「生成AI×障がい者雇用」の新時代へ ― 株式会社綜合キャリアトラスト代表取締役 伊藤 努 氏へインタビュー【後編】

「生成AI×障がい者雇用」の新時代へ ― 株式会社綜合キャリアトラスト代表取締役 伊藤 努 氏へインタビュー【後編】 仕組みを考える側が大切にしたいこと。それは「変化を恐れない」というタイトルとスーツの男性

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この度、生成AIを使ったノーコードのシステム開発を、障がい者を抱える方に担っていただく新たな試みに取り組む、株式会社綜合キャリアトラスト代表取締役の伊藤 努 氏へインタビューをさせていただく機会をいただきました。

これまで株式会社綜合キャリアトラストは、全国で300社以上の障がい者雇用を支援されていらっしゃいました。

その中でも業務内容に生成AIなどの先端テクノロジーを導入する取り組みは、国内でも極めて先進的な試みとなります。

AIアプリ開発エンジニア職への障がい者採用に踏み切った背景や展望、そして企業が向き合うべき「人材の多様性と成長の本質」について伺います。

ぜひ最後までご覧ください。

「働く」を通じて、人と企業が、共に成長する仕組み作り

オフィスでPC業務について男性からサポートを受ける女性

島川:障がい者雇用を通じて、人と企業が共に成長する仕組み作りについて、どのようなことを大切にされておられますか?

キャムコムグループには「可能性を否定しない」という共通の文化があります。

「NO」「できない」と立ち止まるのではなく、常に前向きな解決策を模索します。

また、仕組みを設計する立場として、「できない」と決めつけるのではなく「まずはやってみる」、変化を恐れない姿勢が不可欠です。

人それぞれの特性があり、変化が苦手な方もいらっしゃることも十分に理解していますので、その方に対して変化を強要しようとは考えていません。

しかし、世の中に「同じことが永遠に続く」ということはなく、「一度作れば完璧」という仕組みはこの世に存在しません。
時代やニーズに合わせて、仕組みは常に形を変えていくものです。

状況に応じて柔軟に仕組みをアップデートし続ける。そうした概念を持ち、変化をプロセスとして楽しめるような考え方を大切にしています。

島川:皆さんからは、変化に対する反発などはなかったのでしょうか。

変化に対して、想像以上に強い反発や不安などの「心理的な壁」を感じる方がいらっしゃるのは事実です。実際にこの考えを浸透させるプロセスは想像以上に困難を伴うことを私自身、実行してみて痛感しました。 

業務の内容ややり方が変化することを嫌がる方は、「変えないことが当たり前」という常識を持っているからこそ、反発されるのだと思います。

たとえば、CVTの福岡拠点のメンバーは、常識が変化し続ける環境にいて、そこに順応しているので、特に障がいとは関係がないと感じています。考え方を変えるのは可能だと思います。

最初から変わることが当たり前というマインドを作ることができればいいですが、お恥ずかしい話、そこまで到達していない拠点もあります。

それは「こういう方は変化を嫌う」というマネジメント側の先入観によって、変化が起きない状態が続いていることが原因で、当然変わる時には反発が起きます。

そのため、マネジメントする側が「特性がこうなので仕方がない」というマインドで固まってしまうことはよくないと感じてます。

 企業経営におけるダイバーシティ&インクルージョンの実践と課題

オフィスで机を並べてPC作業をしている様子

島川:企業を経営するうえで、ダイバーシティ&インクルージョンは、今や欠かせない視点となりましたが、キャリアトラスト様では、どのようなこと実践されておられますか?

現在、キャムコムグループ全体で「ダイバーシティ&インクルージョン」を強力に推進しており、多様なグループ企業・事業などで、多様なバックグラウンドを持つ方々の採用を広げています。

