パーキンソン病の原因物質は「αシヌクレイン」。「脳深部刺激療法」という治療法も。 

パーキンソン病

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

パーキンソン病とは、手足が震え、歩行が困難になる、身体がこわばり動かしづらくなるといった症状が現れる神経の難病です。脳内で身体を動かす指令を送信の役割を担当する神経伝達物質の「ドーパミン」という物質が関係していることが明らかとなっています。

ドーパミンには身体の動きをスムーズにする働きがありますが、脳の神経細胞が破壊され、分泌されるドーパミンが減少することによって発症します。一般的な治療では多くの薬が使用されますが、長年使い続けていると効果が落ちるという課題もあります。

パーキンソン病は70歳以上の100人に1人が発症するとされる、決して珍しくない病気です。血液を全身に巡らせるポンプのような役割もあって「第二の心臓」とも言われるふくらはぎの筋肉が衰える事例が目立ち、立ち上がった時に立ちくらみを起こしやすいです。厚生労働省によりますと日本に患者はおよそ14万人います。

今回はパーキンソン病の原因物質、治療法や対策①②をお知らせします。

パーキンソン病の原因物質、特定

パーキンソン病などの患者の脳に蓄積する異常なたんぱく質を画像で捉える技術を開発したと量子科学技術研究開発機構のグループが発表しました。

研究グループは、パーキンソン病や「レビー小体型」と呼ばれる認知症の患者の脳にたまる、「αシヌクレイン」という異常なたんぱく質に注目し、これに結合して微弱な放射線を出す特殊な薬剤を開発しました。

そして、同じように「αシヌクレイン」がたまる神経の難病で、筋肉が硬くなり、運動障害などが起きる「多系統萎縮症」の患者3人に薬剤を投与して、特殊な装置で撮影すると、脳の中にこのたんぱく質がたまっている様子が撮影できたということです。

引用:パーキンソン病などで脳にたまる異常たんぱく質 可視化に成功 NHK NEWS WEB(2022年)

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パーキンソン病の治療法、「脳深部刺激療法」

パーキンソン病の患者にとって治療の1つの選択肢となるのが、頭蓋骨に開けた穴から直径1mm程度の電極を脳内に埋め込み、電気刺激を与えるDBSこと「脳深部刺激療法」です。パーキンソン病の治療法は確立されておらず、ドーパミンの働きを補給する飲み薬での対症療法がメーンとなります。ですが、5年ほど経過すると効果のある時間が減少し、薬の効果が切れて動けず、反対に身体が勝手に動きます。

こうした場合に検討されるのが、DBSです。胸に入れた電気信号の発生器から電流を持続的に脳の神経回路に流すことで脳を刺激し、異常な信号の伝わり具合を抑制し、パーキンソン病の症状を緩和させる効果もあります。手術は半日程度で終わります。

2000年から公的医療保険の対象になって、パーキンソン病の症状が一定程度以上で難病法による医療費助成があることで、自己負担は数万円以下で収まります。日本では9000人以上がDBSの手術を受けました。

胸に埋め込む発生器の電池は充電式と非充電式の2タイプあります。非充電式のタイプでは、電池の寿命はおよそ5年で、電池交換をするための再手術が必要となります。充電式のタイプは週に1回程度、皮膚の上から充電器を当てて充電を済ませると、およそ10〜20年使用可能です。

胸への発生器の埋め込み手術は身体への負担が大きく、高齢になればなるほど効果も落ち、DBSの手術が適している年代は60代までとなります。認知症やうつ病を発症している人にはDBSは行えません。年齢や薬の量、発症からの年月などを精査し、パーキンソン病が専門の内科医がDBSの手術の必要性を見極めます。DBSに関して専門性を持つ内科医と手術する外科医が必要となり、DBSの手術ができるのは日本では70ヵ所ほどに限定されるのが現状です。

DBSの認知度も低いです。医療機器メーカー「日本メドトロニック」が2022年2〜3月、患者と家族202人への実態調査の結果では、DBSを「理解している」と回答した人は36.5%に留まりました。その反面、パーキンソン病の薬を1日6回以上服用している患者は15.4%を超えました。

参考:パーキンソン病 脳深部刺激療法(DBS)で症状緩和 薬減量の効果 電気で異常な信号抑制 東京新聞(2022年)

パーキンソン病の対策①弾性ストッキング

パーキンソン病を罹患する患者の歩行や立ちくらみの改善に結び付くとされる弾性ストッキングを、福井大学医学部と福井県内の繊維メーカー2社が共同で開発していきました。特許を出願している最中で、取得できれば2022年中の発売を目指したいところです。既成品に比較しても履きやすさに特化しています。

