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今まで、「マイナ保険証」の使いづらさや普及率、反対意見などについて書いて来ました。
国民はおろか、医師会や自治体からも反対意見が出ている状態です。
これを受け、官房長官は
・紙の保険証廃止については、国民はおろか医療機関からも反対意見が多く出ており、廃止時期を
一旦見直すべきかも
と言っているのに対して、河野デジタル担当大臣は
・廃止時期の変更は有りません、12月2日で『マイナ保険証』に切り替えます
と、政府内で意見の統一できていない状態になっているのに、今度は
・年末調整を廃止して、マイナンバーカードを使って国民全員確定申告を行って下さい
などと言いはじめました。
今回は、「デジタル化を強制する意味」について書いてみます。
年末調整はいつから始まった
昭和の初め、日本は戦争が続きますので軍需品を購入する戦費を賄う為に、所得税を前取りする方法が取られます。
これが、会社が社員の給与から直接税金を徴収する「源泉徴収制度」です。
でも、扶養家族の為の所得控除に関しては、本人が直接税務署に申請書を提出して精算する方法になっており「年末調整」はまだ存在していませんでした。
しかし、第二次世界大戦が終わって2年後の1947年(昭和22年)。
税務署職員の人手不足を理由に
・会社が、給与所得者の源泉徴収だけでなく、年末に所得控除を計算して税金の精算手続きまで
を行う
と言う事が決定されまして、これが「年末調整」の始まりです。
さらに詳しく知りたい方は参考資料をご覧ください。
参考:(税理士法人 杉山会計事務所)年末調整はいつから始まった?
河野大臣の発言を擁護している感じの有名人
「紙の保険証廃止」に続いて「全国民確定申告」と言う事に、ネットはおろか街中のインタビューでも河野大臣の発言に「止めて」とか「面倒くさい」・「そもマイナンバーカードを持って無い」など反対意見が大勢を占めるなか、河野大臣の発言を擁護している感じの有名人がいます。
それは、実業家の「ホリエモン」こと、堀江貴文氏です。
YouTube画像の中で堀江氏は、マイナンバーカードについての話が多く、普及させるにはポイント制を導入して「使ったらポイントが付く」みたいにすれば良いのじゃないか?みたいな事を言っています。
画像内のコメント欄を見ると、アンチ堀江氏の方の発言が多いですが、中には「オンライン確定申告は楽ですよ」と書いている人もいます。
また、税務署勤務の方のコメントも有りますのでコメント欄を見た方が面白そうです。
オンライン確定申告「e-tax」、個人どころか企業も使いづらさを訴えています
インターネットを使ってオンラインで確定申告が出来る「e-tax」は、平成16年(2004年)2月に名古屋国税局で、先ず「個人用」のみで運用を開始しました。
そして、3月に「法人用」の運用を開始し、6月に全国に拡大しましたが、あまり利用者は増えていません。
画像引用元:(国税庁)e-taxを利用していない理由(アンケート結果)(pdf形式 7ページ)
「e-tax」を利用していない大きな理由が、一番上に2つ書いてあります。
・電子的な提出が困難で、書面提出になる添付書類がある
・電子証明書やICカードリーダライタの取得に費用や手間がかかる
個人の方が利用しない理由は、上の表で見ると「費用や手間がかかる事」が大きな理由です。
それ以外にも、ネットで行う事でセキュリティ面の心配もされています。
法人(会社等)が利用しない理由としては、最終的には紙の書類を提出する必要が有るので「e-tax」を利用する必要性が無いと言う意見が多いです。
参考:(国税庁)e-taxを利用していない理由(アンケート結果)(pdf形式 7ページ)
国税庁も対策はしています
「e-tax」で、電子証明書が必要なのは
・他人になりすまして申請する「なりすましを防ぐ」
・申請した後に情報を改ざんする「内容改ざん防止」
などを防ぐためです。
しかし、上記の様に個人はおろか法人まで「費用がかかる」事や「書類を提出しなければならない」事を利用しない理由に挙げている事から
平成31年(2019年)より
・マイナンバーカード方式
・マイナンバーカードの電子証明が読み取り可能なスマートフォンなら「IDとPWの入力は
