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こんにちは、翼祈(たすき)です。
「好きです」、「あんまり好きじゃないかな」と、好みが分かれる、《コーヒー》。仕事中眠さが残る時に、《コーヒー》に助けられている方も多いのではないでしょうか?
そんな《コーヒー》ですが、今危機的な状況に瀕しているのをご存知ですか?2018年頃から「2050年問題」という、《コーヒー》が飲めなくなる未来が来ると、危惧されています。
世界的に《コーヒー》人気が高まる中で、気候変動などの地球環境の変化の影響でコーヒー豆の栽培に適した土地が2050年頃までに激減するという問題に危機感を抱いています。コーヒー業界では「2050年問題」と呼ばれ、国内外の食品大手やコーヒーチェーンは、《コーヒー》生産の安定した供給の維持を念頭に、害虫や気候変動などに強い品種改良などの対策を進めています。
なぜ将来《コーヒー》は飲めなくなる可能性が高いのか?今回はこの問題について考えていきたいと思います。
《コーヒー》が飲めなくなる未来、「2050年問題」とは?
野生種の《コーヒー》の5分の3に絶滅の恐れがあると警告を出す研究論文が2019年1月16日、公表されました。世界で愛飲されている《コーヒー》の将来が、害虫などの植物の病気、干ばつなどの気候変動、森林伐採の破壊的なかけ合わせによって脅威に晒されているといいます。
毎日20億杯以上飲まれている巨大な《コーヒー》マーケットは、商業的に生産される品種を維持させ、植物病がもたらす脅威の変化に適するために、たった数ヵ所の地域に自生する野生の《コーヒー》種に依存しています。
《コーヒー》の栽培地は、赤道を挟んで北緯25度~南緯25度の「コーヒーベルト」と称される地域に集中して生産されています。温暖で、乾期と雨期がハッキリしている気候が栽培に適応できるためでした。昼夜の寒暖差に幅がある程美味しいコーヒー豆が育つと言われ、農園は標高が高い場所に位置しているケースが多いといいます。
国際コーヒー機関IOCの統計によりますと、2017年度の《コーヒー》の生産量は世界で約900万tで、20年前と比較して1.5倍に増加しました。最大の《コーヒー》の産地はブラジルで、2位はベトナム、3位はコロンビアとなります。
商業的に流通する《コーヒー》は、主に香りと酸味が強い【アラビカ種】と、苦みが強いロブスタ種の2種類で、【アラビカ種】が総《コーヒー》の生産量のおよそ6割を独占します。豊かな風味を持つ反面、病害虫や気候変動が弱点だといいます。
イギリスのキュー王立植物園の研究チームは、絶滅の危険性があると推定される124種の《コーヒー》品種が、地球温暖化が持続し、生態系が破壊される中でどんな状態で存続する可能性があるかを予測を立てるために、現地調査と最新のコンピューターモデリング技術を活用しました。
今日の世界の《コーヒー》生産は、【アラビカ種】とロブスタ種のたった2種のみに依存しています。野生の【アラビカ種】が生育するのは南スーダンとエチオピアの2国だけです。
その結果、世界の《コーヒー》の野生種124種の中で絶滅の危機に瀕しているのは75の《コーヒー》種だと判断されました。その内約は13種は「絶滅寸前」、【アラビカ種】を含んだ40種は「絶滅危機」、22種は「危急」の状況にそれぞれ瀕しています。またおよそ35種は、環境保護対象外の地域で生育していると見られます。
アメリカの科学誌[サイエンス・アドバンシズ]に掲載された論文の主執筆者で、イギリスのキュー王立植物園で《コーヒー》研究の指揮を執るアーロン・デービス氏は、「全体で見ると、《コーヒー》種全体の絶滅の恐れがおよそ60%と非常に高水準で、植物全体に関連する通常の絶滅の恐れの数字を遥かに上回っているという事実も獲得しました」と説明しました。
「《コーヒー》は絶滅の恐れが最も高い植物群に該当します。別の見解を示せば、植物としての《コーヒー》種の多くが発見されておらず、極めて限定的な環境にしか生育していなくて、その品種には個体群の大きさがサッカー場程度しか生育していない《コーヒー》種もあることで、驚くには値しない推移です」と述べました。
デービス氏は、乱伐でそうした限定的な《コーヒー》の生育環境が奪われるだけではなく、気候変動に伴う雨量の増加や気温の上昇でこれまでの様に生育できなくなるリスクがあると危惧しました。
《コーヒー》の生産地が激減する原因には、他にも異常な暑さが続き、乾期と雨期のバランスが保てなくなり、長期に及ぶ干ばつに襲われたりする生産地が急増し、栽培できなくなるとします。その上、栽培に適した環境が変化すると、《コーヒー》栽培に深刻な打撃を与える病害「さび病」も急増という見解もあるといいます。
その上で「人類による森林への進出と伐採の脅威が繰り返されると、一部の《コーヒー》の品種は近い将来10~20年で絶滅する恐れもあります。そして気候変動による影響が積み重なるとリスクが高まります」と語りました。
商品として最も一般的に流通する【アラビカ種】に関して、デービス氏は以前実施した研究で60年以内に絶滅する恐れがあるとの見解を出していました。
