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こんにちは、金次郎です。
用を足せば水を流して終了。
日本を含め、先進国では当たり前の「水洗式トイレ」。
しかし、21世紀の現代においてもそんな便利なトイレは少数派で、途上国の大多数の人々は、家にトイレが無かったり有ったとしても不衛生なトイレを使っており、それが元で命を落とす人もたくさんいます。
そんな世界のトイレ事情を知った、マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏は、奥さんと共に運営するゲイツ財団を通して、途上国の人々を救う為にトイレと下水処理設備の開発に着手しました。
世界のトイレ事情
今や先進国では「水洗式トイレ」は、ほとんどの家で普及していますが、いわゆる途上国と言われる国々の約40億人の人々は、家にトイレが無い、有っても汚くて不衛生と言う国が多いです。
アフリカや南アジア・中南米では、家のトイレが不衛生なトイレだったり、家にトイレが無い人は近所の川で用を足していたりしていて、その同じ川で泳いだり川の水を飲んでいる人が多くおり、それが元で感染症に罹り命を落としている人が大勢います。
特にアフリカは深刻で、下痢によって年間300万人もの人が命を失っていますし、その内の12%にあたる子供は5歳になる前に亡くなっています。
ビル・ゲイツ氏が動きだす
OS(オペレーティングシステム)のWindowsで、一躍巨大企業になったマイクロソフト社。
その創業者のビル・ゲイツ氏は、社会貢献の為にアフリカを含め色々な国にパソコンを寄付していますが、効果が中々感じられずにいました。
その様な中、途上国の不衛生なトイレ事情を知ったゲイツ氏は思案します。
先進国と同じ様な下水道や下水処理施設は、お金がかかり過ぎて途上国では普及しない。
そこでゲイツ氏は、軍事用部品を作っているジャキニ社のピーター・ジャキニ氏に、途上国でも導入が簡単な下水処理装置の開発を依頼します。
最初は、その依頼に戸惑ったジャキニ氏ですが、ゲイツ氏の熱意に応え装置の開発に着手します。
そして1年半をかけて、水も電気も使わず汚物を貯めるタンクも要らない汚水処理装置の「オムニプロセッサー」を開発しました。
賛同する日本企業
先進国で使われている設備に比べると大変安価な「オムニプロセッサー」。
しかし、それでも1台の費用5万ドル(約525万円)では、アフリカ諸国には高すぎて普及しない。
何とか量産体制を作って1台500ドル未満にしなけれならないが、そんなコストで量産してくれる製造業者なんてあるのだろうか?
そんなゲイツ氏の悩みに手を上げたのが、日本の大手住宅設備機器メーカーのLIXILでした。
実はLIXILは、ゲイツ氏が途上国のトイレ事情を知る8年近く前の2010年代に、途上国向け簡易トイレシステム「SATO(SAfe TOilet)」の開発に着手していました。
排泄物の量にも寄りますが約1リットルの水で洗浄でき、排泄物と水の重さで弁が開き動力を使わずに閉まる方式で、病原菌の媒介と悪臭を防ぎます。
この「SATO」、2013年にゲイツ財団の援助を受け、先ずはバングラデシュで販売を開始します。
次はザンビア・ケニア・ウガンダ・ルワンダ等アフリカで販売を実施します。
2016年には三度目の援助を受け、ワールドワイドな展開を更に加速しています。
この「SATO」のトイレシステムを使っている人は、現在38ヶ国で1860万人ほどおり、ゲイツ財団とLIXILは、2025年までには1億人に増やす計画です。
しかしシステムを普及させるだけではダメで「清潔なトイレが、なぜ必要なのか?」を、それらの国の人々に理解してもらう必要がありますので、トイレを普及させるだけに止まらず衛生意識を高める活動も同時進行で行っています。
終わりに
私が幼い頃の日本は、まだ汲み取り式トイレが一般的でバキュームカーが定期的に各家庭を巡回して排泄物を汲み取っていました。
1970年代(昭和40年代後半)小学校高学年の時に、父の転勤で都市部のアパートに引っ越しましたが、そこはもう水洗式トイレで嬉しかった思いがあります。
今の日本では、そのバキュームカーもほとんど見なくなりましたが、通勤途中に電車から見える古い木造家屋を見ては「臭散パイプが有るから、この家はまだ汲み取り式トイレっぽいな」と思っている家も何軒か見受けられます。
日本人は「排泄物は汚い」・「雑菌がいるから気をつける」と言うのは子供でも理解が進んでいますが、世界に目を向けるとトイレ&排泄物についての教育が必要な国の方がまだまだ多いので、ゲイツ財団や賛同する日本企業には更なる普及に励んで欲しいものです。
参考元
・あのビル・ゲイツが「トイレ革命」に挑戦する訳 (東洋経済オンライン) https://toyokeizai.net/articles/-/405186
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