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こんにちは、翼祈(たすき)です。
介護の現場で、政府がケアマネなどの介護給付費用削減の為に、杖などの福祉用具をレンタルではなく、購入を推奨していることに対し、ケアマネらからは反対の声が上がっています。
介護保険による福祉用具はレンタルが原則です。腰掛け便座など他人が使用した後のリサイクルに心理的抵抗感があるものなどに対しては、購入費を国が給付対象にしています。
今回は介護の現場を巡る情報についてや、福祉事業に参入した企業についてお伝えします。
国が杖など福祉用具をレンタルではなく、購入推奨へ⁉︎
介護保険でレンタルできる杖や手すり、歩行器などの福祉用具に対して、財務省の審議会がユーザーによる「購入」を推奨し、介護現場から反対の声が上がっています。福祉用具のレンタルをしたケースではケアマネらが定期的に自宅を訪問し、高齢者の健康状態や身体の変化に対応し、福祉用具の微調整・交換などをします。
財務省側は、福祉用具の購入に切り替えることでケアマネジメント費用など介護給付費を削減する狙いがあります。ケアマネらからは「購入では自宅に訪問しなくなり、高齢者の状態悪化や変化を見落とすことに繋がりかねない」などと懸念し、自立支援に逆行していると指摘します。
介護保険で福祉用具をレンタルすると、自己負担額はレンタル料の1〜3割です。
杖や手すりは、ユーザーの心身の状態や住環境などに合わせて、多彩なアイテムがレンタル対象となります。
東京都内に住む90代女性は2018年1月、要介護2の判定となり、歩行器とベッド脇に置いておく手すりを借りるケアプランをケアマネが作成しました。歩行器は通院する時用、手すりはベッドからの起き上がりや寝返りなどを安全にするために使用します。
女性の担当ケアマネの男性は毎月自宅を訪問し、女性の心身の状態や福祉用具の使用状況を確認するモニタリングも行います。女性と同居の息子や、週に2回入浴介助に自宅に来る娘によるサポート状況も確認を行います。女性の子ども達は「母の体調の変化など、気軽に相談できて安心しています」と話しています。
その上で、同じ福祉用具を購入した場合、ケアマネの自宅訪問は義務化されず、福祉用具を安全に使えているかのどうかの確認は家族頼みとなってしまいます。
2021年度に三菱総合研究所が実施した実態調査によりますと、3年以上1種類の福祉用具を使用している人の約5割が要介護度を維持、約2割が改善できました。福祉用具が介護給付費抑制に貢献していると想定されるデータです。先述の女性は要介護1にまで改善し、今もずっと福祉用具で心身機能を維持できています。
女性の担当ケアマネの男性からは「国は自宅訪問でのモニタリングの重要性を理解していない」と購入案に警鐘を鳴らします。実際のところ、会話や観察で「入れ歯が合わなくなった」と分かると訪問歯科を手配したり、配食など保険外サービスを提言したりも可能です。家族の介護での離職を防ぐ効果もありました。「購入の推奨でとなると、福祉用具の不具合や破損が起こってもそのまま使い続ける危険性も孕む」と指摘します。
参考:介護福祉用具、来年度から貸与に加え一部で販売制も 給付費削減狙い 朝日新聞デジタル(2023年)
少し古いデータですが、ケアマネが福祉用具をレンタルする時に意識しているところが分かるデータが、↓にあります。
ケアマネが福祉用具をレンタル時に、意識しているデータ
介護・医療の情報をサービスする株式会社エス・エム・エスは、ケアマネ向けコミュニティサイト「ケアマネドットコム」は、「福祉用具のレンタル料のユーザーへの上限設定に対する意識調査」を行い、ケアマネ614名より回答を得ました。
Q1.今まで、担当ユーザーの種類問わず福祉用具のレンタル料が高すぎると感じた経験はありますか?
「ある」と回答したケアマネは3割程度で、7割近くのケアマネが「ない」と答えました。「ある」と回答を寄せたケアマネは東京・大阪・愛知と都市部に多く、人口密度が高い地域ほど高すぎる金額に遭遇する確率が非常に高いと言えます。
Q2.「ある」と回答した方へ、福祉用具のレンタル料が「高すぎる」と感じた根拠とは何ですか?
