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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ポリオは、(脊髄性)小児まひや急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)とも呼ばれ、主に5歳以下の子どもが感染し、ポリオウイルスによって発症する疾病です。
主に口から入ったポリオウイルスは小腸やのどで増え、便中に排泄されます。再度ヒトの口に入りポリオウイルスの免疫を持っていない人の腸内で増え、ヒトからヒトへ感染します。接触感染や経口感染以外にも、患者のくしゃみや咳などのしぶきに含まれるポリオウイルスによる飛沫感染で移る時もあります。
手足の筋肉や呼吸する筋肉などに作用して麻痺などを引き起こす場合のある病気です。永続的な後遺症を残すことがあって、特に大人では亡くなる確率も高いです。
1988年以降、世界ではポリオの根絶に向けて取り組んで、子どもの自然感染を99%以上減少させることができていますが、まだ世界にはポリオに苦しむ地域があります。
先日ポリオ根絶のために流行している外国へワクチンを送ろうと、日本ではペットボトルのキャップを集めて、ワクチンの提供に努めていることを知りました。
今回は日本でのワクチン提供までの取り組みと、ポリオの基礎知識についてお知らせしたいと思います。
日本が海外へポリオワクチン提供までのペットボトルのキャップの回収とは?
毎年10月24日は「世界ポリオデー」です。
「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)の主催で「ポリオ根絶」を掲げる参加型プロジェクト「RECYCLE TO END POLIO」を、2023年10月6日まで行いました。ペットボトルのキャップを捨てるという日常的な行動を、回収して再利用するというアクションに転換させることで、世界の子ども達へのポリオのワクチン提供に社会貢献できる一大プロジェクトとなっています。
また、小学生にSDGsへの理解を深めて欲しいと、独立行政法人環境再生保全機構、朝日信用金庫などが協力「こどもSDGs教室」が2023年11月18日、開講されました。小学生と親御さんら30組が参加し、企業の活動などから、自分たちでも行動可能な活動について学習しました。
「こどもSDGs教室」の午前の部では、朝日信用金庫SDGs推進室調査役の女性が「朝日信金×SDGs」の活動について説明しました。朝日信用金庫SDGs推進室調査役の女性は朝日信用信金が地域住民からお金を預かって、預かったお金を企業などに貸し出すことで、その企業が新たな商品や技術を開発し、豊かな社会、ライフスタイルの実現を目指している視点では、SDGsで掲げている目標と共通するポイントだと述べました。
それ以外にも、「環境問題に励む」「地域社会の役に立てる」とトータル3つの課題に励んでいることを説明しました。
そのプロジェクトの中でも環境問題に関しては、ペットボトルのキャップを回収する「エコキャップ推進活動」を16年に渡り、行っています。2023年3月時点で、累計1億7413万個のペットボトルのキャップを集めました。焼却処分をしなかったことで、1301トンのCO2を削減したことになるだけではなく、ペットボトルのキャップの売却代金は寄付し、およそ20万人分のポリオワクチンを海外に提供できました。
日本ではポリオワクチンの一斉投与で、1980年以降、自然界から発生する野生型のポリオウイルスによる新規の発症は報告されていませんが、ここ数年、ロンドンやニューヨークなどの先進国でもポリオの再発が報告される様になりました。世界からポリオを根絶しない限り、1年間の発症数は10年以内に20万件を上回ると想定されています。
2023年のG7広島サミットでも「世界ポリオ根絶計画(GPEI)に対する持続的な支援を要求する」という首脳宣言が宣誓されました。
日本ではポリオワクチンがあることで大流行には現在はならないと思いますが、ナイジェリアなどのアフリカ諸国や、アフガニスタンやパキスタンなどの南西アジアなどの海外では、依然としてワクチンではならない野生型のポリオウイルスが流行している地域があります。
一方で、2017年以降に経口生ポリオワクチンでのワクチン由来ポリオウイルスの感染が発生しているのは、ナイジェリア、ソマリア、チャド、赤道ギニア、エチオピア、ケニア、イスラエル、イラク、カメルーン、コンゴ民主共和国、パプアニューギニア、シリア、ニジェールなどであります。
朝日信用金庫SDGs推進室調査役の女性は、「SDGsで掲げる目標の実現には小さなことでも継続することが必要となります。ペットボトルのエコキャップの回収も16年続けてきたことに意義があります」と語りました。
またポリオワクチンの提供先の1つである東南アジアのラオスを先日訪問した朝日信用金庫の室長の男性から現地視察の報告もありました。提供先であるJCVのラオスでは、一過性の多額の寄付もありますが、JCVの様に継続的な支援が必要だと理解し、朝日信用金庫の社会貢献の取り組みの支柱として、ペットボトルのエコキャップ回収の取り組みを継続して活動を支えたいと考えています。
