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はじめに
2023年、海外で広く使用されている「飲む中絶薬」が、厚生労働省の部会で日本で初めて、承認を了承されました。現在、国内の中絶は2つの方法(そうは(掻爬)、吸引法)で行われています。
そうは(掻爬)はWHO(=世界保健機関)に「時代遅れ」と指摘されており、今回承認された飲み薬は、女性の新たな選択肢となります。ただ医師によると、注意点もあります。
飲む中絶薬とは?
「飲む中絶薬」とは、内服薬を用いて行われる中絶方法を指します。使用されるのは妊娠の継続を止める「ミフェプリストン」と陣痛を引き起こす「ミソプロスト―ル」です。
この2剤を順番に内服することで、母体への負担を抑えて中絶することができるとされています。
1988年にフランスで承認されて以降、「飲む中絶薬」が使用されている国は世界で70か国以上あり、WHOでも安全な中絶方法として推奨されています。
今回、日本で承認されたのは、英製薬会社ラインファーマが、承認申請した「メフィーゴパック」です。
メフィーゴパックは、妊娠9週までの妊婦が対象になり、異なる2剤を日にちを置いて使うことになります。使用するには医師の処方が必要で、医療機関での投与が前提となり、安易には使える薬ではありません。
日本国内での治験によると、2剤目を投与した後、24時間が経過するまでに93・3%が中絶に至ったとのことです。
30%で下腹部痛が、20・8%で嘔吐(おうと)の副作用がありました。
進まない日本の中絶
日本では、中絶方法は3種類あります。
①「そうは(掻爬)法」
金属製の器具で、トングのような鉗子であらかた子宮内容物を除去したのちに、スプーン状の器具・鉗子で子宮内膜を掻き出す方法です。
WHOは「そうは(掻爬)」を推奨しておらず、「吸引法」か薬に切り替えるべきだと指摘しています。
②「電動吸引法」
金属製の吸引管を使います。そうは(掻爬)と吸引法は静脈麻酔(全身麻酔)が必要になります。
③「手動吸引法(MVA)」
柔らかいプラスチック製の吸引管を使い、局所麻酔で行うことも可能です。比較的簡便で子宮にも負担が少ないとされている。
実際に行われている手術の割合は、2015年に発表された調査で、そうは(掻爬)の単独が約3割。そうは(掻爬)と吸引法の併用が約5割、吸引法が約2割でした。
さいごに
世界では1970年代にはすでに手動吸引法が主流となっています。
1988年からは経口中絶薬(abortion pill)による中絶が始まり、現在約80カ国でミフェプリストンとミソプロストールの2種類の薬を併用した中絶が行われています。
実際に手術をしたことのある方のお話では、
人によって個人差があると思うんですけど、私は涙が出るくらい痛くて、お腹をおさえて、呻きながら帰ったというのを覚えてます。」
このように、女性に負担の大きかった日本の中絶法ですが、今後、経口中絶薬の登場で、女性の体への負担が軽くなることだと思います。
しかし、それでも中絶には体だけでなく「心」も大きく影響します。
あらためて、女性だけでなく、男性にも「中絶」とはなにか?なぜ、避妊しなければならないのか?ということを考えてもらいたいです。
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参考サイト
「負担の少ない方法が広まって欲しい」国内初”飲む中絶薬”厚労省の部会が承認を了承【久保田智子編集長】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース
飲む中絶薬とは?日本はいつから?入手方法や効果、副作用について
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