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日本で初の、ひきこもり当事者、経験者が主体の企業『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』。
「誰もが安心して働ける場を作りたい」という想いの元、設立されました。
今回は、その事業の一つであるプログラミング講座の講師であり、もともとはその講座の受講生からスタートし、今では正社員として働く岡田様にお話を伺うことができました。
この記事では、岡田様の13年のひきこもり生活から、相談支援を経て『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』に出会うまでの経緯と、現在のお仕事などをご紹介します。
前編は『株式会社めっちゃ細かいんで』の会社概要やひきこもりをしている方の強みなど、ひきこもりから一歩踏み出すためのきっかけになる情報をお伝えします。
後編は岡田様の経験を元に、正社員になるまでの過程や、親御さんとの関係、在宅ワークの未来までお聞きしました。
インタビュアーはどんはれ、島川、ゆた、mako、翼祈が担当しました。
今、ひきこもっていて身動きが取れなくなっている方、そのご家族に有益な情報をお届けできると確信しております。
ぜひ、最後までご覧になってください。
めっちゃコマ様、創業のきっかけ

どんはれ:めちゃコマ様の創業のきっかけっていうのはどんな感じだったんでしょうか。
弊社代表の佐藤のいとこに、ひきこもり当事者の兄弟がいたことが大きいです。
その兄弟のことを、代表の佐藤は子供の頃から知ってて、悪い人間じゃないなって思ってはいたけども、ずっと仕事ができないっていう状態だったそうです。
彼らが、どんな仕事ができるかなと佐藤が考えた時に、その二人はパソコンが得意だったそうで、「IT+在宅で何かできないか?」という発想に至ったんですね。
めちゃコマの親会社にあたるフロンティアリンクが、コロナのずっと前の2006年の創業時から在宅ワークでやっている会社なんですが、IT+在宅であれば、ひきこもったまま仕事ができるんじゃないかと代表の佐藤が考えて、会社を立ち上げたのが始まりになります。
翼祈:岡田様の今の立ち位置っていうのは、どんな感じなんでしょうか?
立ち位置としては、いち正社員の1人ですけれども、別に特別に役職もらってるわけじゃないですね。
ただ、業務委託の方に、指示出ししたりとか、例えば、講師業務の取りまとめしたりとか、そういったことを自然とやるような形になっています(笑)
翼祈:YouTubeでは、岡田様が取材に行かれていたりされてるみたいですが、どういう流れで取材をしていますか?
基本的にはひきこもりとか、支援に関係してそうなところに取材していますね。ここにいる太田さんがTwitterとかで探して、「YouTubeチャンネルにご出演どうですか」ってお声がけしたり、私がリアルのひきこもり関係のイベントで色んな方とお話するので、「もしよかったら出演どうですか」 とお話したりします。
そういう繋がりがだんだん横に広がって、逆に向こうから「出たいんですけど」ってお声がけいただいたり、そういった形で取材先が増えていっています。
翼祈:大体、月にどのくらい、YouTubeの撮影とかで行かれてたりされるんですか。
直接行くってことは、正直、あんまりないですね。オンラインでお話するっていう形式が1番多いんですけれども、基本的には毎週月曜日に必ず動画アップロードしますので、最低でも月4本ぐらいを目安にやっていますね。
この辺りは取材受ける方の都合によっても前後するので、月に10本ぐらい収録とか打ち合わせすることもあれば、それほどない時もあります。
平均して、月4本ぐらいは動画出せるような形で取材はしております。
ひきこもり当事者に向けて
どんはれ:ひきこもりの方はどんな経緯でこちらの会社を知ることが多いのでしょうか?
一番多いのはやっぱりインターネット経由で、例えば『ひきこもり 会社』とかで調べて来られる方が1番多いです。他には、 私が各地のひきこもり系の合同相談会のイベントとかにも出たりしてますので、そういったところから入ってくださる方もいます。
あとは、立ち上げ時期に結構色んなメディアとかに取り上げていただいたので、そこで他の支援機関様がうちの会社のことを知っていらして、そういう支援に繋がってる方の紹介でという形で、うちを知られるっていう方もいらっしゃいますね。
どんはれ:ひきこもり当事者の方は、教育プログラムを有償で受けるのでしょうか?