画像引用・参考:ポリオのない世界を、ペットボトルキャップのリサイクルで目指す「RECYCLE TO END POLIO」スタート!キャップアートキャンペーンでも参加可能。 PR TIMES(2023年)
朝日信金金庫が講演する部に参加した東京都足立区に住む小学4年生の男の子は、「ペットボトルのキャップという身近なものがポリオワクチンになるなんてとても意外で驚きました。ペットボトルのキャップを捨てるのはポリオワクチンを捨てるのと同様なことだと気が付きました」と言いました。
ポリオについて
◉症状
ポリオに感染しても90%から95%の人は不顕性感染という症状が出ずに、いつの間にか免疫ができます。ですが、100人中、5人から10人は、風邪みたいな症状が現れ、ポリオに感染してから3日から35日後に、発熱(3日程度)、のどの痛み、嘔吐、倦怠感、下肢痛、頚部・背部硬直、頭痛、吐き気、悪心、便秘などの症状が現れる場合があります。
さらに、腸管に入ったポリオウイルスが脊髄の一部に侵入し、主に手や足にだらんとした麻痺、弛緩性麻痺や運動障害が出現し、その麻痺が12ヵ月以上に及ぶ時は、一生身体に残ってしまうケースや、呼吸困難で亡くなるケースもあります。
ポリオに感染した人は、終生免疫が獲得できます。
◉診断方法
1番重要な診断は、糞便からのポリオウイルスの分離です。麻痺が現われた早い段階で咽頭分泌液や糞便などを採取します。ポリオウイルスが検出された時は、ポリオウイルスの株を鑑別する必要もあります。
血液検査でもポリオだと診断は出来ますが、ポリオワクチンの接種によって免疫を既に獲得している人が多く、補助的手段でしかありません。
◉治療法
ポリオを発症した人の中でおよそ1,000から2,000人に1人の割合で、手や足の麻痺が出現します。発症した人の中で、1〜2%は手や足の麻痺の症状が持続し、無菌性髄膜炎を発症します。また、0.1-2%は手や足の麻痺になりますが、麻痺が残った時も、後遺症が残るのはその中のほんの一部です。亡くなる確率は、小児は2-5%、大人sは15-30%と高く、特に妊婦では重症化する傾向です。
発語障害や嚥下障害、呼吸筋の麻痺が認められる時があります。亡くなるケースの大半が呼吸不全によるものです。
手や足の麻痺の進行を止めたり、麻痺を回復させるための治療が行われていますが、現在、特効薬などがなく、対症療法しか治療できません。手や足の麻痺に対しては、残された機能を最大限に活かすためのリハビリテーションが実施されます。
呼吸障害やたんなどの分泌物による気道の閉塞が出現した時には、人工呼吸器、気管切開などの対症療法が実施されます。
◉予防法(不活化ポリオワクチン)
日本では、明治以来相当な数のポリオウイルスの発生がありました。特に、1960年に、ポリオウイルスに感染した人の数が5000人を超え、今までになく大流行しましたが、経口生ポリオワクチンの導入で、流行は抑えられました。
1960年の大流行の時は、カナダや旧ソ連から経口生ポリオワクチンを緊急輸入をし、1,300万人の子ども達に一斉投与を行いました。経口生ポリオワクチンの一斉投与の効果は絶大で、3年後には感染者の数は100人以下まで減りました。
1980年の1例を最後に、今日まで、野生型のポリオウイルスによる新規の感染者は出ていません。
2000年にはWHO(世界保健機関)が日本を含んだ西太平洋地域のポリオ根絶を宣言しました。
ですが、経口生ポリオワクチンはポリオウイルスを弱毒化して作られている口から飲むワクチンで、ポリオウイルスに感染した時とほぼ同じ様のメカニズムで強い免疫が出現しますが、200万人~300万人に1人の頻度で経口生ポリオワクチンウイルスの神経毒性が復活し、ポリオに似た麻痺や二次感染のリスクがありました。
日本の定期のポリオワクチンの予防接種では、2004年8月までは経口生ポリオワクチンが使われていましたが、2004年9月以降は注射の不活化ポリオワクチンが使われています。
アメリカでは2000年から、日本では2012年から経口生ポリオワクチンから置き換わり、不活化ポリオワクチンは、初回接種3回、追加接種1回と、トータル4回のワクチン接種が必要となります。
不活化ポリオワクチンを定期予防接種できる年齢・間隔・回数は、以下の通りです。↓
・初回接種(3回):標準推移では生まれて2ヵ月から12ヵ月までに3回 (最低20日以上間隔を空ける、標準推移では20日から56日までの間隔を空ける)
・追加接種(1回):初回接種を受けてから12ヵ月から18ヵ月経った人(最低6ヵ月経った後)に1回
その上で、この不活化ワクチンを接種できる期間を過ぎた時でも、生まれてから90ヵ月(7歳半)に至るまでの間だと、不活化ワクチンの予防接種が可能です。
過去に不活化ポリオワクチンを受けることができなかった人でも、生まれてから90ヵ月(7歳半)までの対象年齢内だと、不活化ポリオワクチンの予防接種を受けられますので、不活化ポリオワクチンを接種することを推奨します。