特許を出願中の弾性ストッキングは、ふくらはぎを程よく締め付け、血を溜まりづらくする機能が主にあります。既成品では十分に締め付けができず、逆に締め付けが強すぎて高齢者が着脱することに苦労するケースもありました。

新しい弾性ストッキングは福井大医学部の脳神経内科の准教授の男性が考案し、福井県坂井市春江町江留中にあるアサヒマカムが弾圧ストッキングの生地の開発し、福井県福井市川合鷲塚町にあるe-GATEが弾性ストッキングの縫製を担当し、足掛け3年を要し完成させました。

膝から下をバランス良く締め付けが可能となり、ふくらはぎが細くなった患者にも適したサイズも用意しました。着脱を行いやすい様にふくらはぎにファスナーを取けて、かかとにも穴を事前に開いています。

参考:特殊なストッキングでパーキンソン病の症状改善へ 福井大学と繊維企業が開発、履きやすく均等加圧 福井新聞ON LINE(2022年)

2021年11月中旬に福井市内で開催されたパーキンソン病患者の医療懇談会で試着会が実施されました。パーキンソン病を罹患する70代の男性は「安定感もあって、足がシャキッとします」と歩きやすさを感じました。患者家族の70代女性は「ファスナーが取り付いていて家族も履きやすそう」と述べました。

パーキンソン病の対策②手袋

奈良県立医科大学の研究チームと、奈良に工場のある、神奈川県横浜市にある靴下製造販売の「三笠」が、手指機能に特化した手袋を開発しました。地場産業の技術を活かし、パーキンソン病患者の筋力改善を掲げます。

手袋は手の甲側の面積を限りなく狭くした編み方で、身に着けた人の手指に常時反り返るパワーが加えられる構造をしています。身に着けた状態で毎日を過ごすことで、日常動作で意識なくも機能トレーニングが可能となります。

奈良県立医科大学の研究チームは、パーキンソン病の患者に5日間、今回開発した手袋を身に着けたままで日々の暮らしを送って貰う実証実験を行い、身に着けてない患者と比較をしました。身に着けていない人には筋力の増加は見受けられませんでしたが、手袋を身に着けて過ごした人には握力などの増加の効果がありました。特に物を指で掴む「ピンチ力」の増え方が著しかったといいます。また、手袋を身に着ける時間が長い患者ほど筋力の増加が見受けられました。

装着型のトレーニングの手袋は金属を使用したものが大半で、身に着けた時に違和感を感じます。今回開発された手袋は、日常使いができます。

手袋は、「三笠」の奈良県葛城市にある自社工場で開発されました。和歌山県和歌山市にある島精機製作所の独自技術を活用した「ホールガーメント横編機」となり、縫い目はありません。「三笠」は現在、商品販売化に向け、第三種医療機器製造販売業の特許を申請しています。

改良も加速させ、糸の卸売会社と相談を持ちかけながら通気性などの向上を図りたいとします。開発担当の男性は、「自分が開発した手袋がパーキンソン病で困っている人に役立ったことが証明され感激しました。より沢山の方に使って頂ける様に改良をこれからも重ね、商品販売化に向けて進行していきたい」と説明しました。

奈良県立医科大学のリハビリテーション医学が専門のチームの准教授の男性は「患者の生活の質を高めてくれるものはないかという発想からこの手袋は開発されました」と語ります。

参考:「巨人の星」のギプスをイメージ 手袋はめるだけ、患者の筋力が改善 朝日新聞デジタル(2022年)

パーキンソン病の症状は、

パーキンソン病は、他にも便秘や多汗、頻尿などの自律神経障害、嗅覚の低下や認知機能の低下、睡眠障害、認知症、うつを罹患することもあります。

適切な治療を受けないと、徐々に症状が悪化し、身体のバランスが維持できずに、ふらついたり、転倒しやすくなります。さらに進行すると介助が必要で、発症からおよそ10年で寝たきりになるケースもあります。

この様に現在症状を緩和する対症療法にしか基本的にはありませんが、原因物質が明らかとなり、治験が行われていることは、喜ばしいのではないでしょうか?

難病の記事は幾つか書いて来ましたが、このパーキンソン病も早期の治療法の確立が望まれる1つですね。

参考サイト

神経の難病 パーキンソン病の遺伝子治療とは? NHK 健康ch(2022年)

パーキンソン病の症状や原因とは?早期発見のための検査・治療法 NHK 健康ch(2022年)

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「パーキンソン卓球」鳥栖が熱い! 病名公表の女性が一役 「表情明るくなった」 佐賀新聞(2022年)

難病の妻を描き切る 人生と向き合う希代の鉛筆画家 毎日新聞(2023年)

小平裕子さんの信念「負の側面をプラスに」 アメリカで活躍したソーシャルワーカー パーキンソン病とも戦い 東京新聞(2023年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。