まず弊社は支援団体ではなく、あくまで株式会社ですので、普通に事業としてプログラミング講座の運営をしております。
ですので、ほかのプログラミング講座と同様に、民間企業様と一緒で、お金をいただいて講座を受講していただくっていうことを、仕事としてやっているという感じです。
どんはれ:めちゃコマ様の事業は、国からの助成金を受けているのでしょうか?
これは先程お話したように『株式会社』ですので、助成金等は一切受けておりません。
どんはれ:ホームページ作成や、アプリ開発、動画作成などのお仕事で利益を出しているとのことですが、他にもあるのでしょうか?詳細を伺えるとうれしいです。
メインの事業は先程お話させていただいた、プログラミング講座の運営ですね。
こちらは、利用者様からお金をいただいてやっております。
もう1つのメインがプログラミングで、講座を受けるとできるようになるんですけど、ホームページ制作ですね。
こちらも普通の会社さんと同じように、外注でホームページ制作を請け負って、お金をいただいて、ホームページの作成や管理をやっております。
他には単発のお仕事として、私がひきこもりの元当事者なので、その元当事者として話をしてもらえないか、という講演依頼ですね。
これは会社としても受けておりまして、それぞれスタッフ、社長にご依頼が来ることもございます。
あとはめちゃコマって、親会社のフロンティアリンクが以前やっていた就労移行支援の事業所で、私がプログラミングを教えていた会社なんですけど、そのフロンティアリンク経由でプログラミングの講師のお仕事ですとか、そういったお仕事が少し入ってくるといったような形で、事業を行っております。
島川:サポートをされる時はどんなことに気を付けながら、サポートしていますか?
弊社は支援事業ではないので、個別のサポートみたいなことは別に行っておりません。
ただ、受講生には引きこもりの方は結構いらっしゃるので、講師が対応としてやってるのは、ご家族様の相談に乗るサービスをしています。
あとは、受講生さん一人に対して、一人の講師が付くんですけれども、プログラミングの勉強以外にも、引きこもりとかで困っていることとか、不安なことなどのご相談も受講生さんからは受けています。
ゆた:めちゃコマ様は皆さん在宅ワークですが、会社の雰囲気は、どんな感じですか?
基本的には在宅ワークなので、直接会う機会っていうのは、まずないです。
今皆さんがこうして集まってるような、オンラインでのミーティングを月に1回行っているんですけども、そこでみんなそれぞれに業務の報告をしたりとかしていますね。
なので、雰囲気って言われるとなんとも言えないんですけれども、オンラインでの会議やミーティングと同じような感じでやっているとイメージしていただけると分かりやすいかなとは思います。
島川:普段は、在宅ワークで皆さん繋がってらっしゃると思うんですけど、オフ会や皆さんでどこかに行かれたり、忘年会とかされたりするんですか?
オンラインの忘年会みたいなのはたまにありますけども、住んでるところがみんなバラバラで、東北から九州まで全国にいます。
基本私以外は、オフラインイベントとかも出てないので、直接会う機会はまずないです。
翼祈:社員さんは何人くらいいらっしゃるんでしょうか。
今は正社員が4人ぐらいですかね。業務委託の方も4人ぐらいいます。
ゆた:めちゃコマ様の全員がひきこもり当事者・経験者だからこそ発揮できる、他のIT企業にない強みは、どんなことがありますか?
みんなひきこもりの当事者・経験者なので、当事者の方の共感を得やすい、当事者の気持ちが分かる部分っていうのはあると思います。
普通のプログラミングの講座を受けるよりは、我々がやった方が話しやすかったり、相談しやすかったりなど、そういったところは他にはない特徴になってくるのかなとは思います。
ゆた:めちゃコマ様は、IT×ひきこもり×在宅ワークが特徴ですが、ひきこもりの方にとって、めちゃコマ様の在宅ワークの環境というのは、働きやすいと思いますか?
これは私の感覚になりますが、通勤などがないので、そういった点では働きやすいです。
ただ、「在宅ワークってどうなの?」っていう話も私は良くするんですけども、色んな方を見ていて、「 在宅ワークは、働くのが初めての方には向いてないのかな?」と、私は思っています。
今、太田さんというスタッフが入っていますけれども、彼も顔出しは無しです。
なので、どんな雰囲気で仕事をしてるのかってのが、上司や相手からは見えないんですよ。
だから「この人、手が止まってるな」「困ってるな」ということがキャッチできないです。なので、自分から困ってることがあったら言ったり、相談したりしなくちゃいけない。
この自分発信が苦手な方って、結構多いんですけれども、これができないとリモートワークってほぼ成り立たないんです。
