうか?
自分自身が一般就労で長続きすることが出来なかった側なので、当時自分ができなかったことをベースにお伝えさせていただきます。
目標や目的を持って働くことはとても大事です。その目標に向かうにあたって、もし障がい特性が壁となるのであれば、自己対処を身に付けることが必要になってきます。
医療機関など、社会資源を頼りながら、自分自身と向き合っていくことが大切ではないかと思います。
自分の場合は、障がいの発見のタイミングが一般就労後でした。そのため、自己対処や相談先の環境が整っていない中で働くことになり、結果として退職することになりました。
もし、自分と向き合うことが出来て、自己対処を身に付けていたなら、結果は大きく変わっていたのではないかと思います。まずはなりたい自分や目的意識を持った上で、それに向かって必要な自己対処を身に付けていくことが大切ではないかなと思います。
ゆた:障がいを抱えながらも就職を目指している方に、メッセージをお願いします。
障がいがある中で就職活動をしていくこと、その先の就労生活では、日々自分自身と向き合うことが求められると思っています。
障がいの程度や種類によって葛藤も様々で一概には言えませんが、自分を知るということは苦痛を感じる時もあるかもしれません。
ただ、自分について理解するというのは、色々なチャンスや可能性が開く機会でもあるかなと思っています。
就職活動を通じて自分自身と向き合うことで、「障がいがあるからできない」ではなく、「障がいがあるけど、こういう対処をすればこれは出来る!」という発見に繋がるような就職活動になってほしいなと思います。
自分と向き合うことは簡単ではないかもしれませんが、ぜひ、新しい自分を見つけられるチャンスだと思って、就職活動に臨んでほしいなと思います。
お話を伺った感想
ゆた:藤本様のお話では障がい者雇用について、事細かに教えていただきました。
特に心に残っているのは、障がい者雇用は法定雇用率を満たすためだけのものではない、という言葉です。
雇用する会社であっても雇用される障がい者であっても、お互いが必要としていきたい、雇用の本質を問い直すような言葉を聞けて、これからの就活に向けて頑張っていきたいと改めて思いました。
また、A様の実際に働いてみての現在の状況や感想を聞いて、障がい者だからと言って甘えず、しっかりと自分の特性を理解したうえで業務に取り組んでいるなと思い、とてもワクワクしました。
私の中で障がい者雇用はどうしても数合わせのようなイメージが強かったのですが、少なくともマイナビパートナーズ様では、一人の社員として人材として、「配慮はするけど、遠慮はしない」という素敵な関係性があるのだと思います。
是非、この記事をきっかけにマイナビパートナーズという会社の良さを知ってもらえると嬉しいです。
今回は貴重なお話をお聞かせいただきまして、誠にありがとうございます。
地平線:藤本様からは具体的な数値や事例をもとに障がい者雇用の現状、そして理想と現実について興味深く、参考になるお話をいただくことが出来たと思っています。
A様からは、障がい者雇用で働く立場として、参考になるお話やアドバイスをいただけたと思います。
このインタビューは障がいを抱える読者の方だけでなく、障がい者雇用を考えている企業の方にとっても、実りあるインタビューになっているのではないかと考えています。
hibiki:今日は、「目から鱗が落ちる」インタビューでした。キャッチコピーが、あまりに凄すぎて。そして、障がいのある社員の方々を特別扱いせずに、能力などをきちんと分析しておられる企業様だと思いました。自分も、こんな会社に入社したいです。
企業様のインタビューに参加させていただいたお三方に感謝します。ありがとうございました。
島川:お話を伺って、どうしてこんなに手厚く定着に向けたサポート体制を敷いているのかが気になって、追加で質問をさせていただきましたが、障がい者雇用業界全体のことも考えて実績を自ら作っていこうという藤本様の大きな志を感じられ、大変感激いたしました。
どうしても営利企業の場合、まずは目の前の利益を優先するあまり、長期的な視野で障がい者雇用を戦力として見る前にどうコストをかけずに義務を果たすか、というところに目が行きがちです。
確かにそれで雇ってもらえる方もいますが、藤本様のおっしゃっていたように、それではその先で障がい者雇用のイメージそのものがダウンしたり、我々支援機関の育成力はいつまでも育たないままになってしまうと思います。
A様がマイナビパートナーズ様に入社されて、自身の特性と向き合いつつ、自身の強みを生かして企業に貢献できたように、環境さえ整えば力を発揮する方は多くいらっしゃいます。
この記事を通じて、こうした事例を世間に広く知っていただきたいと強く感じた次第です。
この度は、インタビューにご協力いただき、大変ありがとうございました!
補足情報
今回取材を受けてくださったAさんは、「発達障がい学生のための就活準備講座」
https://jobseminar.
株式会社マイナビパートナーズ
マイナビグループの障がい者雇用促進を目的とした特例子会社です。事業内容は、マイナビグループの事務業務代行、社員向けヘルスケアルームの運営のほか、障がいのある方に向けた人材紹介業、法人向けコンサルティング(障がい者雇用促進のための企画提案)事業、そして障害者手帳を保有する若手人材の育成事業を行っています。今後も障がいのある人材が能力を発揮できる機会を一つでも多く創出していきます。
前編はこちらです。
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