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はじめに
親を頼れない子どもたちが、社会へ羽ばたく時に直面する
「安心の格差」と「希望の格差」を乗り越え、
未来へ向かう勇気を持てるような支援をカタチにする
このような使命のもと、活動されている「認定NPO法人ブリッジフォースマイル」佐賀事務局の責任者である井手暁子様にインタビューすることができました。
お話を聴いたのはsalad、どんはれ、piasu、島川です。
18歳で巣立ちを迎える若者たちを支える活動の内容を詳しくお聴きしました。最後までお読みください。
ブリッジフォースマイル様の活動内容について
(salad)ブリッジフォースマイル様の活動内容を公式ホームページで拝見しました。佐賀県での支援内容について教えていただけますでしょうか。
ブリッジフォースマイルは「親を頼れない若者たちへの支援」として、2024年でちょうど20年を迎え、佐賀事務局としては、2018年から佐賀県からの委託を受け活動を開始しています。
これまで、社会的養護下にあった(児童養護施設や里親家庭など)若者たちのアフターケアを支援してきましたが、昨年の令和6年度から『社会的養護自立支援拠点事業』が始まり、これまで同様、社会的養護を受けていた子どもたちに加え、一時保護経験者や、公的機関には繋がらなかったものの、家庭で虐待を受けている若者も、支援対象となりました。
私たちの活動内容はこれまでと大きく変わりませんが、現在主に「3つの支援」を行っています。
1つ目は『交流の場の提供』として、居場所事業を継続して行っています。
居場所名は『「B4S PORT さが」(さがこんね)』で、水曜日と日曜日に開所しています。
日曜日は11時から17時まで、ランチの提供も行っており、水曜日は14時から18時まで開所しています。お茶をしながら、他愛のない話やボードゲームなど、それぞれが好きな事をしながら過ごしています。
これ以外にも『出張居場所』を行っています。これは私たちが施設を訪問し、中高生と1時間ほどゲームなどをして過ごしています。この時間は、退所後のアフターケアの為の関係性作りの為に、大変有効な貴重な時間となっています。
2つ目は、支援計画です。
状況によって、長期的に支援が必要な若者には、一緒に計画書を作成し、必要な支援を行っています。
3つ目は、相談支援です。
生活面全般や就職・進学などに関する相談を行っています。その他にも様々な手続きや病院同行など、その時の状況に合わせて、臨機応変に支援を行うことを意識し若者たちと関わっています。
この他にも、措置中の中高生のとお仕事について学ぶ『キャリア準備講座』、実際に現場に行ってお仕事の体験をする『ジョブプラクティスデイズ』、巣立つ前の準備として、8月からの月に一度、高校三年生を対象に実施する『巣立ちセミナー』、成人式をお祝いする為に、振袖を貸し出し、当日成人式に参加出来る為準備を行う『振袖イベント』などもB4Sのプログラムとして行っています。
これらのプログラムは、B4Sの活動にご賛同頂いている沢山の方々やサポーターの皆様のご協力を経て、毎年実施させて頂いております。
(どんはれ)どんな専門職の方が相談者へのサポートをされているのでしょうか?
相談支援を担当しているスタッフの中には、社会福祉士、精神保健福祉士、キャリアコンサルタントなどがいます。また、児童養護施設で職員として携わってきたスタッフも、若者支援を行っております。

