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はじめに
先日、うれしい出来事に、AKARIのライターさんに取材をして欲しいという依頼が舞い込んできました。
仙台にお住いのH Kojima(病気を公表する際の仮名)さんより、依頼を頂戴し、インタビューをさせていただきました。
Kojimaさんは、重度のうつ病、発達障害(広汎性もしくは自閉スペクトラム症)を抱えながら、病気や障害を公表して当事者支援の活動をしておられます。
今回は主に、
○病気の当事者活動
○障害者としての生活
○お仕事についての3点でお話を伺っています。
インタビューをしたのは、どんはれ、翼祈、salad、ゆたです。
Kojimaさんの回答は太字で表示しております。
ぜひ最後までご覧ください!
Kojimaさんの特性について
どんはれ:どういった障がいをお持ちなのかお聞きしてもよろしいでしょうか?
H Kojimaという名前で、病気とか障害を公表して活動しています。
障害は重度のうつ病、精神の種類になり、その他は、今の基準では発達障害で広汎性やもしくは軽度の自閉スペクトラム症に該当してます。
翼祈:私は発達障害の当事者です。ASDのこだわりの強さと、ADHDの過集中の傾向が特に強いです。Kojimaさんは、どんな特性がありますか?
はい。 3つあります。
1つが理屈っぽすぎることですね。
人とのコミュニケーションとかにおいてですね。
特にもう1つが、こだわりが強いことです。
部屋の中で物の位置とか決まって、それが変わっちゃうと動くのが酷かったりします。
最後の1つが感覚過敏と感覚鈍麻です。
感覚過敏は、パソコンの光とかをまぶしく感じたりとか、別に服とかでチクチクする素材がひどく苦手だったりします。(この点はほかのこの症状で悩む方と比べると軽度です。)
感覚鈍麻は、しばらく経ってからでないと、疲れを感じなかったりします。
一方で、人の気持ちが分からないとか、場の雰囲気が読めないとかの症状は特性はなく、つまりアスペルガー障害ではなく、今の基準だとどちらかと言うと軽度の自閉スペクトラム症か、今はなくなった言葉で、広汎性発達障害という分類が適当かと、お医者さんと整理してました。
翼祈:身体的な症状もあるとのことですが、それらはうつ病と発達障害のどちらも精神障害の影響が大きいですか?
うつ病ですね。
動ける量が少なくって、精神障害の人だとこう動ける人多いんですけど、
今どこかに通ったりもできなくて、仕事もほとんど家でしかできません。
家事もできない中で、グループホームに入って、家事を代わりにしていただくという、介護を受けながら生活してます。
精神障害向けのグループホームはもっと家事ができる人がほしいと言われまして、私は家事が全然できない状態で入ったので、ここの地域の精神障害向けが主のグループホームは、全部入れませんでした。
今は知的障害の人もいるグループホームに入ってます。
発達障害で、うつ病がなくても疲れやすいとか、体力が少ないとかはあります。
翼祈:私は、抽象的な表現の理解が難しく、曖昧な内容について誤った捉え方をして、ミスをしてしまいます。Kojimaさんが、障害の特性で悩んだことはありますか?
そうですね。対人関係で、理屈っぽすぎると人と関わってると嫌なこととか、暴言とか言われちゃうこともあるんですけど、それをこう受け流せないのが辛いですね。
人に馬鹿とかひどいことを言われて反論しないで我慢していると、あとで体の状態悪くなっちゃったりしたりとか。
あとは、丸暗記が少し得意なんですけど、何を丸暗記するか選べず、その嫌な記憶が忘れられないということがあります。
どんはれ:東日本大震災の前と後、コロナ禍の前と後で、ご自身の生活はどう変わりましたか?当事者としての活動もそれを機に変わりましたでしょうか?
