TANOSHIKAのライターPinkが「心療内科」の主治医にインタビューに行ってきました

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皆さんこんにちは。「TANOSHIKA　CREATIVE」でライターをしています。Pinkです。

今回、私の主治医である「久留米セントラルクリニック」院長の、堀川喜朗先生にインタビューをさせて頂きました。

お忙しい中、お時間を頂き、緊張しながら始まったインタビューです。他のライターさんに堀川先生のことを知ってもらいたいという気持ちや、現在「心療内科」を受診することを迷っている人の後押しとなればとの思いから行いました。

ぜひ、ご覧ください。

堀川先生インタビュー

Pink：心療内科医になろうと思ったきっかけを教えて頂けますか？

堀川先生： 自分の親が同じような医者だったと いうことはあると思います。それで、本当は長男ではないのでどの科でもよかったけれど、早い時期から、人の心のありように､ ものすごく興味を持っていましたから。

というのも、小学４年生の頃から「赤面恐怖症」で悩んでいて、他の友達から「 ゆでたこみたい」とかいわれて、人前で顔 が赤くなるっていうことが 物凄く恥ずかしかった。又、中学1年の頃には、すごく気持ちが沈んでしまって将来への不安がとてもありました。あの時は、本当にきつかったけれど誰にも相談できなかったみたいなことが、大きな理由になったと思います。

Pink：日本が「ストレス社会」と言われている今､ その一番の原因とは 何だとお考えですか？

堀川先生： 例えば､ さっき言ったような 、漠然としたものであれ、具体的なものであれ、「将来に対する不安」というものが誰にとっても大きなストレスとなる。そして､ひとことに「ストレス社会」と言っても､ 1970年代の高度成長時代でのストレスと今のストレスというのはかなり中身が違うような気がします｡ 

今の日本では､ 例えば「SNS」特有の拡がり方があるように思います。情報の伝達には便利ですが、一方で匿名性は大きい。元々、口頭で意見を言い合う、議論をするということを、避けがちな国民性だと思います。

日本では、批判を攻撃と捉え口に出すことを控えてきた、抑圧していた状況でたまっていたストレスが「SNS」の炎上を生みだしてしまうエネルギーとなったり、匿名性によって自分の身元を隠して、はじめて安心して話したいことを出してしまったことで、逆に誹謗中傷されてしまう、今の日本のストレスにはものすごく「SNS」 が関係したものが多いのです。

Pink：様々な患者さんがいらっしゃると思いますが､ 先生が患者さんと接している時に気をつけている点などはありますか？

堀川先生：一番は安心感でしょうか。私も、クリニックの雰囲気も配慮しているつもりですがそれでも初めての人などは、お医者さんの前だからこそ緊張することはあると思います。 そんな気持ちも含めてでいいですから、どうぞお話し下さい。医者側も更にリラックスした雰囲気をつくるよう皆努力していると思います。

Pink：これまでお会いした中で印象に残った患者さんは いらっしゃいますか？例えば､ こんなに悪い状態だったのに､ ここまで回復したなどのお話が聞けた ら嬉しいです｡

堀川先生：30年以上も前のことです。これは「心療内科医」と言うよりは「精神科医」としての経験ですが､ いわゆる虐待的なことがあって、思春期の15歳 から20年ぐらいに渡って､ ずっと引き篭もっていて、家族も外出させず、全く人と交流できなかったケースがありました。主治医として関わることになって、少しずつ心を開いてくれて、今では仕事をすることは難しいけれども、買い物したりとか､ 料理をしたりとか､ 1人で生活できるようになっています。

Pink： 1日に何人もの患者さんと向き合うことは､ 精神的にとても疲れると思うのですが､ そのような時はどのように対処されていますか？

堀川先生：私の場合は「これは仕事だからこんなことってやっぱりあり得るよね」と思うようにしています。患者さんと1日に何人も会うということで生じる 疲れは「仕事だから当然のこと」と、自分を納得させることができます。

どんな場合でもその状況が理不尽だと思ったら､ すごくストレスになりダメージをいっぱい感じることになります｡ちょっと後ろ向きの言葉に聞こえるかもしれないけれど､ 「仕方がない」と思えることは、とても大事なことなのです。