具体的には、外国籍の方の雇用、女性管理職の登用、そして障がい者雇用を積極的に進めております。

外国人雇用率は6.9%、女性管理職比率18.2%(2025年3月31日現在)となっており、女性活躍企業の証である「※えるぼし」に厚生労働省より認定されています。

また、障がい者雇用率は3.28%(2025年6月1日現在)を実現しています。
これは、今年の※ロクイチ(障がい者雇用状況報告書)報告 です。

今後もさまざまな部分において、ダイバーシティ&インクルージョンは、推進させなければならないと考えております。

島川:現在取り組みを進めていく上で課題となっていることがあれば、伺いたいです。

多様なメンバーが共に働いていますので、就業時間、場所、言語などいくつもの壁にぶつかります。

その壁を取り払うための「新しい仕事の進め方」を、今まさに私たちが創り出さなければならないと強く感じています。

テスト運用を繰り返し、「これならいける」という事例を自分たちの手で生み出すこと。

その泥臭い試行錯誤のプロセスこそが、グループの未来を切り拓くと確信しています。

多様な人材を雇用すれば、人それぞれの制約や制限があるため、そこに合わせた仕事を作ります。当然作るだけでなく、生産性に繋げることが重要です。

自グループ内で完成できた形を、自グループ内だけで完結させるのではなく、サービスとして、外販することが可能になれば、企業の方の喜びにもつながります。

この喜びの輪が広がれば、障がい者雇用に関する社会課題を解決し、社会や日本全体を前進させることにつながります。

課題は山積していますが、問題があればあるほど弊社にとってはチャンスです。

今弊社が抱えている課題は、他の企業様でも同様に起きていることで、特別なことではないと感じているからです。

企業さんも絶対同じ課題や難題を抱えていらっしゃることと思います。今抱えている問題はうちだけの特別なものではないと思うのです。

そのように思考を転換して、実現していくことが重要だと感じています。

島川:最後にこの記事をご覧になっている当事者の方や、キャリアトラストさんを目指している方、AIエンジニアになりたい方に向けて、メッセージをお願いします。

本当に自分がやりたいこととか、頑張りたいと思った時に、その目標に一直線に向かっていけば、それは実現できると私は思います。

「今現在何か資格・力を持っていないと始められない」ということは、ございません。

その身ひとつで目標に飛び込むことが重要です。
本気とやる気さえあれば、弊社は大歓迎でございます。

「何かにチャレンジしたい」、「挑戦してみたい」と思った方は、その目標、その心をすごく大事にしていただき、様々なことに飛び込んでいっていただけると嬉しいです。

島川:素敵なメッセージありがとうございます!

お話を伺って

地平線:「障がい者雇用を法律だからではなく、戦力として行いたい」という言葉や、多様な人を雇用するメリットとして、「企業の受容度や心理的安全性が高くなる」とお話されていたのが印象的で、当事者として嬉しい気持ちになりました。

また、その実例やビジョンもお聞きしていてとても興味深かったです。

そして、「変化を恐れない」というお話がとても心に残っています。

過去や現在の課題についてもお話がありましたが、変化を恐れず解決を目指し続けていることや、最終的には蓄積したノウハウを社会に還元したいというビジョンが素晴らしいなと思いました。インタビューをお引き受け頂きありがとうございました。

hibiki:貴重なお時間ありがとうございました。あっという間でした。

私も地平線さんと同じく御社の取り組みに興味を持ちました。最近、AIの面白さを事業所で見せてもらったこともあり、未経験もOKということでしたので、個人的に興味を持ちました。

島川:今回、AIエンジニアを雇用を開始するということで、かなり高度なことに取り組もうとしておられるのだと思っていました。

インタビューを通じて、無資格・未経験でも、探求心とPCそのものへの適性があれば、誰でも性別関係なくチャレンジができる取り組みであることが分かり、これを読んでいる方も、自分もチャンスがあるかもしれないと、希望を持ったのではないかと感じます。

また以前、別の障がい者雇用を推進している企業様にもお話も伺ったのですが、その際も『数合わせでなく、戦力として障害者雇用を行う』という話が出てきました。

綜合キャリアトラスト様と同じくらい、その企業様でも障がいのある方が定着できるように配慮をされて、高い定着率を出しながらも、その上で成果を求めていました。

こうした素晴らしい取り組みを展開する企業が日本に数多くあることを、この記事を通じてより知っていただけることを願っています。

キャコムグループ株式会社綜合キャリアトラストの社名のロゴ

綜合キャリアトラスト様のHPはこちらです!

https://socat.jp/

用語集


※えるぼし認定

行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。

認定の申請は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)で受け付けています。

認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。この認定マークを活用することにより、女性の活躍が進んでいる企業として、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながるなどといったメリットがあります。

引用元:(厚生労働省)女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

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※「ロクイチ報告」

毎年、6月1日に、企業が『障がい者雇用状況報告書』高齢者および障がい者の雇用に関する状況を本社所在地を管轄するハローワークに報告すること。

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