《コーヒー》の販売や生産の関係者で構成された、国際研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」は、この【アラビカ種】に関して「現在は生産に適応している土地の半分超が、2050年までに生産に適さない土地に変わる」と警鐘を鳴らしています。例を挙げると最大の《コーヒー》産地のブラジルでは、生産に適応する土地のおよそ60%が損失すると予測されています。
各国政府や生産業者が《コーヒー》の品種の保護に躍進し、コーヒー豆の備蓄を増やしていかなければ、消費者に行き渡る量も減少の意図を辿ります。《コーヒー》の価格が高騰する反面、品質は落ちる事態が大いに想定されます。
イギリスのキュー王立植物園の研究チームは、気温上昇と森林伐採での《コーヒー》の自然生育地の破壊がどの程度のペースで加速したかを示すべく、エチオピアで記録された40年以上前まで遡る気候データを参考にしました。分析した結果、野生の【アラビカ種】全体の3分の1近くが、環境保護区対象外地域で自生していることが分かりました。
デービス氏は《コーヒー》を保護するための対策として、「まず始めに自然の環境で自生している【コーヒー】種の保護を挙げます。続いて既存の保護地域の管理の強化を図る必要もあります。そして、これらの多くの保護区域では今もなお侵入による森林伐採の脅威に脅かされているという事実もあることで、保護区域に指定されているからといって安全だというわけではないのです。その上で新規に保護地域の設置も行わなくてはならないでしょう」とアドバイスしました。
《コーヒー》の野生種と栽培種の2つがより容易く生育する助け舟となれる様に、各国は森林の再生と保全の2つに励む必要があると、イギリスのキュー王立植物園の研究チームは提唱しています。
ですが、デービス氏は、現段階では《コーヒー》は流通不足にはなっていないといいます。「コーヒー党の人たちには、短期目標には見れば心配する値ではありません」とした反面、「長期目標で見れば、この極めて重要な《コーヒー》資源が消えない様にするために今すぐ行動を起こさないと、《コーヒー》農業に輝かしい未来は待っていません」と懸念しました。
イギリスのキュー王立植物園の研究チームの研究者らによりますと、他の植物と比較して《コーヒー》の種子は生きた状態で保管する事が極めて困難で、コストもかさむことから、自然の環境をいかにして保護するかに鍵がかかっています。最近、エチオピアには3ヵ所の《コーヒー》の保護エリアが整備されましたが、最も脅威に陥っている国はタンザニアとマダガスカルで生育する《コーヒー》だと言われています。
参考:コーヒー種の60%が絶滅の危機、行動すべきは「今」 AFP BB News(2019年)
東京都港区にあるレギュラーコーヒー製造・販売大手「KEY COFFEE」の社長の男性は「対策を打たなければならない」と危惧しています。
同「KEY COFFEE」ではインドネシア・スラウェシ島のトラジャ地域の農園から《コーヒー》の生産を行っています。トラジャ地域は標高が高くて土地が肥沃(ひよく)であり、水源も豊富で、コーヒー豆の生産に適応できる地域だとしますが、現地の生産者からは、雨量が増えたといった声も届いていると言います。社長の男性は「気候変動の影響があって、当社の《コーヒー》生産量の伸びが鈍化を辿っています」と説明します。
同「KEY COFFEE」社では2016年、WCRとの協同をスタートさせ、雨量が増えて生産が追いつかなくても生産量を減少させず、病害虫に強い品種を見出すべく、栽培試験を実施しています。社長の男性は「コーヒー豆は種を蒔いてから実がつくまで4年必要という、栽培試験には多大な時間を要します。《コーヒー》の生産量が半減に転じる前に必要な処置を取り、適切な品種が発掘できる様に努めています」と説明し、「消費者の皆さんにコーヒー豆の産地が変わりつつあることに関心を抱いて頂ける様に、発信を行っていきたいです」と意欲を示しました。
私とコーヒー。
私は1日3杯、コーヒーを飲みます。朝はパルスイートと牛乳を足して、昼(仕事がある日は夕方)は市販の、夜は食物繊維を摂るために、パルスイートと牛乳以外にも、おからパウダーときなこも入れます。
昔はブラックが飲めないことで、他の人の家に行くとブラックしか出なくて、飲むのも大変で苦手でした。そんな私が今もブラックは飲めないとはいえ、コーヒーを今よく飲むのが不思議です。
何でも基準にある2050年が、コーヒーも飲めなくなるかも、という現実に驚きました。地球温暖化の影響が、ここまで色んなものに拡がっているとは、言葉をただただ失いました。
危機感を持ち始めた2018年から5年が経ち、コーヒーメーカーが品種改良などに乗り出していますが、そもそも失われている原因である気候変動の対策を世界的に国々が行なっているかと言えば、そうは言えないと思います。国連の世界気象機関(WMO)は2023年5月17日、エルニーニョ現象の発生で、2023年から5年間の世界の気温が記録的に高まる恐れがあると指摘しました。産業革命前と比較した地球の平均気温の上昇幅が、一時的に1.5度を上回る確率を66%と予測をしています。
《コーヒー》という、当たり前にあって生活に溶け込んでいるものが、失われつつある悲しさ。本当に衝撃的な今回の話でした。
参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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