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こんにちは、翼祈(たすき)です。
2024年はパリオリンピック・パラリンピックの年ですね。
開催を前に、色んな競技で、代表者争いが過熱しています。
出場も既に内定している人以外にも、他の選手の結果次第で、オリンピック・パラリンピックに出られるか、出られないのかが決まる方も多く、最後まで選手の方はハラハラする時期だと思います。
そんなオリンピックイヤーである年に、東京2020パラリンピック開会式で[片翼の小さな飛行機]でメインキャラクターを務めた和合由依さんがドラマ初出演となる作品が、2024年5月から放送が始まります。
NHK土曜ドラマ『パーセント』が2024年5月11日(土)より、NHK総合で毎週土曜22:00〜、BSP4Kで毎週土曜9:25〜に全4回で放送されます。
本作は「障害を持つ俳優を起用する」という局の方針に戸惑うローカルテレビ局「Pテレ」の若手プロデューサー・未来と、未来と出会いドラマ出演にチャレンジする車椅子の高校生・ハルが、障害や性別で語られる自分の「価値」に悩み、傷付きながらもお互いの存在に力を貰い、前を向く姿を描いた作品となります。
未来役をドラマ初主演の俳優の伊藤万理華さん、ハル役を和合由依さんが演じます。
今回はこのドラマの概要と、実際に俳優志望で芸能事務所に所属している障害者の方を追った記事を紹介したいと思います。
ドラマ概要
本企画は、「テレビ局が『多様性』にしっかりと向き合えているのだろうか」に対する疑問から始まった。本作のために開催されたオーディションは、「障害のある俳優」を排除することなく起用したいという思いから年齢・性別などの枠を設けられずに実施された。制作陣は、オーディションで100名以上の俳優と出会い、魅力あふれる表現者たちを目の当たりにして、「出演者に障害者を起用する%を増やすこと」の意味を改めて考えたという。『パーセント』は、そんな制作陣の気づきや、障害のある方への取材で得たエピソードが反映された実録ドラマとなる。
引用:伊藤万理華、『パーセント』でNHKドラマ初主演 「少しの感情も逃さずに向き合った作品」 Real Sound(2024年)
ここからは俳優になりたい障害者の方が所属する、芸能事務所の記事を紹介します。
障害者専属の「アクセシビューティーマネジメント」の開校
スタジオで聴覚、視覚、肢体などに障害を抱えている女性たちが音楽に乗せて身体を自由に動かしていました。「リズムを楽しんで、感じて」。
講師の熱の入った声に応える様に車椅子の女性は上半身で、聴覚障害を抱えている女性は講師の動きを見ながらパキパキと踊りました。
障害者専門の芸能事務所「アクセシビューティーマネジメント」は2022年1月、モデルや俳優を養成するスクールを東京都内に開校しました。理事長である代表の臼井理絵さんはネイリストだった5年半前、車椅子の女性たちにネイル技術を教えるボランティアの仕事を始めました。「美への追求」に興味を抱き、積極的にネイル技術を受講する女性たち。ですが、車椅子ではネイリストとしての求人案内がなく技術が活かせません。障害を抱えている人たちが「閉ざされた世界の中」にいる現状を知りました。
「障害を抱えていても学び、楽しみ、人生の選択肢を拡大させる居場所を」。仲間と芸能事務所を設立し、この度「アクセシビューティーマネジメント」の開校にこぎつけました。
芸能界の現役第一線で活躍するプロがレッスンの指導をし、手話通訳も所属する俳優やモデルをサポートします。現在はオンライン受講も含め、10人が事務所に在籍しています。
生まれつき脳性まひの痙直(けいちょく)型四肢まひを患う女性は「車椅子でも可能性がまだまだあると感じています。
レッスンを受けて芸能界に入りたいです」と目を輝かせました。
参考:読む写真 Photo 世界を広げる 毎日新聞(2022年)
2021年夏の東京パラリンピックの開会式では、[片翼の小さな飛行機]のメインキャラクター役で出演した車椅子の和合由依さんが、豊かな表現力で多くの観客を魅了しました。
臼井さん達は障害の有無に関係なく、みんなが自分らしく生きることができる社会を目指しているといいます。
パラアスリート以外にも世界に飛び出す障害者
日本でダウン症のモデルとして活躍する菜桜さんが、2024年3月2日、多様性の時代に「ダウン症のモデルもショーで活躍できることを世界に発信したい」と、モデルの仕事で知り合った、SDGsを推し進める国際団体の代表の男性からの推薦で、世界のファッショントレンドをリードするパリ・コレクション(パリコレ)にゲスト出演しました。
地元の成人式で有名なあの “ド派手”な衣装を生み出した、福岡県北九州市にある貸衣装店[みやび]の着物を着て、和と洋のテイストをかけ合わせ、着物の風合いを活かした豪華なドレスでランウェイを歩きました。夢の舞台に立ち、満面の笑みを浮かべました。
菜桜さんは国際的デザイナーのサミーナ・ムガールさんのファッションショーで歩きました。賛美歌[アメージング・グレース]をバックに、多くの観客らの前で堂々と胸を張ってランウェイを歩きました。
生まれつき筋力が弱く、真っ直ぐな姿勢を維持したまま歩くことが困難な菜桜さんですが、「いつか世界の舞台に立ちたい」という想いで、ウォーキングの練習などを積み重ね、SNSで自分を発信してきました。
ショーを終えた後、菜桜さんは、「緊張しました。楽しかったです。
次はアメリカのファッションショーで歩きたいです」と次の夢を語りました。
パリコレで観客を魅了した菜桜さんは、「諦めなければ夢は叶えられる」そんな想いを世界の舞台に立ち、届けました。
この巻末ではいつかお伝えしたかった、菜桜さんがパリコレに出演した話をまずは述べさせて頂きました。
パラアスリートは国際大会などで海外に出航する場合も多いですし、障害者アーティストのアート作品が海外へ、という話はよく聞きますが、日本は障害を抱えている俳優さんやモデルさんが海外の作品やファッションショーで活躍するのは、まだまだ敷居が高いことです。
海外に出るまでに、日本でも経験や実績を積まないと難しいかと思いますし、少しずつ増えてはいるものの、まだ健常者の方が障害者の役を演じる作品が多い中で、障害者本人で出演というのは、数々のハードルを乗り越えないといけません。
その点海外の作品は昔から障害者当事者が主演の作品も多く、日本の狭き門で阻まれるより、拓かれた扉の向こうに羽ばたいて、自由に演じられる部分は、日本も早くそうなるべきだなと思います。
とはいえ、少しずつでも日本でも障害を抱えている人が、その障害を実際に持っている役で出演できるのは、前進してきた証拠だと思います。
多様性だと打ち出すなら、日本も海外と同じ様に、障害があるからとかできないではなく、一個人として、その人を評価し、障害があっても、どんな世界でも羽ばたいていける、そんな未来を私は待っています。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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