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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ヒトは心臓は左、肝臓は右と、左右非対称の内蔵もあります。どうして肺などの様に、左右対称にならなかったのか?
それが明らかになった研究が、2023年7月5日に発表されました。
ヒトの心臓が一般的に身体の左側、肝臓は右側にある様に、哺乳類の身体はどうして左右非対称なのでしょうか?その謎を解明したと、順天堂大学と東京大学の研究チームが2023年7月5日付のアメリカの科学誌[デベロップメンタル・セル](電子版)に発表しました。
心奇形などの病気の原因究明などに役立てる可能性を秘めているとします。
今回はこの研究データの詳細について、発信します。
どうしてヒトは、左右非対称になる?研究データ詳細
画像引用・参考:なぜわれわれの内臓は左右非対称なのか?――体の左右を決める仕組みの解明―― PR TIMES(2023年)
哺乳類は、たった1個の受精卵が分裂を繰り返していって、色んな臓器や細胞が生まれていきます。ですが、形成される臓器が左右非対称になる仕組みは未だ解明できていませんでした。
順天堂大学健康総合科学先端研究機構の廣川信隆特任教授(東京大学名誉教授)、東京大学大学院医学系研究科の田中庸介講師らの研究チームは、マウスの受精卵を使って臓器や細胞ができるまでの経過を観察しました。
受精卵から胎児のカタチになり始めたおよそ1週間後、腹部のくぼみにある繊毛「ノード」が回転し、体液に左向きの道筋を形成していくことを見つけました。この道筋が、受精卵の左側と右側で、異なるたんぱく質の機能を形成していくのではないかと想定し、たんぱく質ができる様子をキャッチが可能な様に、発光させて追跡していきました。
すると、この道筋に乗ったたんぱく質「ポリシスチン」が別に存在したたんぱく質と結合し、「ノード」の左側ではカルシウム濃度が上昇することが判明しました。カルシウム濃度は細胞の機能に色んな変化を促すことから、臓器が左右非対称に形成される素因だと想定されます。
ヒトの臓器の左右非対称は、生命維持に重要な役割を担っています。心奇形の患者さんは酸素を全身に輸送できないことから、手術が必要になるケースがあります。臓器の一部の配置が逆転した「カルタゲナー症候群」の患者さんは、それぞれの各臓器の「ノード」の働きが悪いことで異物を排出しにくく、肺炎などを発症しやすいといいます。
参考:体の左右非対称、謎解明 ヒトの心臓は左、肝臓は右 マウス観察、受精卵の繊毛回転影響 順大など 毎日新聞(2023年)
研究成果。後日談
細胞生物学が専門の順天堂大学健康総合科学先端研究機構の廣川特任教授(東京大学名誉教授)は、「発生生物学において長い間の疑問に解答できたのではないでしょうか?これから先、臓器の構造の左右のバランスや配置が通常と違うことで発症する病気の原因解明の参考にしていきたいです」と説明しました。
今回の研究のデータは「いかにしてヒトの身体の左右が違い、発生するのか」という発生生物学の根源的な課題への1つの解答となり、分子発生生物学の発展に大きく貢献します。たんぱく質「ポリシスチン」の細胞外への新たな特殊移送機構の解明は、これをターゲットとした新しい抗がん剤の開発など、様々な臨床応用も期待が持てそうです。
今回の話は難しい話でした。難しいと感じる位、それ程まだまだ未開発なジャンルだと思います。
ヒトが誕生することこそ神秘で、だからこそ解明するのにも、さらに時間を要します。人類が地球に誕生したことも、まだまだ分からないこともあり、この研究はもっと長い時間がかかり、次の世代が解明していく研究のジャンルなのかも?とさえ、感じました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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