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現在世界はコロナ禍で大変な状況が続いていますが、その裏でアメリカでは人種差別による白人警官が黒人を殺めてしまうという大変ショックな事件が起き、波紋を呼んでいます。それについてデモも行われていますが、コロナによる感染も心配されていて、混沌とした情勢です。過去にも書いた黒人の差別の歴史も参照して頂きながら、今なにが起こっているのかを紹介していきたいと思います。
1.ヘイトクライムで奪われる黒人の命
5月25日ジョージ・フロイドさんは警官に約9分間も首を押さえつけられ、息ができずに亡くなってしまいました。その一部始終を動画に撮られていて「息ができない」と、訴えている様子をSNSなどで拡散され、市民の怒りが高まってきました。最初の段階では押さえつけた元警官は第3級殺人罪で、訴追されていました。第3級殺人罪とは「殺害の意図はないまま、不道徳な考えから人命を無視し、等しく危険な行為で他人を死亡させた」場合に適用されます。(参考・BBC)
しかしこの問題は今に始まったわけではなく、これまで数多の黒人の命が奪われてきました。2014年には黒人男性のエリック・ガーナーさんが、白人警官に首を絞められ同様に「息ができない」と訴え、死亡しました。今年の2月にも付近で起きた事件と背格好が似ているというだけで、黒人男性のアフマド・アーベリーさんがジョギング中に白人警官から発砲され、命を落とした事件もあったりと後を絶えません。(参考・ハフポスト)
過激になっていくデモとコロナの懸念
2013年にできた「ブラック・ライズ・マター(黒人の命だって大切だ、黒人の命を守れ)」という大規模な運動が行われています。今回のことで行われたデモも最初は平和的に行われていましたが、2夜目には過激になっていき警察の建物に火を放ったりと、暴徒化していきました。これによって負傷者も出ており、夜間の外出禁止も各地で発令されました。一方、各州で行われているデモには、警官がヘルメットや警棒を着用せず「この声を届けたい」という意思で参加したり、亡くなったジョージ・フロイドさんに敬意を表するために片膝をついて参加する警官も見受けられました。(参考・ハフポスト)
そんななか米国では、コロナ感染による死亡者がついに10万人を超え、デモによる密集においての感染も懸念されていて、ニューヨーク市長はマスク着用や人との距離を保ってほしいと呼びかけていますが、リスクのある抗議活動になっています。市長は続いて「抗議する権利はあるが、他人を感染させる権利はない」と訴えています。この動きは今までの外出禁止による、抑制されたものがタイミング的なものもあり、爆発したのではないかと思われます。またジョージ・フロイドさんは新型コロナに感染していたことも判明しました。無症状感染者だった可能性が高いことや、他者にうつったということも無いようです。
やはりこういうニュースがあるように、アメリカ内にてデモによる感染者は増加の傾向があります。10%も増えているので見逃せないデータです。
2.SNSでも加熱する反対運動「真っ黒な四角い画像」とは
平和的なデモもあれば過激化するデモに非難も集まり、トランプ大統領はTwitterにて反応しましたが、あまりにも暴力的な内容にTwitter社が表示を隠す(閲覧は可)という、まさかのことが起こりました。その内容とはデモ隊を非難するもので「略奪が始まれば銃撃する」というツイートに『暴力を賛美している』と、捉えかねないとみなされルール違反という判断をしたようです。
….These THUGS are dishonoring the memory of George Floyd, and I won’t let that happen. Just spoke to Governor Tim Walz and told him that the Military is with him all the way. Any difficulty and we will assume control but, when the looting starts, the shooting starts. Thank you!
….これらのTHUGSは、ジョージフロイドの記憶を不名誉にしています。私はそれを起こさせません。ティムウォルツ知事に話しかけ、軍はずっと彼と一緒にいると彼に話しました。どんな困難でも私たちはコントロールを引き受けますが、略奪が始まると、射撃が始まります。ありがとうございました!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) May 29, 2020
私がこの反対運動を知ったきっかけはあるアーティストが、Twitterで上記のようなただ真っ黒の四角い画像を貼ってるツイートです。最初はなにかのミスかなと思いましたが、状況を知ってこういうことかと納得しました。TwitterやInstaglamで海外問わず、日本に居ても届くという、いまを投影している素晴らしい運動だと思います。
まとめ・400年戦ってきた人種差別はいまも続いているということ
この事件において、人種差別の映画を撮ってきたスパイク・リー監督はこんなことを、ビデオメッセージにて発言していました。「人種差別はパンデミックのようだ」パンデミックとは広範囲及ぶ流行病という意味で、節目では話題に上がり問題視されるけど、いつの間にか日常に戻り、また繰り返されるという問題の事実だけが残ってしまい、解決されないのが人種差別の根底だと解釈をしました。
私が抱えている障害者差別もそうで、大きな事件が起きれば問題視されるけどまた忘れられ、繰り返されています。実際の被害を受けてなくても、こういう差別は忘れず、いつでもずっと、議題にあがっていなければいけません。また暴力的なデモをやめろという声もありますが、黒人達はいままで肌が黒いということだけで、殺されたり火をつけられたり、レイプされたりと様々なことを受けてきた、ということを念頭に置いておく必要があると思います。平和的に解決するのが1番いいことですが……。
またコロナ過による状況が、更にデモを考えさせられるものになりました。自分の命や他人の命、はたまた人種による命とさまざまな状況が交差して、それぞれの主張がメディアやSNSによって、発信され受け取る時代になったということですね。1年経ったいまでも続いている香港デモは、逮捕者が大勢出たりと止む気配がありません。彼たちは何と戦い、何を主張しているのか、汲み取って考えた後、自分の意見が生まれます。どういうことが生きづらく、どういう未来がいいのかということを持てば、世の中の見方がきっと変わるはずです。差別とは決して許されるものではないですが、もしかしたら無くならない問題かもしれません。しかし意見を持つことや主張を続けることを止めてしまったら、それこそ何も変わらず、先に進みません。私もこういう問題を通して、いま一度人種差別やデモを考えることができました。1日も早くコロナが収束して、人種差別により失われた命が救われる日が来ることを願っています。
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