この記事は約 14 分で読むことができます。
この度、発達障害児の支援する商品などの開発を手がける、『tobiraco』代表取締役の平野佳代子さんにインタビューさせていただきました!
前編では、『tobiraco』立ち上げのきっかけや人気商品「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」について詳しく伺いました。
前編の記事はこちらです
教育現場の声を拾い、発達障がい児のための商品を販売!『tobiraco』代表取締役 平野佳代子さんへインタビュー【前編】
後編では、商品開発を通じて感じたことや、購入した方の反応、今後の『tobiraco』の活動での将来のビジョンについて伺いました。
今回お話を伺ったのは、翼祈、中村鮮魚店、島川です。
ぜひ最後までご覧になってください!
『tobiraco』で開発した商品について
翼祈:開発は未経験から始められて、現場から原案をいただきながら平野さんとご主人で制作されているとお伺いしました。その中で特に思い出深い商品はどれでしょうか。
「たたみ方れんしゅうボード」が特に思い出深いです。
私が東京都文京区の筑波大学附属大塚特別支援学校という学校に取材へ行った時に手作りのたたみ方ボードを使っていて、これは素晴らしいと凄く衝撃を受けて先生に相談しました。
「段ボールが一番扱いやすいだろう」ということで、素材は段ボールになりました。
何もかも初めてでしたが、実際に段ボールの加工工場まで行き、色々と相談したり両者でやり取りしながら、何度も試作品を作りました。

たたみ方れんしゅうボード

このようにきれいにたためます!
翼祈:「たたみ方れんしゅうボード」の開発の際に「なんで服をたたまなければないといけないのか」という疑問を突き付けられたそうですが、どのように説明しようと考えましたか?
大塚特別支援学校の知的障害のあるお子さんに「たたみ方れんしゅうボード」の試作品を使ってもらったところ「何故畳まなきゃいけないのか」と問われ、衝撃と共に気が付かされました。
その後、“なぜたたまなきゃいけないのか、きちんと畳んでしまうと、着る時に取り出しやすい”ということをイラスト化して、説明書に載せました。非常に考えさせられた出来事でした。

説明書に実際に載せているイラストです!
翼祈: 教育雑誌の編集をしていた頃から、商品化の構想があったとお聞きしました。それが、商品になったものは、どんな商品がございますか?
「トーキングゲーム」と「(見る目をかえる 自分をはげます)かえるカード」は先生の方から是非商品化してほしいと強い要望がありましたが、正直その時、私はあまり良さが分かりませんでした。
しかし、発売したあとの反響を見て、現場で使って非常に効果があり、必要とされていたことを知り、先生が強く推した意味がわかりました。
あるひきこもりのお子さんが「トーキングゲーム」をやるうちに、次第に心の中に溜めてたものを吐き出すようになって、少し楽になったというお話も聞きました。
人に聞いてもらうことがどんなに大事なのかは、この「トーキングゲーム」を通じて知り、教えられました。
翼祈:「 見る目をかえる 自分をはげます かえるカード(専用ウォールポケット付き)」を使うことで、どんな効果がお子さんに表れていますか?
こちらも特別支援学校の先生が手作りしていた物を製品化しました。
先生によると特性のあるお子さんは、ネガティブなこと言われると「自分はそうなのかも」と受け取ってしまいます。
しかし、このカードを使うことで「よく喋るね」という言葉も「人と付き合うのが上手だね」とプラスに見方を変えることができます。
先生によると、できれば思春期に入る前に「 見る目をかえる 自分をはげます かえるカード」をやっておくと良いといいそうです。

専用ウォールポケットで壁に設置することができます

思春期は特性があるなしに関わらず、情緒が不安定になり、自己肯定感が低くなる場面があります。
しかし、その時に見方を変えれば「こういう風にも見れるんだ」と柔軟なとらえ方ができるようになり、友達関係でも友達の悪い面だけではなく、いい面も見られるようになります。
そのような見方ができるようになったお子さんは強いと先生からお聞きしました。
嬉しかったことは、ASDのお子さんを持つブロガーのお母さんからいただいた声です。
そのご家庭では「 見る目をかえる 自分をはげます かえるカード」を寝室にかけていたそうですが、そのお子さんが、ある失敗をしてしまいました。いつもなら癇癪をおこす場面ですが、かえるカードに書かれていましたが「失敗も見方変えれば、次は同じ失敗しなくて済むよね」とお母さんに自分から伝えたそうです。
このお話をお母さんがブログに掲載したところ、Yahoo!ニュースのヤフトピにこの商品が載っていました。
翼祈:鉛筆の持ち方で悩むお子さんは多いと思います。『「すわりかた」と「もちかた」お手本マット』を使ったお子さんや親御さんの反響などありましたら、聞いてみたいです。
『「すわりかた」と「もちかた」お手本マット』も思い入れのある商品の一つです。
編集者時代に何度も取材に行った、大阪の児童かきかた研究所で使われていたデスクマットを特別支援学校の先生に見せたところ、「おヘソをここに向けるとかここに置くとか視覚化されている。これは非常に良いんですよ」と、言われて商品化しました。

