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こんにちは、翼祈(たすき)です。
障害平等研修(Disability Equality Training: DET)とは、障害がない人向けに作られている社会システムに気付くことで、自らの行動で社会を変換することを目的とする「発見型学習」のことを指します。障害を抱える人自身がファシリテーター、障害に対しての対話の進行役となって進めていきます。
イギリス発祥のDETは、1995年に日本で施行された障害者差別禁止法を推進するための研修として発展してきました。ジェンダーや人種差別に関連する人権教育と同じ様な目標を持った研修です。日本では、障害平等研修フォーラムがファシリテーターを養成し、ユニバーサルデザインの社会づくりの構築のために、企業や自治体などで展開されています。
今回はDETがどういうものなのか?、具体例を示しながら、紹介していきます。
DETを取り入れた小学校in埼玉県
DETを導入した授業が2023年1月27日、埼玉県戸田市立笹目東小学校で開催されました。4年生の児童約90人がDETに参加し、「障害ってどういうものだろう?」と意見を出し合いました。
DETは世界39ヵ国で導入されていて、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピック大会ではボランティア約8万人の事前研修に採用されました。障害を抱える当事者がファシリテーターとなって、参加者と対話することで、知識よりも先に「気付き」を促します。
この日は、白状や車椅子、補聴器を着けている埼玉県内外の4人が小学校を訪問し、DETを行いました。メーンのファシリテーターには、2歳で聴覚障害者となった戸田市議の男性。体育館で車椅子の人のイラストを子ども達に見せながら「車椅子の人が悪いんだろうか?車椅子で暮らしづらい環境の方が悪いんだろうか?それを考えてみて下さい」と発信すると、子ども達は興味津々にDETに聞き入りました。
「障害を抱える当事者の声を聞く必要性」を諭したのは、車椅子利用者の講師で、埼玉県さいたま市に住む女性。ある日、車を運転して障害者用駐車場に来る前に停めた時に、車椅子が降ろせなかった体験談を話しました。「車椅子を降ろす場所に障害物が置かれていました。実際に障害者用駐車場を使用する人の意見を聞いて建物を建てることがとても大切なことです」と呼びかけました。
短い映像を見て「このシーンは何が問題なのでしょうか?」と考え、気付いたことを発表し合う授業もありました。数人ずつの班に分かれた子ども達は「はい!」と次々と手を挙げました。その中の1つは「筆談で会話しようとした聴覚に障害を抱える人に、受付のスタッフが『話せる人と一緒に来て貰いたい』と言って追い返す」という映像を観た男の子は、「そのまま話を筆談で続けたら良かったのかな」と感想を言いました。
画像引用・参考:障害平等研修フォーラム
DETの研修
DETの冒頭、参加者はまず自分にとって「障害とはどういうものか?」を紙に書き出していきます。紙には「自分ができないこと」「自分の困りごと」などと書かれていました。
それから参加者に1枚のイラストを見せました。イラストの階段の横には店内が見えるショーウインドウがあり、階段の前に車椅子の女性が描かれていました。
このイラストを見ながら参加者は「このイラストの中で障害とは何か?」を各グループで話し合い、イラスト上で“障害”だと思う場所に付箋を貼り付けました。
「まず車椅子だから、足に障害がある」
「階段にスロープが設置していない」
「車椅子の女性の介護者がいない」
「大安売りの文字は海外の人には読めない」
女性の足や、お店入り口の大安売りの文字、店の前にある階段、ショーウインドウなど、付箋を貼る中で、「何でこんなに障害が身の周りに沢山あるんだろう」という声も寄せられました。
参考:「障害は社会にある」国連も行う障害平等研修と分身ロボットが都内で初コラボ FNNプライムオンライン(2022年)
茨城県でDETの講習開催
総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科(つくば市大穂)の修了生で、現在つくば市内の企業に勤める女性が主催する「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」が、つくば駅前のつくばセンタービル(つくば市吾妻)で開催される。
女性は、視覚言語である手話を使って、科学をイメージとして理解しやすくする実験教室など、障害のある学生が科学を学ぶハードルを低くする取り組みを計画している。
「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」を開催した女性は3年前、つくば市に住む大学生・大学院生の交流を目的とする「つくば院生ネットワーク」の会員でした。聴覚に障害を抱えている学生は学会発表をする時には手話通訳を自分で手配しなければならないといった、他の学生ならしなくてもいい苦労をしなければならないいけないことに気付かされました。
その中で、2020年3月、女性は最初から手話通訳や文字通訳付きで、手話通訳の手配が要らない「みんなの学会」を持ちかけました。それから、聴覚や視覚に障害を抱える学生と対話し、「みんなが平等に勉強できる環境を整備したい」と思っていたところ、DETと出会いました。「つくば市の人たちと共に、DETを受講し、これからの活動に繋がったらー」と、2023年1月に「つくばインクルーシブプロジェクト」を設立し、1番初めの企画として、 DETを2023年2月1日に開催しました。
この記事を書いて、
OriHimeがDETだったことに気付きました。確かにOriHimeはパイロットを障害を抱える人が主体となって、接客をする、本当にDETの見本ですね。
私が子どもの頃はこういう授業は無かったですね。あの時は感音性難聴しか分からなかったので、私は割と健常者に近い方で暮らしていましたし、今より障害者に対する強い偏見も多かった時代でしたね。
私、ある記事を書いて凹んだ時に、とあるデザイナーさんに言われたんです。「その人は障害者じゃないから、そういうことが言えた。でも、その人だっていつ障害者になるか分からない。なったら、その人だってその立場が分かる様になる。落ち込む事なんてないんですよ」と。
凄く素敵な言葉でして、時々その言葉を思い出して、記事を書くことに向き合うこともあります。
今でも完全に障害者に対する偏見が無くなったとは言えないかもしれないでしょうね。でも少しずつ互いが歩み寄っている。大人になって生きづらさを抱える私にとっては、大人になってからDETなどが続々出て来て、生きづらさも少しずつ解消できているなと感謝しています。
これからもDETを取り入れる学校や企業が増えて欲しいですね。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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