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こんにちは、翼祈(たすき)です。
「インクルーシブ防災」とは、障害を抱えている人もそうではない人も、高齢者も、妊婦さんも、幼いお子さんも「誰一人取り残さない」を目指した防災の理念に基づくものです。
2011年の東日本大震災では、多くの高齢者・障害を抱える人の命が失われました。障害を抱える人の亡くなった率は住民全体の死亡率の2倍に達し、避難が出来ずに逃げ遅れた人が多くいたことが推察されました。
SDGsが浸透する背景で「誰も取り残さない」や多様性という言葉があらゆるところで発信される様になった現代では、災害の時でも多様な人を想定する理念が大切になっています。
今回は「インクルーシブ防災」について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
高齢者避難へ対策
災害時の避難にサポートが必要となる高齢者や障害を抱える人たち一人一人への「個別避難計画」を、ケアマネジャーや障害を抱える人の相談支援専門員など福祉の専門職も協賛して文章化しようという活動が自治体で浸透しつつあります。
従来の災害時の対応は、防災の担当職員や専門家が考案することが「基本」でした。
ですが、それだけでは全てをカバー出来ないという認識が背景に存在します。
滋賀県高島市では、病気で寝たきりで自力では動けない男性Bさんの「個別避難計画」作成に、介護事業所「ふじの里ケアプランセンター」で働く主任ケアマネジャーの男性Aさんが協賛しました。主任ケアマネジャーの男性Aさんは男性Bさんのケアプランを作成し、心身の状態に幅広い知識を持っています。
男性Bさんは日常の暮らしでは妻の介助がなくてはならず、部屋の移動も出来ません。家の近くに川があることで浸水のリスクも起こりうります。
主任ケアマネージャーの男性Aさんは、福祉の仕事に30年近く従事するベテランのケアマネジャーでしたが、防災に関しては知らなかったことも多かったです。
一方で、男性Bさんの妻からは「災害が発生したら私たちはどうしたらいいのか」と時々相談を受けていました。台風が接近した時には男性Bさんを病院に避難のために一時入院させた経験もありましたが、「毎回私が男性Bさんに関われるわけではない」と不安も感じていました。「個別避難計画」作成の責任の重圧を感じながら、災害が起きた時にはどんな対応が出来るかを勉強を開始しました。
主任ケアマネジャーの男性Aさんは男性Bさん宅を訪問し、男性Bさんの妻と共に災害が起きた時の備えを確認しました。男性Bさんが避難する時にはたんの吸引器やいつも飲んでいる薬など持ち出しするものが沢山必要となります。この様に沢山荷物を持参しながら自宅から約150m離れた集会所まで避難に至るには、複数の手助けが必要です。
病気で自力では動けない男性Bさんですが体幹が安定し、筋肉もある程度あります。大人2人が男性Bさんの肩を支えて介助を促せば無理なく移動も可能でした。「災害で起こることをしっかりご主人に伝え、具体的にどう避難すべきか話しておいて下さい。避難所までの移動の介助には常時ご主人の同意を貰ってから実行に移すことです」。モデルケース会議で、主任のケアマネージャーの男性Aさんがこう説明すると、モデルケース会議に出席した住民たちからは「必要な時は私たちが助けに乗ります」と返答しました。
男性Bさんの妻は「災害のニュースをテレビで観るたびに不安が募りましたが、希望を感じた」と ホッとした様子でした。
同高島市は2021年から、ケアマネジャーらに「個別避難計画」の作成での協力を求めるモデル事業をスタートさせ、主任のケアマネージャーの男性Aさんで2人目となります。担当者によれば、これから5年間で約200人の「個別避難計画」を作成する予定で、作成に携わったケアマネジャーらには1人の「個別避難計画」の作成に対し7000円の報酬(委託費)が支払われます。
参考:(社説)「阪神」27年 防災と福祉を一体で 朝日新聞デジタル(2022年)
障害者の災害時での不安
「車椅子で避難が出来るとは思わない。もし災害に巻き込まれたら私は諦めるしかありません」。要支援者だと他人から知られたくなく、女性の家の近くの指定避難所はバリアフリー化されていなくて避難出来る環境にはなっていませんー。と、障害を抱える人からそんな声が送られてきました。
国は2011年に発生した東日本大震災で早急の避難が出来ない人が多く犠牲になったことで、2011年5月に各自治体へ法改正で要支援者である高齢者や障害を抱える人が事前に支援者や避難経路を決定しておいて、高齢者や障害を抱える人など要支援者の名簿を作成することを努力義務化しました。
