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こんにちは、翼祈(たすき)です。
副鼻腔炎とは、蓄膿症とも言われています。
「鼻水が出る」
「頬やおでこが痛い」
「歯が痛くて歯科へ行ったら歯は悪くないと言われた」
「鼻が詰まる」
などが、副鼻腔炎を発症している前兆となります。
鼻の穴から吸い込まれた空気は“鼻腔:びくう”へと入り、加湿され、咽頭を通って気管へと入っていきます。この鼻腔は、「鼻中隔(びちゅうかく)」と呼ばれる骨によって仕切られていて、右の鼻の穴から入った空気は右側の鼻腔に、左側の鼻の穴から入った空気は左側の鼻腔に入る構造になっています。
鼻腔には「鼻甲介(びこうかい)」と言われている突起があって、加湿に役立ちます。その「鼻甲介」の周りにあるのが「副鼻腔」と呼ばれる空洞です。因みに、副鼻腔は骨の量を減らして頭蓋骨を軽くするために発達したと想定されていますが、その機能はまだよく明らかになっていません。
副鼻腔は、ヒトには左右、どちらの副鼻腔も仕切りによって4つの副鼻腔に分けられていて、それぞれ「篩骨洞(しこつどう)」「前頭洞(ぜんとうどう)」「上顎洞(じょうがくどう)」「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」と、名付けられています。
この4つの空洞に炎症が発生していることを「副鼻腔炎」といい、正確には症状の経過が短期間のものを「急性副鼻腔炎」、2〜3ヵ月以上症状が継続するものを「慢性副鼻腔炎」といいます。
副鼻腔炎(蓄膿症)になると、初めの鼻水はサラサラとしていますが、次第にドロッとした黄色や緑の鼻水に変化したり、鼻づまりが起きます。
慢性化すると顔の頬骨の近くにある上顎洞に膿が溜まる以外にも、だるさや頭痛、匂いを感じなくなるといった多種多様な症状が出現します。
副鼻腔炎(蓄膿症)は早期治療が重要となる病気と言えます。適切な治療を早期に受けないと慢性化し、色んな合併症を発症するリスクが高くなってしまい、注意が必要な病気です。
鼻の病気として代表格の病気で、子どもから高齢者まで幅広く発症します。耳鼻科での治療を受けるとほとんどが完治しますが、髄膜炎、海綿静脈洞血栓症(かいめんじょうみゃくどうけっせんしょう)、視神経炎などを合併するリスクもあります。
今回は副鼻腔炎(蓄膿症)の症状、原因、治療法などについて説明します。
▽症状
①鼻水
急性副鼻腔炎の時には黄色や緑色の様な膿の混じった粘り気のある鼻水がよく見受けられ、慢性副鼻腔炎の時には白い粘調な鼻水がほとんどの場合認められます。これらの症状はアレルギー性鼻炎に特徴的な、透明でサラサラした鼻水との鑑別点にもなります。
②後鼻漏(こうびろう)
健康な人でも、鼻水は毎日2~6リットルも作られ、そのうちのおよそ3割が、鼻の穴ではなく、喉に落ちていきます。副鼻腔炎にかかっていると鼻水が前に出るだけではなく、喉の方に流れていき、気管支炎や咽頭炎の原因になることもしばしばあります。 これもアレルギー性鼻炎の鼻水がほとんど前へ流れていくのと対照的な症状だと言えます。
③鼻づまり
副鼻腔や鼻腔の粘膜が腫れたり、鼻茸(鼻ポリープ)になったりすると、空気の通る隙間が狭くなって、鼻づまりが起こります。 また、慢性的な鼻水が鼻腔に溜まったり、中甲介蜂巣(ちゅうびこうかいほうそう)や鼻中隔(びちゅうかく)の弯曲などの骨構造の異常も鼻づまりの原因の1つです。鼻づまりによる呼吸のしづらさもあります。ですが、アレルギー性鼻炎の合併によって下甲介粘膜が腫脹することも鼻づまりの原因の1つです。
④痛み
急性副鼻腔炎によく確認できる症状ですが、頬や両眼の間の痛み、額などの頭痛などが出現することがあります。慢性副鼻腔炎の時にも額を中心とした頭重感などはしばしば確認ができて、風邪を引いた時に額の痛みを反復する様なことがあれば副鼻腔炎の可能性も少なくありません。また、眼の近くの副鼻腔に高度の炎症が起こると視力障害や眼痛を生じるケースもあります。
⑤嗅覚障害
炎症が長引いたり、匂いを感じる嗅裂部の粘膜が腫れたりすると嗅覚障害を発症することがあります。中甲介蜂巣や鼻中隔の弯曲などの鼻腔形態異常も増悪因子となります。治療が遅れると嗅覚障害が改善しづらい事も多くあります。