東日本大震災の時は、まだ病気ではなく当時は学生で、岩手県にいました。盛岡は内陸のほうです。その時点では、まだ病気でなかったので、特に変わらず過ごしていました。
東日本大震災のことは、意識していつも生活してます。
コロナの時は、恐らくちょうど流行した頃、流行する手前くらいに、最初の体の不調が現れて、コロナウイルスをあんまり意識する余裕もなく、病気で過ごしていました。
今から5年以上、5〜6年くらい前に、最初に体の不調が現れてきました。
今の状態になってからは、4年目です。(今年の5月から5年目、4年以上)
翼祈:Kojimaさんは、発達障害と、うつ病の障害のどちらを先に診断を受けましたか?
うつ病の方が先に診断を受けました。3年半くらい前です。
その時は、重度ではなかったのですが。
発達障害は、少なくとも今の基準では発達障害ではあるんですが、障害ではないのか、今もまだ迷っています。もしかしたら、障害には該当しない可能性も、あるかもしれません。
Kojimaさんの日常 お仕事、グループホームでの生活
salad:1日のスケジュールを教えていただけますか?
午前中は療養してることが多くて、午後から就労継続B型のお仕事をしています。
仕事は簡単な営業事務を行っています。
療養して、横になっている時はラジオや音声メディア(映像なしで受けられる研修)を使って、福祉をはじめとする勉強をしてます。
本当は夜の方が体調がいいんですけど、グルーフホームの消灯が21時なので、規則に合わせて生活しています。
補足情報:Kojimaさんがお勤めのB型について
〇エリム事務センター・若水 | 施設一覧 | NPO法人シャロームの会
〇運営母体 特定非営利活動法人・シャロームの会
salad:お仕事のない時はどのように過ごされてますか?
休日は、グループホームにきてからは、家事をできる範囲で取り組んでます。
ただ動ける量が凄く少なくて、体力が限られてるので、洗濯物をしても、畳むのは諦めたりとかしています。
あとは、洗濯物増やさないように着替える頻度を2日に1回にしたりとか、食器洗ったりとか、グループホームの食事を依頼しない時もあるので、自分でパスタとかを電子レンジで調理したり、コーンフレークなどを食べています。

salad:グループホームではどのように過ごされていますか?
家事をしたり、ときどき職員さんにインターネットで分からないこととか、福祉の支援のことを聞かれたりします。
salad:現在グループホームでは何人ぐらい生活されていますか?
現在、5人ほど入所されています。職員さんの支援は手厚いです。
介護サービス包括型のグループホームになります。
補足情報:共同生活援助(包括型)とは
主として、夜間や休日において、共同生活を行う住居(以下「グループホーム」)で、相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を提供します。
介護サービス包括型とは、事業所の従業者が、相談や家事等の日常生活上の援助と入浴等の介護を合わせて行うサービスを言います。
引用元:(公益社団法人かながわ福祉サービス振興会)共同生活援助(包括型) | 障害福祉サービスの紹介
翼祈:グループホームで障害などの悩みが出た時に、どうやって解決しますか? 私は悩み事はすぐに上司に相談しアドバイスを求めます。
まず相談するのは、利用している障がい者相談支援事業所さんや、最近設置が努力義務になった基幹相談支援センターさんですね。もちろんグループホームさんにも相談します。
ただどうしても解決しないことなどはあります。
民間団体さんにも相談したいですが、私の住む地域では解散してしまった等、ほとんどありません。
翼祈:グループホームは共同生活ですが、Kojimaさんはどのような配慮を受けていますか?
大声を出されちゃうとか、あと隣の人が私が家で仕事をしていて、電話をすることが多くて、それがうるさく感じたりとか。声が大きくなくても、やっぱり気になっちゃうってことですね。(私は一般的な生活音は気にならなくても、集団生活ではそのような環境であると思って入りました)。それで実は、今までに部屋の移動があったんですよ。
そういったことに配慮を受けていますね
1番は、私が体調が悪く、買い物含め家事が全然できない中で入って、配慮というより支援を受けてます。
あと在宅で仕事をすることを認めないグループホームも一定数ありますので、そこも配慮を受けてます。
自身の活動について
salad:個別で不定期の通話で、相談を受けているとお伺いしましたが、どのような方が相談に来られますか?
