自尊心に寄り添うには〜高齢者の心理〜

社会福祉士

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自尊心とは?

人が生まれながらに自然に持っている自尊心。これを定義することは大変難しい。

けれども、なんとなく感覚で感じ取れるものであり、人と人の間には必ず存在するものです。

社会福祉士の資格を取得するための実習に、特別養護老人ホーム養護老人ホームに行きました。

今回はその時に体験したことから、自尊心について考えたことを書こうと思います。

車椅子の80代女性

実習先の教員に要介護4くらいと紹介された80代の車椅子の女性。ほぼ寝たきりで、リクライニング車椅子を使用していました。自分の足を触ろうとしていたので、私が「足が痛いんですか?」と聞いたら、シラッとした顔をしてスルーされたので、「そういう気分?」と再び聞いたら、うんと首を縦に振りました。

「えっ、そういうことなの?」と私は拍子抜けしたような気持ちになりました。どんな状況になろうと人は自分の思う通りに体を動かしたいものなのだなと思いました。

生け花をお手伝い

実習先で生け花をすることになり、お手伝いすることに。私がお手伝いすることになったのは、車椅子に乗っている70代の女性。首を頻繁に横に振り、言葉を発することができません。私は彼女から意思を読み取ろうと目をじっと見つめました。けれども、何もわからず、途方に暮れて周囲を見渡しました。そしたら、彼女の手が花を掴み、剣山ににゅーと伸びます。

「えっ、もしかして人見知りしている?!」

どうやら私にじっと見つめられたことが苦手だったらしく、ある程度距離を取りながら、生け花のお手伝いをしました。そうしたらスムーズに行うことができました。

確かに誰だっていきなり見ず知らずの人間がきて、体を触りながら手伝ってもらうのはなんとなく緊張するものです。

最後に介護福祉士さんに引き継いでもらった時、私にあまりにもじっと見つめられるのでそれを避けるために彼女の体が車椅子の右の手すりに傾いてました。それを介護福祉士さんに真っ直ぐに直してもらいながら、「Aさん、生け花楽しみしてたもんねー」と声をかけられていました。私は「えっ、そうなの?全然、気づかなかった」と思いました。

食事介助したとき

食事介助しました。スプーンにご飯をすくい、80代女性の口に運びます。彼女は半身に麻痺があり、左側の口からご飯が飛び出してしまいます。私は「Bさん、左側気になるねー」と声をかけながら、飛び出すご飯をスプーンですくいとりながら口に運びました。すると、Bさんはそれに応えるかのように一生懸命にガツガツとご飯を食べてくれました。食事終わりに「Bさん、一生懸命ご飯食べてくれたね。気を使わせたね。ありがとうね。」と言ったら、はにかみながら頷いてくれました。

ポータブルトイレの清掃

60代男性のお部屋のポータブルトイレを清掃することになりました。その男性はポータブルトイレに座らず、和式トイレのように便座にしゃがみ込んで用を足していました。おしっこが便器に入らず、便器の下に敷いてある防水シートがビシャビシャになっていました。介護福祉士さんたちはなんであんなふうに用を足すんだろうかと不思議がっていました。

私は雑巾を2枚持っていき、便座の表から上を一枚で拭き、便座の裏から下をもう一枚で拭きました。これは、ゾーニングという清掃の技術です。そして、下に敷いてある防水シートも取り替えました。しばらくすると、男性は便座に座って用を足すようになりました。

推測ですが、性は常々ポータブルトイレの清掃の仕方に不満を持っていたんだと思います。その施設の介護福祉士さんはポータブルトイレを下から上に拭きあげていました。それを見て、私は「あれ、逆じゃない?上から下に拭けばキレイなところから汚いところを拭くので清潔が保たれるけど、下から上じゃ汚れを広げてしまうのに」と思っていました。男性は不満を口で言うことなく、行動で示していたんだと思います。

介護される人の自尊心を尊重し、それを肯定するゾーニングなどの合理的な技術があるのに、それを利用しないのはもったいないなと感じました。

現場の状況にあった適切な技術はさらなる介護技術の向上に繋がると思います。

終わりに

介護の現場は決められた時間内で、多くの高齢者を介護しなければならず、とても大変なお仕事です。一人一人の心に寄り添いながら業務をこなして行くのは並大抵のことではないでしょう。

ただ、私が一つ言えることは、介護される方も人間であり、ちょっとした心遣いで自尊心を尊重されると嬉しいものですし、それに応えようとしてくれることもあります。それによって、一つの手間がなくなり、介護する人間の負担が減ることもあるなと思いました。

私が行った実習先の介護福祉士さんたちはゾーニングという技術こそ知りませんでしたが、上手に自分の体重を使いながら高齢者の方を立たせたり、座らせたりしていました。おむつ替えなどの介護技術は母を介護するときにとても勉強になりました。その介護技術は皆さん独学で習得したそうです。

介護技術は理論化するのが難しく、臨機応変な対応が求められることが多いと聞きます。

介護技術を全て一貫したマニュアルにすることは難しいと思いますが、正しい知識に基づいた技術と現場で培ったノウハウを組み合わせて文章化し、マニュアルを作ることでより洗練された技術にすることができると考えます。

そのような技術を横に繋げることができる社会福祉士になりたいと思います。

※社会福祉士とは、高齢者をはじめ、障害や病気などの理由により日常生活に支障をきたす人から相談を受け、福祉サービスを提供する関係者などと連携し、日常生活をスムーズに送れるよう支援する専門職です。

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