それ以外のよくある症状として、鼻茸(鼻ポリープ)がある、いびきをかく、顔が痛い・重い・圧迫、鼻の穴が狭くなった様に感じる、身体のだるさや全身倦怠感、たんが絡む、鼻の奥、鼻水から嫌な匂いがする、微熱・発熱・悪寒、夜、鼻づまりが起きて、熟睡できないなどの寝苦しさ(睡眠障害)、頭痛や頭がボォーッとする、虫歯ではないのに、歯の痛みや違和感を感じる、鼻声になる、耳の痛みを3~9割の患者さんが感じます。
大量の鼻水は、後鼻漏、口呼吸、鼻すすり、鼻をかむ回数の増加などを招きます。ストレスが溜まる、集中できないといった日々の生活の効率(仕事の生産性)や、生活の質(QOL)を低下させたりすることも明らかになっています。
▽原因
副鼻腔炎が起こる原因では、まず風邪などを引いたことでの細菌やウイルスの感染によって鼻腔に炎症が起こります。副鼻腔は鼻腔と繋がっていることで、副鼻腔にも炎症が達します。この状態が急性副鼻腔炎ですが、急性副鼻腔炎の場合には自然治癒したり、短い間で細菌を叩く抗生物質などの薬物療法で、比較的簡単に完治できます。
ですが、ここで問題となるのは、副鼻腔粘膜の炎症が長引いた場合で、そうなると本来膿を排出する能力を持った粘膜の機能が悪化し、粘膜そのものが腫れ上がって鼻腔との交通路をふさぎ、さらに炎症が治りづらくなるという悪循環に陥ります。この状態が慢性副鼻腔炎、俗に言う蓄膿症の状態です。
酷く悪化している時には腫れた粘膜が鼻腔まで広がって、鼻茸(鼻ポリープ)ができたりします。
・細菌感染
黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌や細菌の作る毒素が病態形成に大きく影響します。
鼻の中にある副鼻腔の換気と排出の通路が粘膜の腫れにより閉じてしまうことが1番の原因と想定されています。
・アレルギー(花粉、ハウスダストなど)
花粉、ハウスダストなどのアレルゲンが鼻腔粘膜に炎症を引き起こし、その炎症が波及して副鼻腔炎にかかることがあります。アレルギー性鼻炎に慢性副鼻腔炎を伴うこともあって、そのことでアレルギー性副鼻腔炎ともいいます。
・真菌(カビ)
真菌(カビ)は空気中に浮遊していて、副鼻腔内に侵入して定着すると副鼻腔炎を生じます。副鼻腔真菌症と言われていますが、副鼻腔の空間の中だけに真菌(カビ)がある場合を非浸潤性真菌症(ひしんじゅくせいしんきんしょう)と呼び、副鼻腔の粘膜の中に真菌(カビ)が侵入した時には浸潤性真菌症(しんじゅくせいしんきんしょう)と呼びます。浸潤性は致死性となるため、注意が必要な原因です。
また、極めて稀ですが真菌(カビ)に対するアレルギーが原因でおこるアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎という病状もあります。
・血中の好酸球
血液中の白血球の一種、好酸球の異常な炎症の行動が原因で発症する副鼻腔炎を、特に2015年に難病指定された好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)といいます。主な症状には、鼻づまり、頭痛、顔の痛み、嗅覚障害、鼻水などがあって、治療をする際に鼻茸(鼻ポリープ)が発見されることもあります。
・鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
左右の鼻の穴を仕切る鼻中隔が曲がっている状態を「鼻中隔弯曲」と呼び、そのことで鼻づまりなどの症状が出現し、生活に支障を出ている状態を「鼻中隔弯曲症」と呼びます。鼻づまりが酷い時には、鼻腔粘膜で炎症が起こりやすい状況です。その炎症が副鼻腔に広がると、副鼻腔炎にかかります。
それ以外でも、花粉やハウスダストによるアレルギーや、喘息などが副鼻腔炎を治りづらくする原因もあったり、中甲介蜂巣や鼻中隔弯曲症などの骨構造の異常も副鼻腔炎の悪化因子となります。
※鼻茸(鼻ポリープ)とは
ヒトの身体はウイルスや細菌といった外敵から身体を守る仕組みを多く担っています。寄生虫が身体に侵入すると、Th2細胞という白血球の一種のリンパ球が炎症を起こして、身体外へと追い出そうします。
これが2型炎症反応と呼ばれますが、上手く調節ができないとアレルギー反応の原因になります。鼻茸(鼻ポリープ)はこの2型炎症反応によって副鼻腔の粘膜がポリープの様に腫脹してできるものだと想定されています。