まだ相談会は公にはできていなくて、今まで通所や電話など、色んな場所で、知り合った方で連絡先を交換した方から相談受けています。
今は休日だけを使って活動してて、家事とかを除いた時間に動いていますね。
今までにご相談を受けたのは、8件です。
福祉の制度を利用する時の、該当するかどうかを含め情報提供で、役所さんとかで解決しなくて困ったことを相談されています。
ただ最近はちょっと余裕がなくて、相談は受け付けてないんです。
なので、まず何か終わっちゃった時だけ、電話で連絡してもらうようにしています。
連絡ツールとしては、LINEみたいなアプリで「ディスコード(Discord)」っていうのがあるんですけど、今はそれを使うようにしています。
LINEで連絡を取り合ってる人もいるんですけど、今はそうですね。
対応の際は、顔出しは全くせずに行っています。仮名及びマスク姿で私のことを知っている人、私が障害を公にせずに、本名を知っている人も、相談された方の中にはおります。
今は同じような仲間がいなくて、まだ見つけられてない状態です。
地域(主に首都圏、電話で連絡)によっては、病気の当事者同士でつながる方もいるんですけどね。

salad:ご自身で団体を立ち上げる準備はできてるとお伺いしたのですが、どのような団体になられますか?
今のところ、「Kojimaによる福祉のディスコード(Discord)通話相談会」という名前にしています。
ただ、定期的にいつ活動できるかっていうのがまだ不透明なんです。
もしかしたら、仕事をしているとなかなか立ち上げまで至らないかもしれないなと。
でも、こういう体になってしまったので、休日とかを使って準備を進めてきました。
あとは、まだうまくいかないんですが、LINEの公式アカウントも作りたいなと思っています。LINEの方が皆さんにとって一般的だと思うので。通話を受ける形であれば、通話することができるっていう情報は得たんですけど、なかなかうまく作れなくて、本当にできるかどうかは分かりません。
翼祈:Kojimaさんが立ち上げる団体は、どんな人に届けたい団体を予定されていますか? 団体ができたあとで、その人にできる支援は何がありますか?
一番は、どうしても行政が設置する相談窓口だと、障害のある方の問題が解決しないことが少なくない、というかたくさんあると思うんです。
例えば、必要な要件を満たしているのに、制度を使わせてもらえないとかですね。
そんな状況で、もちろん可能な範囲で、ごく少数の方しか受けられないかもしれませんが、今の私でも支援をしたいと思っています。
今まで準備してきたんですけど、正直、今もこれからも、どれくらい活動できるかはっきりとは言えません。少ししかできないかもしれませんし、休みながらじゃないと無理かもしれません。
翼祈:Kojimaさんが、団体を立ち上げたいと思われたそのきっかけは、何があったんですか?
1番は、最初はどこかの団体(会場)に私が参加できれば、それで十分だったんですけど、そういったところが見つかりませんでした。
例えば対面とかで、団体に行ければボランティア、無償で参加できるとこもあったりするんですけど、障害者に限定しないものだったんです。(福祉全般、生活困窮者向け)
あとは、私自身の病気や障害になってしまった中で、何ができるだろうって頑張って探して、それで今の活動を考えたんです。
私の生活、仕事、病気の当事者活動の中で、どれが皆さんのためになるのかを知りたいと思っています。皆さんにとって価値があるだろうという部分をお話ししたかったんです。
例えば、グループホームに入ることや、在宅での就労継続支援B型事業所の利用、あとは障害者団体のお手伝いなどがそうですね。
特にグループホームへの入居については、直接調整を進めていたんです(在宅の就労継続B型も)。
私も障害者相談機関の方と契約しているんですが、なかなか動いてもらえないことがほとんどでして、できることが少ない身体、難しい条件の人に対しては。結局、会社に通える人や一定程度の体調管理ができる人じゃないと、仕事が見つからないって言われてしまって。それで自分で調整したんです。
その調整の経緯とかは、皆さんにとって価値があるんじゃないかなと感じています。今、私は仙台市近郊に住んでいるんですが、私の担当の市町村は隣の市でして。