名簿には災害が起きた時のサポートが必要か、要支援者の当事者の同意を貰った上で個人情報をも載せ、自治会や民生委員に共通の認識を持たせます。5年以内の策定を要求しています。ですが、「いくら自治会だとしても、障害を抱えているという極めて個人的な情報を安易に知られてしまうことに抵抗感が拭えない」という人も中にはいます。
藤沢市危機管理課によれば、名簿に掲載を希望している要支援者の当事者の割合は「7割程度」にしか至っていません。
名簿掲載の運用面での大きな課題もあって、「正直厳しい。家族がいない一人暮らしの人を誰がサポート出来るかということは、強制力を持たず実際に災害が起きた時の役割分担までは議論できない」と言います。
障害ごとに分けることや障害の程度など当事者が置かれた状況が多岐に及ぶことや支援者が足りないことで全国的に進行しているとは言えません。同藤沢市危機管理課も「これから庁内で名簿作成を検討する段階で、具体的な案は出ていません」というのが実情となります。
参考:災害時、障害者どう避難? 個別計画やバリアフリー、課題山積 タウンニュース(2022年)
同藤沢市の指定避難所は市内に81カ所あります。その中で54カ所を公立小中学校が占めていますが、その大半がバリアフリーの面で障害を抱える人が避難生活を送ることまでは想定されていません。藤沢市学務保健課によれば、「バリアフリーを取り入れるという理念が誕生する前に建てられた建物が大半です。建物の構造上、バリアフリーを取り入れて改めて作り直すことも困難です」と語ります。
障害を抱える人たちとの災害想定での勉強会
災害時に障害のある人と一緒に避難するにはどう行動すればよいか、多くの人に考えてもらおうと小矢部市の障害者団体が25日防災訓練を開きました。
このうち障害のある人と一緒に避難所まで移動する訓練では、参加した人が「この先に段差があります」などと声をかけながら視覚に障害のある人を誘導していました。
また、参加者の中には、目隠しをした状態でつえで足元を確かめながら歩くことで、障害のある人が避難する際の大変さを実感する人もいました。
この勉強会の企画を持ちかけた「福島市手をつなぐ親の会」の会長の女性によれば、「私も障害を抱える子がいまして、大雨で自宅が水に浸かった時に子ども共に怖い思いをしたことがあります。ハザードマップを事前に確認して、常備薬などの必要なものを予め準備しておき、いつ起こるか分からない災害に備えていて下さい」と説明していました。
悲しかった。
東日本大震災が起こったのは、今から13年前。私は引きこもり、精神状態の悪化、恐らく甲状腺機能低下症も発症していたせいか、あの当時のことはよく覚えていません。
ただ、東日本大震災が起きた時、ずっとテレビのCMが同じ会社のがエンドレスで流れていて、「もの凄い大変なことが起きてしまったんだ」と思うと、そのCMが流れて来る度、たまらなく悲しかったです。
私の身近なところの地震ではまず西方沖地震。当時学生でした。確か朝方家にいた時に起きて、テレビを観て「ビルの窓があんなに割れている」と思いました。
ずっと頭から離れない地震は、熊本地震。2回目の本震の時は家族はお風呂に入っていて、揺れもかなり酷かったです。この地震で悲しかったのが、熊本城。家族が「観に行ったことあるよ」と言いますが、私は余りに小さかったですし、甲状腺機能低下症の影響で小さい頃の記憶は特に皆無です。
実はその当時行っていた病院のデイケアで、私はレクレーションの委員会の委員長を1回だけして、その時に熊本市も候補に上がったのですが、デイケアに来ている人の投票で選ばれず熊本市には行きませんでした。
その年か次の年に熊本地震があって、熊本城も崩れてしまい、私は大人になってから熊本城を観た事がなかったので、「あの時行けていたらな」と思うと悲しかったです。
この記事では「インクルーシブ防災」について書いていきましたが、私は多くの既往歴のため沢山薬を毎日飲んでいるので、大災害が福岡で起きたら、薬が足りず、まず助からないと思います。まだまだ地震や災害を推測出来る仕組みは発展していません。災害弱者である障害者や高齢者、妊婦さん、子ども達にとって災害とはより恐ろしいものですが、インクルーシブという言葉の通り、みんなで手を取り合っていかなくてはな、と思います。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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