逆にこの2型炎症反応がない方には鼻茸(鼻ポリープ)ができにくいので、鼻茸(鼻ポリープ)の有無は副鼻腔炎の原因となっている炎症反応を推測して適切な治療を受けるためには、見極める重要な鍵です。
また、鼻茸(鼻ポリープ)の重症度は以下になります。↓
鼻茸内視鏡スコア |
所見 |
0 |
鼻茸なし |
1 |
中鼻甲介下端まで(中鼻道)に限局する鼻茸 |
2 |
中鼻甲介下端を超える鼻茸:下鼻甲介下端には到達せず |
3 |
下鼻甲介下端に達する鼻茸または嗅裂部の鼻茸 |
4 |
鼻腔を閉塞/ほぼ閉塞する鼻茸 |
▽診断基準
副鼻腔炎の確定診断を行うには視診と画像診断が基本の診断基準です。鼻腔内の観察には電子ファイバースコープなどを活用して鼻腔形態、鼻水の流れる部位、鼻茸(鼻ポリープ)の有無などを詳細に観察します。ですが、副鼻腔炎には鼻腔内にほとんど異常所見の見られないケースもあり、ほとんどの場合は画像診断を受けることが必要です。
嗅覚検査という、5種類の嗅素を、薄い匂いから濃い匂いへ順番にそれぞれ匂いが分かるまで嗅いでいく「基準嗅力検査(T&Tオルファクトメトリー)」と、肘の静脈から強い臭いのあるアリナミンを注射し、その臭いを鼻の後ろから感じるかどうかを検査する「静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)」などが実施されます。
画像診断にはCTスキャンや単純レントゲンなどを使いますが、病変の程度、部位、骨構造を正確に診断するにはCTスキャンが最適だと思われます。健康な人では空洞の副鼻腔が黒く写りますが、副鼻腔炎で粘膜が腫れたり膿が溜まっている状態の人では、灰色に写ります。CTスキャンで副鼻腔や固有鼻腔に高度の粘膜肥厚が確認できた時には副鼻腔炎の可能性が非常に高くなります。
▽副鼻腔炎(蓄膿症)の種類
◉急性副鼻腔炎
30日未満で治癒する副鼻腔炎のことだと定義されています。
虫歯やウイルス・細菌の感染が原因として発症します。また妊娠中は、鼻の粘膜がうっ血することで急性副鼻腔炎を発症するケースがあります。
炎症の強さによっては、副鼻腔の入口が閉じて副鼻腔から膿の排出ができなくなり、顔面痛や頭痛、眼痛をきたします。
◉慢性副鼻腔炎
90日以上症状が症状が持続する副鼻腔炎のことだと定義されています。
アレルギー、遺伝、体質など、色んな原因によって発症します。子どもの頃は、免疫力が不十分であったり、アデノイドが大きいことも、慢性副鼻腔炎の発症の起因になりやすいと言われています。
悪化を辿ると、粘膜が腫れて鼻茸(鼻ポリープ)を形成するケースもあります。慢性副鼻腔炎にまで発症してしまうと簡単には治らず、慢性化する前に耳鼻科を受診することが早期に副鼻腔炎を完治させるためにはとても大事な行動です。
▽治療法(保存的治療)
❶点鼻薬(ステロイド点鼻薬)
ステロイド剤には炎症やアレルギー反応を抑止する効果、水分を調節する効果など様々な効果を持つ薬です。
高い効果を持つ薬ですが、様々な副作用が誘発するので、使う時には副作用のことも理解しないといけない薬剤と言えます。点鼻用のステロイド剤はしっかりと鼻に効果がある一方、最近の点鼻薬はほとんど鼻以外の症状には作用せず、身体内に作用する割合はごく僅かで1%以下と言われています。そのことで、身体への副作用をほとんど心配せず使用できる様になりました。
鼻茸(鼻ポリープ)の有無に関係なく、全ての副鼻腔炎を対象に十分な効果が持ちます。
❷抗生物質(抗菌薬:細菌を抑止するお薬)
副鼻腔炎の初期や膿性の鼻水が酷い状態になった時には、殺菌作用を持つ抗生物質を内服します。
海外では副鼻腔炎の状態別に抗生物質の種類が細分化し示されているものもありますが、主要なガイドラインを作成するアメリカやヨーロッパの国々とは副鼻腔炎の原因となる細菌が違いますので、年齢や細菌検査、副鼻腔炎の状態の結果によって、症状に最も適していると思われる抗生物質が処方されます。
❸抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンとは、身体の炎症反応やアレルギーを起こし続けるための信号となる、ホルモンの様な機能をあるもの(エイコサノイド、脂質)です。気管支喘息の原因でもあります。抗ロイコトリエン薬は、身体の中でロイコトリエンからの信号を受け取っている場所に先回りして、ロイコトリエンの信号を身体が受け取らない様に促すことで、ロイコトリエンが炎症反応やアレルギーを起こし続けない様にする機能を持ち、炎症を抑え込む効果を示します。