(どんはれ)ボランティアの方はどういった方が参加されているのでしょうか?
ブリッジフォースマイルには、ボランティアとして若者をサポートしてくださる方がいらっしゃいます。
先ほどもお伝えしました様に、ブリッジフォースマイルには、ボランティアとして若者をサポートしてくださる方がいらっしゃいます。
ボランティアの方々には、B4S独自の『基礎4研修』という研修をご受講頂だいてます。
その後様々なプログラムの中で、ご一緒に活動して頂きます。
そのプログラムの中に「⾃⽴ナビゲーション」というのがあり、1人の若者に対して専属のサポートとして関わって頂き、具体的には、月に1回担当の若者に連絡を取り、お茶などをしながら普段の生活の様子を伺い、必要によっては、支援に繋げております。
本当に、様々な場面においてのサポーターの皆さまのお力添えに、感謝しています。
(どんはれ)例えば、家計管理などは、どうやって教えてくださるのでしょうか?
家計管理に関しては、退所前に子どもたちとお話し出来る時には、現在の貯金額や、これから入ってくる奨学金などの入金を、どのように管理していくかを子どもたちと一緒に確認しています。
子どもたちが貯金すべきお金、必要に応じて使用するお金のイメージを明確化しながら、子どもたち自身が把握出来たらと思っています。
(どんはれ)一人の利用者にだいたい何名のサポートがつくのでしょうか?また、サポートの方は、どの程度継続的にサポートしてくれるのでしょうか?
一人の利用者に対して、メインの担当者が1名つきます。
しかし、その担当者が全てを一人で行うのではなく、チーム全体で連携してサポートを行います。
サポート期間については、本当にその若者によって様々です。
問題が解決し、自分で生活できるようになった若者もいれば、その後も継続的に月に数回連絡を取り合い、必要に応じて直接会って支援を行う事もあります。
そのため、「いつまで」という明確な期間を定めるのではなく、その若者の状況に応じた自立に向けたサポートを心がけています。
また、先ほどお話した自立ナビという専属のサポーターが付く制度も、若者ご本人の希望とサポーターの合意があって初めて成立し、そのサポーターも私たちと連携しながら関わる形になります。
そのため、お子さんによっては複数のサポートがつくことになります。
利用する方について
(どんはれ)ブリッジフォースマイルの利用方法について知りたいです。
先ほどもお伝えしました様に、昨年度から「社会的養護自立支援拠点事業」という制度が始まったことを受け、支援の幅をさらに広げていくため、B4Sとして当事者向けの相談・支援情報Webページを新設しました。
Web相談へはいつでもアクセス可能で、遅くとも2日以内には担当者からお返事をさせて頂いています。
その他に、HPにも各事務局の所在地・連絡先が記載されていますので、是非そちらからご連絡頂けたらと思います。

(どんはれ)10〜30代までの方を対象にしておられますが、今は何名の方が利用されているのですか?
現在、佐賀事業所で直接連絡を取り合っているのは、大体60名ほどです。
ただし、この60名全員が、毎日何らかの支援を必要としているわけではありません。
月に1回LINEを通して近況確認をする若者や、問題解決の為にあってお話しをするなど、それぞれの状況に合わせて、関わらせて頂いております。
(どんはれ)進学する際は、教育ローンの相談なども受けられるのでしょうか?
教育ローンについては、ほとんどありません。進学される方は奨学金制度を利用されることが多いため、施設を退所される前にほぼ奨学金の申請手続きを行います。そのため、入学後の手続きが必要になったり、ご本人が行う手続きがきちんと完了したかどうかの確認といったサポートは行っています。

(どんはれ)施設出身者の進学率が43.1パーセントとのことですが、具体的にどのような学部に進学される方が多いのでしょうか?
また、就職される方はどのような職種に就かれることが多いのでしょうか?
進学される学部や就職される職種に関しては、本当に多岐にわたります。
特定の学部に偏るということはなく、文学部、経済学部といった人文社会科学系の学部から、看護学部、社会福祉学部といった専門性の高い学部、また理工学部など理系の学部を選ぶ方もいらっしゃいます。専門学校に進学される方も少なくありません。
就職される職種も非常に幅広く、サービス業、販売業、介護・福祉関係、製造業、事務職など、様々な分野で活躍されています。
特定の職種に偏る傾向は見られず、それぞれの興味や適性、希望に応じて進路を選択されている状況です。
私たちのサポートとしては、本人の希望を尊重し、それぞれの進路実現に向けて必要な情報提供や相談支援を行っています。
(どんはれ)両親がいないこと、頼れないことで、具体的にはどんなことに困るのでしょうか?
金銭面、精神面など具体的に説明してくださるとうれしいです。
そうですね。両親がいない、親に頼れないことで困ることは多岐にわたります。
お金や仕事のちょっとしたつまずき、寂しさ、不安、悩みに直面したときも、一人で抱え込み、孤立してしまうことも少なくありません。
また手続き、ご近所付き合い、生活費のやり繰り、仕事や職場の人間関係など、経済的なサポート、アドバイス、励ましを与える“実家”というセーフティネットがないのです。
また、親に頼れない=実家に帰れないという状況では、日々温かいご飯を頂きながら他愛ものない空間を共にする環境もなく、それらが、社会の中における普段の日常生活に、影響を与えるのではないかと思います。
(後編に続く)
関連情報
ブリッジフォースマイル公式サイト
公式インスタグラム
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