「すわりかた」と「もちかた」お手本マット
児童かきかた研究所の初代所長さんが、「鉛筆をちゃんと持てる先生はいない。だから子供が持てない。教える必要があります」とおっしゃっていました。
鉛筆の持ち方で悩んでいるお子さんは多いですが、教えられる先生がいません。
実際に見ると、子供はすごい持ち方をしていますが、子供としてはわかっていても持ち方で注意されたくないため、そこで母子でバトルが起きてしまいます。
これを販売した時にお母さんから「『「すわりかた」と「もちかた」お手本マット』があると、見れば分かるため注意する回数が減った、しなくて済んだ」という声をいただきました。
しかし、発達性強調運動症(DCD)のお子さんは少し難しいため、悩ましいところです。

実際にお手本マットを使っている様子
翼祈:「きもち・つたえる・ボード」を使うことで、コミュニケーションにおいてどんな効果が期待できますか?
「きもち・つたえる・ボード」は特別支援学校の先生が使っていた物です。
例えばコミュニケーションゲームをやっていて、答えている側が周りの人が真剣に聞いているのか、共感してくれているのか、聞き流しているのか分からないと思います。
しかし、それを「きもち・つたえる・ボード」で、きもちを視覚化することで、お互いにその場を共有しているという実感を持てます。話している方も反応があると非常に嬉しいです。

きもち・つたえる・ボード
もう一つ「きもち・つたえる・ボード」には実は隠れた狙いがあります。
カードには裏表に違うことが書いてあるため、相手にどう見えてるかを意識していないとボードが出せません。
例えば、相手に“いいね”と言いたい場合、相手にボードの“いいね”の面が見えていないと駄目ですが、お子さんによっては自分に‘“いいね”を見えるようにしてしまいます。
そのため、相手にどう見えるかを意識するのが苦手なお子さんが“相手にこれを見せないといけない”と意識する練習にもなります。