即ち、同じ状況でも､ その人にとって悪いダメージを与えるストレスになるかならないかは､ こういう受け止め方次第で決まります｡ 

それと、ストレスで､自律神経のバランスが崩れて色んな心身の症状が出て来るので、それを修正する為に、例えば、毎日ルーティンとしてウォーキングをしたり、ゆっくりお風呂に入り､ リラックスできる時間を設けるとか、そのような感じです。血流をよくすることは全て自律神経が整うことにつながります。

Pink： 先生自身も犬や猫を飼わ れているとお聞きしたのですが､ 動物が人に与えてくれる癒しは､ 患者さんに良い影響を与えていると思われますか？

堀川先生：良い影響のことを癒しというので、それはもちろんだと思います。ですがペットを自分の所有物と思ってる限りは､本当の良さを味わえてないことになるかもしれません｡ 

身近に、わんちゃんや猫ちゃんが多いと思うけれど､ 色んなペットを飼ってる人がいると思います。ペットは、 もう「ただ今を生きる」だけなんです｡ただ今を生きる。「将来､ こんなことがあるからどうしよう」とか､ そういうことを 考えてるわけじゃないんです。

それは､ 人間には絶対できないことで、癒されると同時に私たちに教えてくれることですよね。その姿っていうのがやっぱり凄い｡ 胸に響くと同時に本当に「ありがとう」と言いたくなります。

Pink：心療内科を受診することにためらいを持っている人もいると思うのですが､ もしよければ､ その方たちに向けてメッセージをお願いでき ますか？

堀川先生：ためらう理由の1つには、「心療内科」に通ったら､ そういう自分が周りにどう思われるだろうかっていうようなことはあると思います。

でも､ そういうことを気にする人程ストレスを感じ易く、ケアが必要なのでそこにはとてもジレンマがあると思います。その背景には､やはりまだ 偏見があるように感じています。日本独自の文化的背景があるにしても、どういうことをする所か知ってもらうことが大事だと思います。

それでいうと、今の自分がストレスと思ってる状況に対する向き合い方とか､そういうことをご提案することができるのが「心療内科」だと思っていて、自律神経に対してバランスを崩すというプロセスを経て､気持ちだけではなく身体の病気にも全て悪い影響を与えます。

それらを､ 修正していこうとするのが「心療内科」なのです。いろんな人からどう思われるかみたいなこともあるかもしれないけれど､ そういう方だからこそ、さっき言ったように 余計にストレスは多かったりすると思うので。 

それから､ 偏見というのは､ 周りにあるのではなく、実は自分の中にあるということを、どうか心にとどめて下さいね｡

そして周りの人の理解といった点では、だいぶ前から会社では「ストレスチェック」というのがだいたい年に1回あっていて、物凄くストレスが大きいということが分かったら「心療内科」への受診を勧めたりすることも含めて、会社の産業医が関りを持ってくれます。

今のストレスの多い社会に暮らす私たち皆が、やはり周囲の「心療内科」を受診することに対する理解というのは当然大事ですよね。

インタビューは以上になります。

最後に、堀川先生が以前飼われていた愛犬、雌のダルメシアン「とーま」に捧げられた「詩」を紹介したいと思います。

「とーま」は、生まれつき耳が聞こえませんでした。堀川先生の家にきて、半年後にそれを知ったとき、たまらなく愛おしく思ったそうです。奥様の献身的な介護のおかげもあって、13年の命を全うしました。

『風のとーま』

そのものはなにももたず
　そこにはすべてがありました。

そのものは何も欲せず
　すべてを与えてくれました。

そうして往きました。
　静かに往きました。

　　　　ありがとう。ありがとう。         

     堀川先生と愛犬のとーま

君は傷を
　誰も気づかぬほどの小さな傷を
　　優しくなめてくれました。
誰にも見えない深い傷を
　そっとなめてくれました。

　　　　ありがとう。ありがとう。

君はそこで
　元気だったあの頃のように

目を細め、耳としっぽをなびかせ
　思い切り駆けて下さい。

君はそこで
　風になって下さい。

その風に吹かれて、君を想います。

　　ありがとう。ありがとう。
　　　　　　そして、さようなら。

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