抗ロイコトリエン薬は、鼻茸(鼻ポリープ)を伴う副鼻腔炎に推奨されています。
❹マクロライド系抗生物質
抗生物質にはセフェム系、ペニシリン系といった、色んな種類があります。マクロライド系と呼ばれる抗生物質は、細菌を抑止する抗生物質としての機能しますが、それ以外にも炎症を調整したり、水分を調節したり、細菌をやっつける抵抗力を持たせるために細菌が生成する物質を抑止したりするといった他の抗生物質にはない作用を持ち、少しずつ長い間内服する(長期少量持続療法)ことで、肺や副鼻腔の慢性の炎症に効果があることが明らかとなっています。
マクロライド系抗生物質による治療は、鼻茸(鼻ポリープ)のない副鼻腔炎に、特に推奨されています。
❺たん切りのお薬(去痰薬)
副鼻腔には「繊毛(せんもう)機能」と言われる働きで副鼻腔の内部に溜まった鼻水やごみを、出口(自然口)の方向に送り出して排出する働きを持っています。
副鼻腔炎では粘り気の強い鼻水が鼻の奥に溜まることで、この働きが上手く機能しなくなって、結果として膿やその他のごみが副鼻腔の内部に溜まって、粘膜の状態を悪くさせてしまいます。
カルボシステインはたんの粘りを取って身体外への排出を助ける薬で、たんを排出させることで副鼻腔内の粘膜の状態を改善させます。
❻ステロイド剤の内服
ステロイドとは人工的に作られた副腎皮質ホルモンの1つの治療薬です。炎症を抑止したり免疫を調節したりする作用が強く、副鼻腔炎にも効果的な治療薬です。
その反面、血圧や血糖値を上昇させる、水分調節に影響する、睡眠障害にさせる、身体で副腎皮質から作られるホルモンの量を減らす、といった重篤な副作用もあります。とても高い効果を持つ治療薬ですが、長期間続けて内服する場合には、副作用や投与量に注意が必要となる治療薬です。
ステロイド剤の内服による治療は、鼻茸(鼻ポリープ)のある副鼻腔炎に特に推奨されています。
❼デュピルマブ
鼻茸(鼻ポリープ)のある副鼻腔炎は2型炎症反応がメーンとなっていますが、一部に2型炎症反応を抑止するステロイド剤を活用したり、手術をしたりしても治りづらい難治性の好酸球性副鼻腔炎もあって、こんな状態の時に2型炎症反応の原因となるインターロイキン-4や-5、-13によるシグナルを、直接抑抑止する治療薬となります。
日本では、インターロイキン-4と-13の両方を抑止する薬であるデュピルマブが2020年4月から、手術、全身性ステロイド薬等ではコントロールが不十分な場合に限定されますが、使用できる様になりました。
デュピルマブの治療は、初めは2週間ごとに、症状が安定してきた時には4週間ごとに皮下への自己注射によって身体内に投与します。
❽鼻洗浄(生理食塩水による副鼻腔洗浄)
副鼻腔炎では鼻水やごみが副鼻腔の内部に溜まって、粘膜の状態を悪化させます。鼻の内部の粘度の高い鼻水やごみを除去することで、副鼻腔内部の粘膜の状態を改善させます。
どの副鼻腔炎にも効果がある鼻洗浄ですが、特に鼻茸(鼻ポリープ)がない場合に大いに効果があります。
❾ネブライザー
血管収縮剤や抗生物質などの治療薬を鼻に噴射します。
まず、鼻水を取り除き、霧状になった薬を鼻の粘膜に噴射します。
ネブライザーとは、霧状にした薬液を喉や鼻に噴射して、直接患部へと送り届ける医療機器です。微粒子レベルの細かい煙霧となって喉や鼻へと送り出された治療薬は、呼吸と共に鼻の奥や気管支、肺などにまで到達します。こうして治療薬が患部に直接浸透し、作用することで、副鼻腔炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎、肺炎、咽喉頭炎などの症状を効率良く落ち着かせることが可能です。
▽手術による治療法(外科的治療)
保存的治療で改善が確認できない時には、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を実施します。
特に真菌(カビ)を原因で発症する副鼻腔炎に対しては、手術が必要になる事案が近年多くなっています。副鼻腔の形状は患者様によって大きく違うので、手術には高度な経験と技術が要求されます。