もちろん、何でもかんでも発信すればいいって話ではなくて、仕事上でどういうことを報告すればいいのかとか、ある程度分かってないと難しいところがあります。
雑談的なコミュニケーションはいらないんですけれども、仕事の報告・連絡・相談はしっかりしなきゃいけないので、そこをちゃんと分かっている方じゃないと、リモートで仕事をするっていうのは、難しいのかなと思っております。
ゆた:めちゃコマ様は、向いている仕事、向いていない仕事を見極め、武器や強みを増やし、自尊心や自己肯定感を高めることを意識されているそうですが、岡田さんは働く中で、どのようにそれらを見極めたり、増やしたり、高めたりされましたか?
私の場合、12、3年ひきこもってたんですけれども、その時の1番のネックが『履歴書に書くことがない』というところだったんです。
それが私にとって、就職を戸惑わせる1番の理由でした。
でも、幸いめちゃコマっていう会社に入社させてもらえたので、「入ったんだからこのチャンスを活かさないと!」という気持ちは、入社前からずっとありました。
めちゃコマって、良くも悪くも結構ゆるい会社なので、新しく何かを始める時って、「こんなことやるけど、誰かやらないか?」みたいなスタートで始まるんです。
私は、「ここで履歴書に書けることを作ろう」っていう意識を持ってたので、ちょっと苦手なことだったり、今までだったらチャレンジしなかったことでも、「チャンスなんだからやろう」と思って、結構、色んなことをこの会社でさせてもらっています。
私は6年7年ぐらい働いてますけども、そうやって色んなことにチャレンジするようになり、自分自身もやれることが増えましたが、私自身が元々そういう風になりたかった、意識を持っていたっていうところがあったと思います。
就職について
mako:めちゃコマ様は、ひきこもり脱却を掲げ、プログラミングマスターなどの講座をされていますが、受講後は、関連会社に就職される方が多いのでしょうか?
これは人それぞれなんですけれども、めちゃコマは株式会社なので、良くも悪くもある程度の黒字がないと、当然人は雇えないんです。
ですので、スタッフの枠が空いてれば、そこからうちの会社に来る方もいますね。
私も元生徒ですけれども、卒業後にめちゃコマで働く方もいらっしゃいますし、そうでない方もいらっしゃいます。
講座の卒業生も本当に人それぞれで、例えばプログラミングの勉強をしたので、当然そういった方面の会社に就職する方もいらっしゃいます。
ほかにも、受講して自信がついたので、とりあえずアルバイトから始めてみる方や、働く勇気はないけど、とりあえずスキルだけ身に付けておこうみたいな方もいらっしゃるので、終わったあとも特に仕事などには就かない方もいらっしゃいます。
大体これが3等分くらいの配分でいらっしゃるかなというところですね。
mako:2017年の創業から8年間の中で、どれくらいのひきこもりの方を就職に結びつけたのでしょうか?
めちゃコマは誰かを就職に導くための会社ではなく、ひきこもりの人でもやる気やスキルがあればうちで働いていいよというだけで、中身は普通の株式会社なんですね。
支援や訓練を目的としたものはプログラミング講座になりますが、この講座はそもそも就職先を斡旋するとかではありません。
受講生さんに関しては、だいたい半分ぐらいの方が何かを始められていて、結果的に自信をつけて就職活動とかができるようになった方は、トータル20人ぐらいだと思います。
mako:ひきこもりの方は、働く上でどんなことで困られていますか?
ます、ご本人様の意識と外から見た「ここを直した方がいいよね」って部分が少し違っていて、ご本人の意識としては、働くスキルがないとか、働く自信がないとか、コミュニケーションが苦手といったところで困っている方が多いです。
私の主観では、働く力を持っている方って、割といるんじゃないかな?と思うのですが、働く覚悟や気持ちができていない方が凄く多いんじゃないかな?と思います。
翼祈:オンラインで引きこもり当事者向けのイベントが開催されていますが、参加した方の感想や、反応、その後の行動の変化については、どのようなものがありますか?

弊社では毎週当事者会を行っていますけれども、ずっと継続して参加してくださる方もいらっしゃいます。ただ、雑談がメインで、本当に息抜きに来てらっしゃるので、就職されると逆に来なくなることもあります。
そのため、その後の行動の変化っていうのは、当事者会では正直感じられないです。

前編はここまでです。
後編は岡田様の経験を元に、正社員になるまでの過程や、親御さんとの関係、在宅ワークの未来までお聞きしました。
ぜひ後編もお楽しみに!
めちゃコマ様HP
https://mechakoma.com/
公式X
https://x.com/mechakoma_fl?s=21

後編の記事はこちらです↓
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