これはグループホームの住所地特例っていう制度で、グループホームや施設に入ると、以前住んでいた市町村の福祉サービスの担当がそのまま継続されるんです。
手続きが特定の場所に集中しないようにするためのものですね。
ゆた:団体を、立ち上げるということで、1人だとお伺いしたのですが、今後は仲間というか一緒に立ち上げていきたいとか、他の行政の方で協力してやっていきたいっていうのがあったら教えていただきたいです。
行政や他の団体と協力してやっていきたいっていうのはあります。
あったら教えていただきたいんですけど、あとはずっと探してて、どこか団体があって、そこに参加できれば、私は立ち上げなくても全然良かったんです。
こちらの地域には、こころのネットワークみやぎと呼ばれる精神障害関係の団体があります。
昔からあって、私はそこの会員ではないんですけど、繋がりは少し持っています。
ただ、人が減ってきてしまっている状況はあります。
また、新たに別の団体の方で、電子メールで連絡したりして、1回だけお会いしたんです。今後の病気の当事者として、仲良くできないかと思っています
salad:Kojimaさんのこれからの目標は、ありますか。
一番はやっぱり、どれくらい仕事ができるかですね。
それを自分で判断して、安定させていかないといけないです。
あとは仕事の一つとして、仙台市近辺の行政の方々と連携して、病気の経験を話す準備もしています。同じH.Kojimaという名前で、例えば看護師さんの学校とか、家族会とかで話をしたいです。
一度、私がその場に同行して、今後もそこで話ができるようにしたいと考えています。
これは対面じゃないとできないことなので、次からは外出できる範囲で、仕事として参加していきたいです。
当事者活動については、休日でできる範囲で、ほんの少ししかできないかもしれませんが、続けていきたいと思っています。あとは家事なんかも、実際に生活していく中で、どれくらいできるのかを見極めて、安定させていきたいと考えています。

インタビューをさせていただいた感想
(salad)
私自身も、うつ病が重篤な状態が2年ほどあり、まったく動けないという状況が、いたいほど分かりました。そんな中で、Kojimaさんは、少しでも誰かのためにと活動していらっしゃるのは、本当にすばらしいことだと思います。
これからも、無理はなさらずKojimaさんのペースで活動を長く続けていってほしいと願っています。
(ゆた)
自分がうつ病で大変な時に誰かのために行動していることや自分のできる範囲で病気と向き合いながら進んでいく姿はきっと、誰かに届くと思います。
この記事をきっかけにKojimaさんのことを知る人もいるだろうし、Kojimaさんと同じように悩んでいる人にとって勇気が貰える記事になると思います。
これからも無理をなさらず、一歩ずつ、進んでいって欲しいです。陰ながら応援しています!
(どんはれ)
私はピアサポートに興味があります。同じ障害を持った人々がお互いを支え合うそんなシステムができたら素敵だろうなと思います。そんな活動の足掛かりを作ろうとしているKojimaさんはとってもすごいと思います。
自らの障害で大変な部分もたくさんありながら、人へのサポートをするのは並大抵なことではないと思います。
これからも、ご無理をなさらず、自分のペースで活動を続けてほしいと思います。
貴重なお話をありがとうございました。
(翼祈)
Kojimaさんが、特に重度のうつで、身体的な障害も出ておられる中で、弊社に電話して頂き、今回のインタビューの実現に至りました。
精神的にも障害のある中で、インタビューを受けるということは、グループホームのこともありますし、準備が大変だったんだろうなと感じています。
グループホームでの生活は、リアルなところもありましたが、ありのままKojimaさんが話して下さったからこそ、その人の体験談として、活きる部分も、読者の方にとって大きかったと思います。
Kojimaさんは、話し方が控えめな方でも、自分の環境をより良い方向へと変えるための行動力が凄くあるなという感想を持ちました。
大変な状況の中でも、団体を立ち上げたいという想いを尊重したいですし、Kojimaさんにとって、自分の夢を叶えていくことで、少しでも障害の程度が軽くなって欲しいと思いました。
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