省略」出来る。
を先ず実施して
・IDとPW方式
・国税庁HPサーバーから「e-Ttax」にデータを送信する際に、暗号化処理した電子証明書を
自動的に付して改ざんを検知する事で電子証明を省略(予定)
と、色々と考えています。
終わりに
河野デジタル担当大臣は
・支援を必要とする人を正確に把握して、迅速に支援する為のデジタルセーフティネットを作る
と言う事で
現在は
・税務署・市町村役場・年金機構などに、勤務先から提出している所得データを国の窓口機関で
一元管理
しようとしています。
そのために
・移行期間を設けた上で年末調整を廃止して、全国民に確定申告をしていただきます
と言う事なのですが、税務署の幹部職員の中には不快感を示す人もいます。
それは、
・年末調整だけで済んでいた人が一斉に税務署に確定申告しに来れば、かなりの量の事務作業
が増える事が想像できます
・現在の職員数では対応しきれないだろうし、税務調査や徴収業務にも影響が出かねないです
と述べていまして
・データを改ざんする様な悪質納税者への対応も出来なくなり、的確で公平な課税が難しくなる
でしょう
と懸念しています。
しかし
・「年末調整の事務作業が大変だ」と企業側から苦言を呈される事は事実として有ります。
と言っていまして、企業に負担をかけている事は実感しているのでどうしたものか?と考えているところですと言います。
年末調整業務が廃止されれば、企業側は楽になるでしょうが、私たち国民の負担が増える事は事実です。
「e-tax」があるじゃない?
と言われても、全ての国民がパソコンやインターネットに詳しいわけでは有りません。
パソコンを使ってこの様に記事を書いている私でさえ、会社員時代に「e-taxの使い勝手(ユーザーインタフェース「UI」)が悪いよな」と、過去に「e-tax」で確定申告をしようとして断念し結局税務署に行った経験があります。
移行期間がどのくらいあるのか分かりませんが、どうなるでしょうね?
その前に、マイナンバーカードの各種トラブルを先に解決してくださいな。
参考:(朝日新聞)年末調整は廃止すべきなのか 河野氏の「公約」に税務署は、税理士は
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記事を読ませていただきました。マイナ保険証や年末調整まで廃止するということに驚きました。今必要なのは、一度立ち止まって話し合うことをしてもらいたいと願うばかりです。デジタル化してもアナログのほうがいい場合もあるのではと思うのは個人的な意見です。
コメントありがとうございます。
先週、警察庁が運転免許証をマイナンバーカードと合体させると言うニュースも有りました。
「マイナンバーカード 来年3月から運転免許証一体化へ 内容は?」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240912/k10014579351000.html
優良ドライバーは講習会を自宅でオンライン受講できますが、結局は視力検査の為だけに警察署や免許センターに行かなければいけませんから合体させる意味無いです。
更に、今度は銀行口座の新設や携帯電話の買い替えでもマイナンバーカードによる本人確認をしようとしています。
「ほぼ強制? ケータイや預金、NISAまで…マイナンバーカードの“義務化”と政府の狙い」
https://www.sbbit.jp/article/fj/148504
現状でも「マイナ保険証」の使用率は1割ほどですが、その数少ない使用者でも「顔認証ができない」とか「他人の情報が入っている」と言う不具合報告が69.7%の医療機関から上がって来ているそうです。
「マイナ保険証69%で不具合 5月以降、医療機関調査」
https://www.47news.jp/11506883.html
何でもかんでも合体させる前に、先ず最初の「保険証」のトラブルを解決しないと合体させたは良いが「使えない」と言う状態になると思いますね。
確かにそうですね。トラブルがなぜ起きたの詳細を国民に話すべきだし、デメリットも言わないのもあると思います。使い勝手がよければ手続きをして使っているでしょう。これからも記事を楽しみにしています。