箱の裏面に説明が書いてあります
翼祈:「療育アロママッサージオイル」は、放デイ職員の声から開発された『tobiraco』オリジナル商品だと聞きました。このアロマオイルはどのような経緯で生まれたのでしょうか、またどんな特徴や効果がありますか?
「療育アロママッサージオイル」は非常に印象に残るものでした。
お世話になっている放課後等デイサービス(放デイ)を見学させていただいた時に「こんにちは」と言っても私がいるかいないかも分からないぐらい表情も硬く、挨拶もないお子さんがいました。
職員の方が大きなタオルを敷いて、その子を寝かせてアロマでマッサージをすると、ニコッと笑って表情が一変しました。
職員さんに聞くと「アロマのマッサージをすると、こういう風にリラックスできます。『tobiraco』でも作ったらどうですか」と勧められて、開発しました。
その放デイが提携している発達障害専門のクリニックがあり、そちらがアロマを使った療育を推進しています。
発達障害専門のクリニックの方に協力していただいて、放デイのお子さんや職員さん、保護者の方たちとどういう香りにするのか決めました。
嗅覚過敏のお子さんもいるため、あまり強い香りは駄目なのと、一つの香りだと飽きがきてしまうため、いくつもの芳香成分をブレンドして何度も試作しました。
「療育アロママッサージオイル」のシリーズには、「おだやか」と「きりり」2つの香りがあります。いずれも、3種の精油をブレンドしています。
【おだやか】
甘く、温かみのあるオレンジと心を落ち着かせるラベンダーとティートリーの精油の香りで緊張を緩和し、心身をニュートラルな状態に保ちます。
【きりり】
さわやかなレモンとすっきりとしたペパーミント、ユーカリの精油の香りで不安や混乱を取り除き、気分をリフレッシュさせ、気持ちを切り替え、集中力を高めます。
「療育アロママッサージオイル」は‘‘おだやか‘‘を、ホホバオイルに混ぜています。
発達障害のお子さんは、緊張が多いため、人の何倍も疲れます。
そのため、使ってくださった方からマッサージが非常に気持ちよくて子供が「背中やおなか、全身やってほしい」と言っていたというお話をお聞きしました。
翼祈:今後どんな『tobiraco』オリジナルの商品が増える予定がありますか?
将来的には発達障害の子が楽になる生活周りのものが出せたらいいなと考えています。
オリジナルではありませんが、「くりかえして身につけよう 親子でせいけつマスター」という洗髪や体の洗い方の方法を視覚化したお風呂に貼れるポスターの評判がいいです。
生活周りは「暗黙の了解」で、いつのまにかできるようになっていたりすることが多いものです。でも、発達障害のお子さんは「暗黙の了解」が苦手なことが多いとききます。
暗黙の了解としてスキップするのではなく、丁寧にわかりやすく伝えることでよけいな苦労をしなくてすむような商品が出せたらいいなと考えています。
将来の活動のビジョンについて
翼祈: 平野さんや『tobiraco』が今後叶えたい夢や、将来の展望をお聞きしてもよろしいでしょうか。
今ネットで販売していますが、やはり現実で“人が集まれるような場作り”をしていきたいと考えています。
これまでセミナーやアロマのワークショップなどやってきましたが、小規模でも良いので、茶話会でお喋りしたり、先生を呼んで勉強会など、そのような場作りが叶えたい夢です。
翼祈:発達障害を抱えるご家族や当事者の皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。
あまり私も偉そうなことは言えませんが、色んなご家族やお父さんお母さんに会って感じるのは、1人にならないこと、そして仲間がいるのは非常に大事ということです。
少し愚痴を言える人や仲間が大事です。
その上で、福祉関係の情報は自分で取りに行かないと、誰かが「こういうサービスありますよ」など教えてくれません。
情報を常にキャッチしていくことや、仲間と情報交換の場を持つのは非常に重要です。
私も障害があるきょうだいが2人いるのでよく分かりますが、親が絶望的になったり、沈んだりすることもあると思います。
そのような時に先輩ママなど同じ境遇の仲間は非常に助けになります。
絶対1人にならない。1人で抱え込まないことが非常に大事かなと思います。
アフタートーク
翼祈:よく一般的に目を見て話すのが普通と言われますが、私は発達障害があるため、人の目を見て話すのがいつも苦手で、どうしても下を向いて話す癖があります。
私も、毎回それを言われてきましたが、できないのが自分の特性で分かっています。
そういうお子さんでも、目を見て話すことができるような商品があれば私も含めて、助かるお子さんが多いんじゃないかというのを当事者の視点から考えました。
また、お箸の握り方が下手なので、『「すわりかた」と「もちかた」お手本マット』のように、お箸を正しく持てるような商品もあったら助かる方もいらっしゃるだろうなと思いました。
また、「トーキングゲーム」に関して、テレビの力は凄いなと感じました。
朝の番組で報道された当時は少しずつ知られ出した頃だと思ったため、それだけ必要としているニーズが高かったのだろうなと感じました。
私も発達障害と診断された時は「なぜこんな誰もかかっていない障害を負ってしまったんだろう」と非常に落ち込みました。
当時は本当に情報がない時代で様々な方が「県外でもいいから専門医のいる先生を紹介してください」と藁をもすがる気持ちだったと思います。
これからも、『tobiraco』で発達障害でお悩みの方を支援していただける素晴らしいアイテムを生み出していってくださったら非常に嬉しいです。
中村鮮魚店:私の子供も発達障害を持っていて、親子で発達障害です。
今子供が放課後デイサービスに通って療育を受けていますが、家庭でもいかに授業に集中できるかインターネットでずっと情報や商品を探し続けている状態です。
大げさかもしれないですが、たった一つその商品で我が子の障害が少しでも減るなら100個試しても御の字です。
そのことで『tobiraco』さんが現場の意見を拾った発達障害の子供達向けの商品作りは、親からすると本当にありがたいと思います。
今後もぜひ商品の購入者として私も携わっていかせてください。
島川: 私が特別支援学校の先生をしていたこともあり、非常に興味深くお話を聞かせていただきました。
現場の意見を拾い共有していただけることは、非常に良い取り組みだと改めて思わせていただきました。
親御さんも本当に困っていると思いますので、この記事を通してお伝えできればと思っております。この度は貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
『tobiraco』様の公式ホームページとSNS
公式ホームページ:
販売ページ:
https://tobiraco.co.jp/category/item/
公式X:
https://x.com/tobiraco_co_ltd?s=21
公式インスタ:
https://www.instagram.com/tobiraco?igsh=MXhicXF4NzVlMjE5bA==

平野さんこの度はご協力ありがとうございました!







コメントを残す