内視鏡下副鼻腔手術は、鼻から内視鏡を挿入し、副鼻腔の病的に腫れた粘膜を切除することで、副鼻腔炎の症状を改善させる手術となります。一般的な方法と比較しても、切除範囲を最小限に留めることが可能で、手術した後の痛み・出血も抑えられることができます。
局所麻酔下で行われ、手術時間は片側で30~60分程度で済みます。
また、歯周病や虫歯を起因として発症する急性副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)の治療では、歯科治療と保存的治療の併用で効果が認められない時にも手術が検討されます。
▽予防策
自宅でできる副鼻腔炎の治療では、鼻洗浄が挙げられます。
鼻洗浄は、生理食塩水などを使って鼻の中を洗浄して、溜まった粘液や膿を洗い流す治療です。ドラッグストアや家電量販店などで買える鼻洗浄用の押し出し式のポンプを活用して、鼻の中に生理食塩水を注入して洗浄を実施します。
生理食塩水は、専用の市販の洗浄液を使用すると簡単に作ることができますが、食卓で使う食塩を水道水に溶かして作ることも可能です。その際には、小さじ1杯のしっとりとした食塩(5g)の場合は550mlの、サラサラとした食塩(6g)の場合には650mlのお湯にしっかりと溶かして38℃前後に冷ましてから使用することも可能です。
真菌(カビ)や雑菌が侵入すると、逆に副鼻腔炎を悪化させる原因になる可能性もあることから、食塩や計量器の管理には細心の注意が必要となります。
また、充分な量の生理食塩水で鼻の中を洗うことが大事で、1回100ml以上の生理食塩水で鼻洗浄を行うとかなり効果的と言われています。
最後に、鼻洗浄は病院で処方された治療薬とかけ合わせて使うことが推奨されています。副鼻腔炎は悪化させないことが大切です。
特に症状が酷く悪化したり、10日以上継続したり、急速にこじらせるなど副鼻腔炎の症状を感じたら、早期の病院受診を推奨します。
参考サイト
副鼻腔炎(蓄膿症) 医療法人かくいわ会 岩野耳鼻咽喉科サージセンター
副鼻腔炎(蓄膿症)の症状・原因・治し方 耳鼻咽喉科サージクリニック 老木医院
副鼻腔炎(蓄膿症)の原因・症状・治療法 かわもと耳鼻咽喉科クリニック
もしかすると副鼻腔炎(蓄膿症)かも みみ・はな・のどQ &Aサイト
私と家族の蓄膿症
蓄膿症は、誰しもかかりやすい病気だと思います。
私の家でも、父は分かりませんが、私と母が蓄膿症にかかったことがあります。
母は、20歳頃に風邪を引いた後に、咳等は治まったのにも関わらず鼻水が止まらなかったそうです。あまりに長く続いたことで耳鼻科を受診すると、慢性副鼻腔炎と言われました。
内服と頻回な受診をして、鼻洗浄を続けました。母も家庭用鼻洗浄器を買い、塩水で鼻洗浄を続けました。酷い時には透明な鼻水と濃い黄色の膿みたいな固まった鼻水が止まらなかったといいます。鼻の横の頬の奥が凄く痛かったらしいですが、それは完治しました。ですが、その時の蓄膿症の名残なのか、今もよく鼻水は出て、鼻づまりもあると言っていました。
私のエピソードは3歳の頃保育園に入って間もなく風邪を引き、鼻水がかなり出ました。
元気なのに鼻水だけたくさん出て、ある日の夜、急に耳をし切りに気にしました。
私は、痛くはないと言っていましたが、母は念のため耳鼻科に連れて行きました。
近くの耳鼻科の先生が不在で、隣の市の耳鼻科を紹介されて行くと、中耳炎になっていて、鼓膜切開して膿を出したと言います。
翌日からは近くの耳鼻科に行きなさいと言われて通院しました。中耳炎の原因は蓄膿症でした。半年間通院して、鼻洗浄と内服を続けて、暫く経った後で、蓄膿症は治りました。
私は蓄膿症は治りましたが、母は慢性だったことで、今でもその症状が残っているということですね。
ただこの記事を書いている時、風邪を引いていまして、かかりつけの病院が遠くて、最近知った近くの病院に行ったので、もちろん薬も違いますし、効くか分かりませんが、処方して頂いた薬を飲み切って、完治する、それが私の今のささやかな目標です。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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