「他の同じ状態にあるユーザーと比較」との回答が最多となり、ケアマネの半数がそう答えました。2番目に「感覚的にそう思った」との回答が続き、ケアマネ個人の経験値の差が多少なりとも影響している様です。
Q3.福祉用具レンタル料が高すぎると思った時の、ケアマネのあなたが取った行動に当てはまるものは?
「レンタル料が高すぎることをユーザーに説明し、ユーザーの判断に委ねる(30.3%)」、「そことは違うレンタル事業者をユーザーに紹介する(20.7%)」など、9割近くのケアマネがユーザーへのアドバイスを行っていました。
Q4.福祉用具専門相談員がユーザーの自宅を訪問する時、あなたは同行することがありますか?
「毎回必ず同行します」「時々同行します」「必要だと判断した時のみ同行します」のトータルが9割超となり、とても多くのケアマネがユーザーの福祉用具選定の時に自宅に同席していることが明らかとなりました。
Q5.ケアマネのあなたとのやり取りを1番多くしている福祉用具貸与事業所の担当者は、福祉用具の価格や特徴などをユーザーにどの程度説明していますか?
半数以上に達するケアマネが「ユーザーに対応し、ユーザーが納得するまで繰り返し説明」と回答しました。「ひと通り説明した後は、ユーザーの質問に対して回答する程度」も4割を超え、ユーザーの福祉用具への理解度やレベルに照合した対応を行っている様です。
画像引用・参考:ケアマネが福祉用具事業者を選ぶ際に重視するのは「スピード」。「価格の安さ」は7番目 PR TIMES(2017年)
ここからは福祉用具の事業に参入した企業や、メンテナンスセンターについてご紹介します。
福祉事業に参入した企業
地域の過疎高齢化が進んでいき、介護ニーズが高まる世論で、自宅の段差の改修や壁に手すりの取り付け、風呂やトイレなどのバリアフリー化といった工事の依頼が急増し、介護ニーズが今度拡大していくことを見通し、新潟県柏崎市で建築資材販売などを営む企業のイシザカが福祉分野に10年以上前から参入しています。
イシザカでは福祉用具のレンタル事業もスタートさせ、バリアフリー化など促進する、住宅改修事業にも力を注いでいます。
参考:[地域ビズ]高まる介護需要 多様なニーズに対応 新潟日報デジタルプラス(2022年)
宮城県石巻市の石巻祥心会石巻メンテナンスセンター
敷地に入り、目に入ったのが車いすの車輪の数々。福祉施設というより、町工場の雰囲気が漂う。メンテナンスセンターという意味が一目で理解できた。
福祉用具は貸与が原則。障害の種類、程度、体形などさまざまな違いがあるため、それぞれ使う人に合わせたオーダーメード整備が必要となる。
同センター開設までは、その都度仙台に運んでいたが、整備拠点を地元に設け、素早い提供体制を確保。石巻地方で暮らす障害のある人や高齢者が共に働ける就労の場にもなっている。福祉用具専門相談員を配置し、地域・介護保険・障害福祉と連携する。スタッフが「チーム石巻」を名乗るゆえんだ。
引用:しょくば拝見>福祉用具補修・整備 石巻祥心会石巻メンテナンスセンター(石巻市湊) 河北新報ONLINE(2021年)
私の母が、
足が悪くて手術をしました。元々杖をついて歩いていましたが、手術を終えて、今は2本杖を持って歩いたり、階段を登るリハビリをしています。
入院中、しっかり足を固定できる受注生産のサポーターや、弾圧ストッキングなど様々必要となったものが多いです。
この間も、「杖がもう1本必要だと言われたから。病院のカタログには同じタイプの杖が載っていなくて、この杖と同じ形状の杖を1本買って来て欲しい」と言われて、私が休みの日に買いに行き、そのまま持って行きました。
私は家事をしながら仕事もこなしている毎日ですが、母が帰って来たら、家の中でも杖を2本持って歩かないといけず、家の中もバリアフリー化を更にしないといけません。
勿論すぐ前のようには、家事も物を持つこともできません。
私は母から現状を聞き、在宅ワークの延長を今度会社に申請したいと思っています。
母はまた数ヵ月後にはもう片足の手術も控えています。
杖のレンタルの話ですが、私がもう1本買って来る間、リハビリ室で杖を借りて、歩いていたそうです。そういう必要な時に、レンタルができなくなるというのはとても困ります。
私も介護の面での当事者となり分かった話ですが、国には現場の声をもっと聞いて欲しいなと思いました。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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