増える「自殺報道」~やるべきではないこと・やるべきこと~

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はじめに

タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが7月12 日に逝去されました。

自殺の可能性があると、報道がされており、子供や若者に非常に人気のある方であり、このニュースが全国の若者や子供に与える影響は計り知れません。

まだ記憶に新しいところですと、東京都内の歌舞伎俳優の自宅で5月18日、俳優本人と両親の3人が倒れているのが発見されました。

その後、歌舞伎俳優は両親の「自殺ほう助」の罪で逮捕されています。

増える自殺報道

続く自殺報道に対して、厚生労働省では「子どもや若者に非常に人気のある著名人の自殺報道は、全国の子どもや若者の自殺リスクを高めることになりかねません。若者や子供など、自殺念慮を抱えている人の自殺を誘発する可能性」がある報道は控えてください。」と注意喚起しています。

「いのち支える自殺対策推進センター」によりますと、2020年7月に男性俳優が、同年9月に女性俳優が自殺したとメディアで報じられると、自殺者数が顕著に増加したそうです。

このような状況が、増えることのないように同センターと厚労省は、3年前から著名人の自殺がメディアで報じられるたびに注意喚起を繰り返しており、今回で18回目となります。

それでも呼びかけに反する内容のメディア報道は続いています。

注意すべき点

WHO「自殺報道ガイドライン」では、以下のように注意喚起を行っています。

《有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること》(WHO ガイドライン P4)

有名人の自殺は十分にニュースにする価値があるとみなされ、それらを報道することは人々のためになると考えられることも多いですが、しかしこうした報道は、自殺リスクの高い人に模倣自殺を誘発させる可能性を特に高めてしまう可能性があり、有名人の自死を美化することで、気付かないうちに社会が自殺関連行動を称賛し、その結果、別の人の自殺関連行動を促進させてしまう可能性を意味しています。

《自殺に用いた手段について明確に表現しないこと》(WHO ガイドライン P6)

自殺リスクのある人が行為を真似する可能性を高めてしまうため、自殺手段の詳細な説明や議論は避けなくてはなりません。

例えば、薬の過剰服用を伝える際には、服用した薬のブランド/薬品名、性質、服用量、飲み合わせや、どのように入手したのかを詳細に伝えることは、人々に害を及ぼす可能性があります。

《センセーショナルな見出しを使わないこと》(WHO ガイドライン P7)

「自殺」という単語は、見出しなどで使わない、また自殺手段や自殺の現場を明確に示すことも避けるべきです。

本文記事の作成者以外のメディア関係者が見出しなどを書く場合、本文作成者は見出しを書いた人と協力して、適切な見出しが付けられているかを確かめることが重要です。

《自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと》(WHO ガイドライン P6)

ある場所が「自殺現場」として有名になってしまうのはよくあることです。

例えば、自殺が発生した橋、高層ビル、崖、列車の駅、踏切などで、例えば、そのような場所をセンセーショナルな言葉を用いて伝えたり、その場所で起きた事件の数を過度に強調したりすることで、自殺現場としてその場所をさらに知らしめることが無いように、メディア関係者は特に注意を払わなくてはなりません。

参考:厚生労働省 メディア関係者各位

やるべきではないこと・やるべきこと

WHOのガイドラインには、メディアがやるべきではないこと、やるべきこととして以下の通りに書かれています。

やるべきではないこと
  • 報道を過度に繰り返さないこと
  • 自殺に用いた手段について明確に表現しないこと
  • 自殺が発生した現場や場所 の詳細を伝えないこと
  • センセーショナルな見出しを使わないこと
  • 写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

 

やるべきこと
  • 有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること
  • 支援策や相談先について、正しい情報を提供すること
  • 日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること
  • 自殺と自殺対策に ついての正しい情報を報道すること

参考:「WHO 自殺報道ガイドライン」(自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識)より

さいごに~ウェルテル効果~

「ウェルテル効果」という言葉を知っていますか?

これは著名人の自殺報道に影響されて、自ら命を絶つ人が増える現象のことです。

18世紀にドイツの文豪ゲーテが「若きウェルテルの悩み」を出版した際、作品の中で自殺した主人公を模倣した若者たちの自殺が相次いだことに由来しています。

引用:こころの悩みSOS:ウェルテル効果とは | 毎日新聞

私も病気の影響などで、「希死念慮」が強く現れることがあります。

そういった場合は、頓服を飲む、他の人と話をする。などの対処方法で乗り切っています。

しかし、やはりメディアで自殺報道などが流れると、心がざわつきます。

そして、思い知るのは残された人たちの思いです。

私も、私の周りの家族や友達を悲しい思いをさせないための行動を、心がけなければいけないと強く思います。

相談機関

いのちSOS

チャイルドライン(電話相談)

生きづらびっと(SNS相談)

あなたのいばしょ(SNS相談)

こころのほっとチャット(SNS相談) – 悩み相談と心の対話の場所 | NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア(SNS相談)

10代20代の女の子専用LINE | LINE Official Account(SNS相談) 

 

参考サイト

「自殺未遂であっても自殺行動に関する報道には注意が必要」有名人の「自殺報道」でやってはいけないこと、やるべきこと | ハフポスト NEWS

メディア関係者の方へ|自殺対策|厚生労働省

メディア関係者各位

こころの悩みSOS:ウェルテル効果とは | 毎日新聞

 

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ABOUTこの記事をかいた人

TANOSHIKAライター。うつ病、AC(アダルトチルドレン)、機能不全家族育ち。現代詩を勉強中です。セクシャルマイノリティ当事者。読みやすい、わかりやすいをモットーに様々な記事を書いていきます。