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はじめに
子宮頸がん予防として、すっかり知名度のあがった「HPVワクチン」ですが、実は女性だけでなく、男性への接種が推奨されているのをご存知でしょうか?
世界的には、男性への接種が当たり前となっている国も多くあり、日本でも2020年12月、ようやく厚生労働省がHPV4価ワクチン(ガーダシル)の適応に男性を追加する方針を発表しました。
HPVワクチンとは?
まずは、HPV(ヒトパピローマウイルス)について知りましょう。
HPVは主に性器接触で感染し、ほとんどの人は性交渉体験後まもなくHPVに感染します。
子宮頸がんは、性行為により感染した特定の種類のHPVによって引き起こされます。
子宮頸がん及び頸部前癌所見の70%は16型または18型のHPVを原因とします。
HPVは肛門、外陰部、膣、陰茎の癌と関連があるという証拠もあります。
HPVワクチンとは、子宮頸がんをはじめとするヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の原因となるHPVの感染を予防することです。
HPV感染を予防することで、子宮頸がんやその前がん病変(異形成、子宮頸部上皮内腫瘍)の発生を減らし、最終的に子宮頸がんによって亡くなる人を可能な限り減らすことを主な目的としています。
「男性にも無料接種を」大学生が声をあげる
現在、日本ではHPVワクチンは、平成25年4月から定期接種ワクチン(決められた年齢では無料で接種を受けることができるもの)となっています。12〜16歳の女子であれば、3回の接種はすべて無料です。
しかし男性は、2020年12月に男性へのHPVワクチン接種が承認されましたが、基本は自費での接種となります。接種するには全3回の接種で少なくとも5万円〜6万円の金額がかかってきます。
そんな男性への「HPVワクチンを無料接種に」と声をあげている大学生がいます。
署名活動へのきっかけ
HPVワクチンの「男性への接種」の無料化に向けたウェブ署名活動「HPVワクチン男性にも無料接種を!」の立ち上げ人の一人が、国際基督教大学(ICU)の服部翼さん(20)です。
服部さんは同じ、国際基督教大学(ICU)に所属している川上詩子さんと一緒に、2021年11月からインターネット上の署名サイトChange.orgで署名活動をスタートしました。署名数は、2022年11月1日には、1万人に到達しました。
服部さんが、この活動をはじめるきっかけとなったのが、当時お付き合いをしていた女性からの一言でした。
「HPVワクチンを打ってほしい。」
最初は、HPVワクチンの存在すらしらなかったので、とにかく調べました。
「当時はネガティブな意見も多かったですが、男女が性交渉を行うのであれば、大変重要なワクチンであることがわかりました。」と感じるようになったと服部さんは言います。
しかし、当時と変わらず男性への接種は、自費となり接種するには全3回の接種で少なくとも5万円〜6万円の金額がかかってきます。
こういった金銭面での問題があり、服部さんは当時のお付き合いされていたパートナーと別れを選んだそうです。
海外では当たり前。男性へのHPVワクチン接種
男性がHPVワクチンを接種する必要性をあまり感じられないかもしれませんが、HPVは性行為など性的な接触によって感染が広がっていくタイプのウイルスです。
つまり、男性がHPVワクチンを接種することで、パートナーへの感染を防ぐこと、ひいては社会全体の中でのHPVの感染率を防ぐことが期待されるのです。
実際、イギリスやアメリカ、オーストラリアなどでは国が男性への接種もすすめており、アメリカ(64%)、オーストラリア(88%)の男性がHPVワクチンを接種しています。
など、男性でも発症するほかの病気を予防することができるのです。
さいごに
子宮頸がんの予防の重要性を考えると、女性に優先的に接種するという機会が与えられることは当然だと思います。
しかし、接種を希望する男性がいるのも事実です。男性だけに、大きな金銭的負担をかけることなく、男女平等にこのワクチンを受けられるように無料接種の対象になることを願います。
参考サイト
キャンペーン · HPVワクチン男性にも無料接種を! · Change.org
HPVワクチン「男性にも無料接種を」男子大学生が声を上げる理由
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