ポリオが出現している国々に4週間以上の長期滞在を予定している人は、今までに不活化ポリオワクチンの予防接種を受けていても、渡航する前に追加接種で不活化ポリオワクチンの予防接種を受けることをWHOが推奨しています。
特に、1975年から1977年の3年間に生まれた人は、ポリオへの免疫抗体が他の年代より低いことが明らかで、この世代の方は不活化ポリオワクチンの追加接種を推奨します。
また仮に、その人のお子さんが不活化ポリオワクチンを予防接種する時には、お子さんの腸内で病原性を回復したポリオウイルスが排泄され、その人に経口感染などをする恐れがあることで、その場合にも不活化ポリオワクチン再接種が推奨されます。
さらに、定期の四種混合の予防接種を終えてない人や、今までに1回も不活化ポリオワクチンの予防接種を受けたことがない人は、ポリオが出現している国に長期滞在をしない場合でも、渡航する前に不活化ポリオワクチンの予防接種を受けることを推奨します。
万が一、ポリオウイルスが日本国内に侵入した場合でも、現在では、ほとんどの人がポリオに対する免疫抗体を持っているので、大きな流行に繋がることはないと想定されています。
シンガポール、オーストラリアなど、不活化ポリオワクチンの予防接種の接種率が高い国々では、ポリオが発生している国々からポリオに感染した人が入国した時も、その地域ではポリオが拡がらなかったとの報告をWHOは受けています。
ですが、今後不活化ポリオワクチンの予防接種を受けない人が増え、ポリオに対する免疫抗体を持たない人が増えてきた場合、日本国内に侵入したポリオウイルスは、ポリオへの免疫抗体を持っていない人から、さらにまた持っていない人の間で集団感染をしていって、ポリオが流行してしまう恐れもあるということです。
◉不活化ポリオワクチン予防接種での副反応
比較的多い軽い副反応では、
・発熱:~50%程度
・局所の腫脹:~30%程度
・発疹:~10%程度
極めて稀に見受けられる重大な身体の変化では、
・血小板減少性紫斑病:0.1%未満
・アナフィラキシー:0.1%未満
それ以外の、発症する頻度は不明ですが、不活化ポリオワクチンを接種した後に「脳症」、「けいれん」などを発症したという報告も受けています。
◉不活化ポリオワクチンの予防接種を受けることができない人
①明らかに37.5℃を超える発熱をしている人。
②この不活化ポリオワクチンの成分でアナフィラキシーを引き起こしたことがある人。
③重い急性疾患を抱えている人。
④その他、かかりつけ医に不活化ポリオワクチンの予防接種を受けないほうが良いと言われた人。
◉不活化ポリオワクチンの予防接種を受ける時に、医師とよく相談しなければならない人
①心臓血管系疾患・腎臓疾患・肝臓疾患・血液疾患・発育障害などの基礎疾患を抱えている人。
②これまでにけいれんを引き起こしたことがある人。
③これまでに受けた予防接種でワクチンを接種してから2日以内に全身性発疹・発熱などのアレルギーを疑う症状が出た人。
④これまでに本人や近親者で、検査で免疫状態の異常を指摘されたことがある人。
⑤不活化ポリオワクチンを製造する時に使う、アミノグリコシド系及びポリペプチド系の抗生物質に対してアレルギーへの既往歴のある人。
⑥この不活化ポリオワクチンの成分に対してアレルギーを引き起こす可能性がある人。
◉登園・登校の目安は?
ポリオは感染症法上の扱いは2類感染症に分類され、確定患者、無症状病原体保有者、死亡者を診断した医師は患者さん全てを速やかに保健所に届け出なければなりません。学校保健安全法においてはポリオは第1種に分類され、完全に治癒するまでは出席停止です。
参考サイト
ポリオ(急性灰白髄炎)(Poliomyelitis) 厚生労働省検疫所
実際にはどうだったのか分からないけど、
私が通院している病院の精神科で、何年か一時期ペットボトルのキャップを集めていました。それを知ってから、通院の時に持って行くと、「ありがとうございます」と言われていました。
ですが、暫く経つと、「もう必要ないです」と言われたので、持っていかなくなりました。
あれは一体何だったのか?ポリオは感染症なので、普通は集めるなら内科でしょうし、精神科だったので、今思うと喜ばれていたものが急に困られ、よく分かりません。
この記事を書いていて、そういうことあったなと思いました。
WHOによりますと、2023年10月現在、海外では野生型のポリオウイルスでポリオを発症した人は、1988年以来99%以上減少していて、125以上の流行国で推定35万人の感染した人が発生していましたが、現在ではわずか2ヵ国となっています。
ですが、今戦争が起こっていることで、衛生環境が悪化し感染症で亡くなる人も多く、1人でポリオになる人がいると発生しやすく、まだまだ油断ができないと思います。
日本からはペットボトルの回収での不活化ポリオワクチンの提供でしかポリオにおいては支援ができないかもしれませんが、ポリオを根絶するために、今私たちの協力が求められていますー。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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